2014年12月30日火曜日

クリスマスはまだ終わらない。


世間では25日が過ぎるとさっさとツリーを片づけて門松を準備したりしてる。
僕はクリスマスが終わっても年の瀬までクリスマスアルバムを聴くのが好きだ。

ということで、僕のお気に入りのクリスマス・アルバム、ベスト5!




https://www.youtube.com/watch?v=wW1IXJk5RSA

シナトラ・ファミリーのクリスマス。(1968年)2009年CD化。
家族全員で歌う「グリーンスリーブズ」はとろけそう。
(写真をクリックするとYouTubeで聴けます)
特にフランクとナンシー親子のデュエットは白眉もの。
フランク・シナトラは神様から特別な声をもらった一人なんだなあ。





フィンガーピッキングの名手ミュリエル・アンダーソンがハープギターで
奏でる静謐なクリスマス。(2007年)
(写真をクリックすると試聴ページが開きます)






ミュリエル・アンダーソンとジャン・フェリックス・ララーンの共演。
二人ともチェット・アトキンスの流れを汲むフィンガーピッキング・ギター
奏者である。(1995年)
選曲もアレンジもいいし、控えめな二人の演奏は安心して聴ける。
僕にとっては愛犬と一緒に聴いた思い出がある特別なアルバム。
(写真をクリックすると試聴ページが開きます)





カントリー系の実力派ギタリスト&シンガーソングライター、スティーブ・
ウォリナーのクリスマスアルバム。(1992年)
日本では、いやアメリカでもナッシュビル以外ではあまり知られていないかも
しれないがバランスの取れたすばらしいアーティストだ。
歌声も艶やかで歌唱力もある。
(写真をクリックするとYouTubeで聴けます)
ちなみにこの曲はこの人のオリジナル。





ハワイアンスラッキー・ギターのクリスマス。和みます。
ウイリアム・アッカーマンが作ったスラッキー専門レーベル、Dancing Cat
から出ていたアルバム。(1992年)
ハワイ語で歌われる「きよしこの夜」は絶品!
(写真をクリックするとYouTubeへ。「きよしこの夜」は48'42"から)

2014年12月25日木曜日

毎日がクリスマスなら。


クリスマス・アルバムの名盤4枚を挙げるなら、ビーチボーイズ、エルヴィス、
ベンチャーズ、フィル・スペクターと萩原健太氏(たぶん)が書いていた。
同感である。フィルス・ペクターは持っていないけど。

エルヴィスの「毎日がクリスマスなら」は我が家では定番のアルバムだ。
ポップアップはエルヴィスの豪邸グレースランドを再現したもの。






今年はちょっとびっくりするものを発見した。
エルヴィスがBlue Christmasをデュエットしている映像だ。





エルヴィスがライブに復帰するきっかけとなった伝説の1968年のTVショー、
「カムバック・スペシャル」(視聴率は32%)でのシットダウン・ショーと
呼ばれるシーンだ。
エルヴィスがお馴染みのスコッティ・ムーア、DJ ・フォンタナと一緒に顔を
突き合わせくつろいだ雰囲気で演奏する、アンプラグドの先駆けとも言える
ようなセッションである。

しかし女性シンガーが一緒に歌うシーンは見たことがない。
今まで未発表のアウトテイクか?


と思ったら、CGによる合成だそうだ。
カントリーのシンガーソングライター、マルティナ・マクブライドがあたかも
セットに登場する演出はみごと!
映像処理もオーディオ的にもぜんぜん違和感ない。

何でもできちゃう時代なんですね。
天国のエルヴィスからの嬉しいクリスマス・プレゼントでした。

2014年12月20日土曜日

ビートルズのやっつけクリスマス・ソング。




意外なことにビートルズはクリスマス・レコードを出していない。

ファンクラブ会員には1963年から1969年までソノシートを配布していた。
内容は4人の他愛ないおしゃべり、クリスマス・メッセージと即興の歌。

1967年には珍しくオリジナルのクリスマス・ソング「Christmas Time Is
Here Again」も録音されソノシートに収録された。
これは1995年のAnthologyプロジェクトの際、Free As A Birdのシングル盤に
めでたく収録された。

1968年と1969年のクリスマス・レコードは不仲になっていたせいか4人が
揃うことなく各々ばらばらに録音している。
ポールは1968年と1969年それぞれ書き下ろしなのか即興なのか?弾き語り
の曲を披露している。

特に1969年のA Merry Merry Christmasはかっこいい!
この人は力を抜いてさらっとやっつけで作った曲の方がいいんだよね。






2014年12月16日火曜日

水車はあの日のまま唄っている。


ガロのマークこと堀内護さんが亡くなった。
今ごろ天国でトミーと仲良くセッションでもやってるのだろうか。

僕は和製フォークをあまり聴かなかったが吉田拓郎とガロは大好きだった。
両方ともジメジメ貧乏くさくないのと洋楽の匂いがするのがよかった。


ガロにはいい曲がいっぱいあるが一番思い出深いのは「水車は唄うけど」だ。
これはガロのオリジナルではなく山上路夫/すぎやまこういちの作品である。

レコード会社の意向で歌謡曲の作家に頼ることになった(本人たちとしては
いささか不本意だっただろう)2枚目のアルバムに入っている。

それでもアコースティックの美しいアレンジに仕上げているのはさすがだ。
ピアノは大野克夫氏が弾いている。


↓写真をクリックすると試聴できるページに飛びます。























高校3年の春だったと思う。
友人と僕は放課後、誰もいない古びた講堂でこの曲を録音した。

いくつか音が出ない鍵盤のあるくたびれたピアノを僕が弾き友人が歌った。
ソニーのカセットレコーダーで録音し、家に帰って生ギターでリフを重ねた。

演奏はたどたどしい。ノイズも多い。
充分な機材もないから多重録音といっても左右の泣き別れである。
残響が多い講堂とデッドな僕の部屋で録った音では違和感もある。

それでも僕たちは喜んだ。その録音はいまでも残っている。


9年前に今では遠く離れたその友人が遊び来てくれた。
僕たちはギター2台で「水車は唄うけど」と「四葉のクローバー」をやった。

つかの間だけど僕たちは高校生に戻った。あの日のままだった。

2014年12月11日木曜日

夜明けはいつものうす茶色、始発電車が走ってく。


学生の頃、吉祥寺に住んでいた。

終電に乗り遅れるとタクシーで帰るお金もないから、深夜喫茶でまずいコーヒー
とこれまたまずいロールケーキで始発電車まで時間をつぶしたものだ。

吉田拓郎の「おはよう」を聴くとその頃のことを懐かしく思う。
「うす茶色、始発電車」は中央線のこと。本当はくすんだオレンジ色かな。





夜明けはいつものうす茶色 始発電車が走ってく
今ごろホームでは働きものの酔っぱらいが目覚めてる
光に眉をくすぐられて

おはよう! 死んだふりはやめなさい
おはよう! 生きていくのが下手な男たち

(作曲:吉田拓郎 作詞:岡本おさみ)


この曲は「今はまだ人生を語らず」というアルバムに入っていたのだが、
廃盤のままである。
1曲目の「ペニーレインでバーボン」に差別的表現があるためらしい。

原宿でバイトをしてた頃はペニーレインにもよく行った。 
バーボンを飲むのは隣のライムライト(同じ経営)だったけど。


※写真は当時走っていた101系車両。
(僕は鉄道マニアではないのでよく分らないけどこれには愛着がある)
混色編成http://www.konshoku.com/からお借りしました。感謝です。

※写真をクリックすると「今はまだ人生を語らず」の試聴ページが開きます。

2014年12月7日日曜日

笑う歌姫。


パッと見は、胸の大きなケバいコテコテおばさん?と思うかもしれないけど。

ドリー・パートンはアメリカのカントリー・ミュージックの第一人者であり、
女優でもあり(映画「9時から5時まで」)、優れたシンガーソングライター
である。

オリヴィア・ニュートンジョンで大ヒットした「Jolene」も、ホイットニー・
ヒューストンの「アンナ〜ウア〜♪」の熱唱が有名な「I Will Always Love You」
もこの人の曲なのだ。

僕は2曲ともドリー・パートンのオリジナルの方が好きである。
彼女の声、歌い方が好きだ。

ドリー・パートンはよくキャハハとかフフッとか歌いながら笑う。
聴いてる方もなんだか楽しくなる。





写真は1994年にテネシー州にある彼女のテーマパーク、Dollywoodで録音された
ライブ・アルバム。
マーチンの小ぶりな00-21が彼女によく似合っている。

写真をクリックするとドリー・パートンと僕の大好きなチェット・アトキンスが
楽しそうに共演している動画のページに飛びます。

2014年12月2日火曜日

マイケルは好きですか?


と訊かれたら、たぶん「いいえ」か「あまり」だろう。
すごく大雑把に言うなら。

好きだった時期もあるのだ。
僕が好きでよく聴いたのは1979〜1983年のマイケル・ジャクソン。
アルバム「オフ・ザ・ウォール」と「スリラー」の頃だ。

「オフ・ザ・ウォール」はクインシー・ジョーンズをプロデューサーに
迎え、マイケルは曲作りやアイディアでも貢献している。

クインシー・ジョーンズは黒っぽさとコンテンポラリーな要素のバランス
感覚というか、さじ加減が絶妙だった。
いわゆるブラコンの走りである。

「Don't Stop 'Til You Get Enough」「Rock With You」は大好きだった。






PVにはぜんぜん金がかかっていない。
マイケルのステップも自由だ。でもめちゃくちゃかっこいい。
(この後は計算され尽くした振り付けになってしまった)

それにこの頃のマイケルは実にいい顔をしている。(整形する前だ)
本人も「オフ・ザ・ウォールを作っていた頃が楽しかった」と言っている。



「オフ・ザ・ウォール」の成功で次のアルバムに期待が集まるのは当然だ。
マイケルとクインシーにはプレッシャーになったらしい。

しかし次の「スリラー」でマイケルは自身の記録を破ることになる。
「スリラー」はさらにアワーアップしていた。

ヴァン・ヘイレンをリードギターに起用した「Beat It」、ムーンウォークが
話題になった「Billie Jean」、そして「Thriller」のゾンビ・ダンス。

MTVはマイケルのPVを流し続けた。
もはや社会現象。マイケルは怪物になってしまった。




整形に伴い、黒っぽさも彼の音楽からだんだん薄れて行ったように思う。
黒すぎるのも苦手だけど上塗りしすぎのブラックミュージックもつまらない。
「オフ・ザ・ウォール」のさじ加減が僕にはちょうどよかった。




1987年にマイケルが来日した時は後楽園球場に見に行った。
最初は喜んでいたのだが、途中から飽きてしまった。何か違うのだ。

最初から最後までプログラムされたショーでマイケルの動きも秒単位で決め
られ、彼はそれを正確にこなしていた。
「オフ・ザ・ウォール」で自由に動き楽しそうだったマイケルではなかった。

それ以降、僕はマイケルから離れた。

マイケルは好きですか?と訊かれたら。。。。、
たぶん「いいえ」か「あまり」だろう。好きだった時期もあるけどね

2014年11月26日水曜日

アンダンテ・カンタービレ。


学生の頃ウダウダと夜中まで無意味に起きていることが多かった。
そんな時、真夜中のラジオで美しい曲がかかって感動したことがある。

チャイコフスキーの「アンダンテ・カンタービレ」という曲。
(弦楽四重奏曲第1番 第2楽章 Andante cantabile 変ロ長調 2/4拍子)

チャイコフスキーがウクライナで聴いた民謡に題材を得ているそうだ。


演奏はアーサー・フィドラー指揮、ボストン・ポップス管弦楽団。





レナード・バーンスタイン&ニューヨーク・フィルの演奏も手堅いが、
やはりあの時聴いたフィドラー+ボストン・ポップスの方が好きだ。


ところでこの曲を聴いてエイコーラ♪と歌ってしまう方もいるのでは?
おそらく昔ボニージャックスが歌ってた「ヴォルガの舟歌」でしょう。




エイコラ、エイコラ、もうひとつエイコラ ♪

ロシアの舟歌で、ヴォルガ川の船曳き人夫たちが歌っていたらしい。

エイコーラ♪の節は確かに「アンダンテ・カンタービレ」と似ている。
でもチャイコフスキーが聴いた民謡がこれなのかは?

2014年11月21日金曜日

汽車は行っちまった。後にライトが二つ。


「Love in Vain」はローリングストーンズの中でもかなり好きな曲だ。
アルバム「Let it Bleed」(1969年)の2曲目に入っている。

オリジナルは伝説のブルースマン、ロバート・ジョンソン。
ストーンズはテンポを落として南部くさいブルージーでけだるいバラード
に仕上げている。




「Let it Bleed」の制作途中でブライアン・ジョーンズが脱退。
後任のミック・テイラーは2曲しか参加していない。
この曲のスライドギターはキース・リチャーズが弾いてると思われる。

チャーリー・ワッツのブラシを使った重いドラミングもいい。
マンドリンはあの職人気質のライ・クーダーだ。



ロバート・ジョンソンのオリジナルは無骨なブルースだった。




これは1995年のストーンズのセルフカバー。
ロン・ウッドがリゾネーターでボトルネックを奏で、ミックもブルース
ハープを聴かせてくれる。




エリック・クラプトンのカバー(2004年)はオリジナルに近い。




この曲は歌詞もいい。
ゆっくりなので僕でも聴き取れ一緒に口ずさむことができた。

(拙訳を載せました↓)

2014年11月17日月曜日

もう一枚の木綿のハンカチーフ。


「木綿のハンカチーフ」といえば太田裕美の代表曲だ。

この曲で、太田裕美=「都会に旅立つ彼を待つ田舎の純情な女の子」という
イメージができあがったのではないだろうか。

でも彼女は荒川区の生まれで春日部育ちだ。
けっこう酒豪らしい。

あ、荒川の酒豪の女の子が純情じゃないとか言ってるんじゃーないですよ(笑)
でも曲のイメージとギャップはありますよね?


ところでこの曲に別テイクがあるのをご存知だろうか。

「心が風邪をひいた日」というアルバムに収録された「木綿のハンカチーフ」
はラジオでよくかかっていたシングル盤とはアレンジが違うのだ。

1)イントロとオブリが12弦エレキではない。弾いてるリフも違う。
2)全体にあっさりしている
3)太田裕美の歌い方もあっさり。シングルほど情感がこもっていない
4)エンディングがおおげさでやや強引
5)イントロのストリングスの駆け上がりフレーズがない
6)シングルで随所に入る木管楽器のオブリがない
7)シングルの方がベースの音数が多くウォーキングベースになっている


↓アルバム・ヴァージョン(写真をクリックすると試聴できます)


どっちがいいかというとやはり慣れ親しんだシングルの方に軍配が上がる。
このテイクの12弦エレキのリフは絶品だと思う。


↓シングル・ヴァージョン(写真をクリックすると試聴できます)

2014年11月11日火曜日

急がば廻れば曲も当る?


ベンチャーズの代表曲の一つ、「Walk, Don't Run(邦題:急がば廻れ)」は
もともとジャズ・ギタリスト、ジョニー・スミスの曲(1955年)だった。






それを1957年にチェット・アトキンスがカバー。
すばらしいフィンガーピッキング・ギターを聴かせてくれている。






ベンチャーズのギタリスト、ボブ・ボーグルはチェットの演奏を聴き弾いて
みたいと思ったが、自分には難しすぎるので複雑な部分を簡略化した。

これがヒットする。サーフロックという言葉が生まれた。(1960年)






この時ノーキー・エドワーズはベースだが後にボブの申し出でパートを交代。

ノーキーをリードギターに据え、ドラムにメル・サッチャーを迎えパワーアップ
したベンチャーズは1964年に「Walk, Don't Run」を新たに録音し直す。

これがまたヒット。






最初の演奏と比べてドライブ感がぐんと増しているのが分るだろうか。
ノーキーが奏でるモズライトのギターのダイナミックな音。
それを支えるボブのベース、メルのドラム、ドン・ウィルソンのリズムギター。
いわゆる鉄壁のリズム隊。

翌1965年にベンチャーズは来日(2回目)。
日本の若者たちをとりこにしエレキ・ブームを巻き起こした。



加山雄三主演の「Black Sand Beach」は「Walk, Don't Run」のコード進行を
逆にしたものだそうだ。
曲名は茅ヶ崎海岸の黒い砂に由来している。
モズライトはノーキー・エドワーズにプレゼントされたものらしい。





といろいろ廻り廻っておもしろいですね♪

2014年11月6日木曜日

ゴジラが始まりだった。


僕の世代だと、ゴジラとか怪獣映画を見に行く→同時上映だった加山雄三の
若大将を見てカッコイイと思う→タイガース→モンキーズ→ビートルズ。。。
というパターンが多い。

ゴジラといえばあの音楽はものすごいインパクトだった。
ゴジラが歩くシーンを思い浮かべると重々しいテーマ音楽もセットで蘇る。





作曲したのは伊福部昭。
レコード店ではクラシックの現代音楽に分類されていた。

伊福部昭は西洋音楽に雅楽を持ち込んでいる。
日本的美意識。そして日本の音階。

モチーフの反復〜展開、変拍子の多用も特徴的だ。

ゴジラのドシラ・ドシラ・ドシラソラシドシラ♪は4拍子と5拍子の繰り返し。
変拍子は不安感を募らせる効果がある。

同じ音階を管楽器と弦楽器が奏で厚みを出している。
そしてテーマの反復により観客の心理もどんどん盛り上がっていく。


伊福部昭は行進曲も得意だ。(そのため戦時中は軍歌の作曲も強要された)
怪獣映画で自衛隊が出動するシーン、殺獣光線車が活躍するシーンのマーチ
では大胆なフーガが展開される。






ちなみにゴジラの鳴き声はコントラバスの低音弦に松ヤニを付け、革手袋を
した手でしごくように引っ張って録音。
その音を変調してスピードを落としたものだが、これも伊福部昭のアイディア。



伊福部昭がいなかったらゴジラは生まれなかった。
そうしたら僕らの音楽との出会い方はもっと違っていたかもしれないのだ。

今年は伊福部昭生誕百年だそうです。(↓これ、何のマークだろう?)





2014年11月1日土曜日

もう森へなんか行かない。


時々フランソワーズ・アルディが聴きたくなる。
たいてい今にも空が泣き出しそうな日だ。

ラジオで流れていた「さよならを教えて(Comment te dire adieu)」という曲が
気に入ってフランソワーズ・アルディの日本盤を買ったのは18才の秋だった。

「もう森へなんか行かない(Ma jeunesse fout l'camp)」が一番好きだった。
内省的でメランコリックな歌だ。





原題を直訳すると「私の青春が逃げて行く」というニュアンスだろうか。

私の青春が去って行く 一篇の詩をたどり 韻を踏み 手をふりながら
私の青春が去って行く 枯れた泉へ 柳の枝のように私の二十歳は刈り取られる

私たちはもう森へなんか行かない 詩人の歌 安っぽい節まわし 下手な詩
夢見心地で歌った 祭りで出会った男の子たち 名前さえ忘れてしまった


二番の歌詞に「もう森へは行かない(Nous n'irons plus au bois)」が出て来る。

フランスには「Nous n'irons plus au bois」という童謡があるそうだ。
森で楽しく踊って好きな相手にキスしましょうという内容らしい。


「もう森へなんか行かない(Ma jeunesse fout l'camp)」はそんな「楽しかった
青春」との別れの切なさを歌っているのだと思う。 

2014年10月27日月曜日

ジャックブルースに捧ぐ。


クリームのベーシスト、ジャックブルースが71才で他界した。
2003に肝臓癌の手術を受け長い闘病生活を送っていたそうだ。

彼はエリッククラプトン、ジンジャーベイカーと1966年にクリームを結成。
ジャズの即興性とブルース、ビートニク感覚を併せ持つロックだった。

三人編成とは思えない音の厚みと高度な演奏技術は圧倒的だった。
個人的にはBB&A並んで最強のユニットかつ再結成して欲しいバンドだった。

クリームはたった2年で解散してしまったのだ。
痛い思いも確執もあったのか再結成はなかなか実現しなかった。


解散から37年経った2005年5月、クリームは再結成コンサートを行った。
1968年に解散コンサートをやったロンドンのロイヤルアルバートホールで。

37年前の張りつめた雰囲気はなく三人とも楽しそうだった。
お互いに顔を見合わせ笑いクラプトンはジャックブルースを気づかった。

そしてクリームのパフォーマンスはやはり素晴らしかった。





↑この曲は高校の文化祭で演奏したこともある大好きな曲だ。
僕はベースでジャックブルースの演奏をコピーした。(あんなに弾けない)

タイトルのN.S.U.とはNon-Specific Urethritis(非特異性尿道炎)のこと。
当時クラプトンは性病による尿道炎に悩まされていたという噂があった。
歌詞はビートニクのフィーリングいっぱいで尿道炎には触れていない。

2014年10月23日木曜日

プラスチックソウル。


中学の時に買ったビートルズの「ラバーソウル」の邦盤には、タイトルの由来は
「ゴムのようにはずむ心」「移ろいやすい若者の心」と書いてあった。
ジャケットの写真もそれを表しているとか。




しかしぜんぜん違っていた。

当時ローリングストーンズのことを黒人のブルースマンが「プラスチックソウル」
と揶揄したのをポールが気に入ってよく口にしていた。
「I'm Down」録音時もポールは自嘲的に「Plastic soul, men」と繰り返している。

「ラバーソウル」はそれをもじったものだった。
ジャケットは焼き付けが失敗して縦に伸びた写真を4人が気に入ったとのこと。

「おふざけ」が大好きな連中なのだ。



「ラバーソウル」はいい曲ばかりだが、中でも「Girl」が一番好きだった。
ジョンの切ないボーカルのバックに入るコーラスのセンスのよさには感動した。
「Woo」でも「Ah」でも「La la la」でもなく「Tu tu tu tu」とは。。。。

実は「Tit tit tit(おっぱい、おっぱい)」と歌ってるらしい。

「おふざけ」が大好きな連中なのだ。




2014年10月18日土曜日

失われた14曲目。


ビートルズの「A Hard Day's Night」に入るはずだった14曲目は何だったのか?

ミクシィのコミュニティで議論されていた。
実に興味深くおもしろい。

ビートルズの英国オリジナル・アルバムは1966年の「Revolver」まではA面、
B面に7曲ずつの計14曲収録が通例だった。
しかし「A Hard Day's Night」だけは異例で13曲入りになっている。

タイトルどおり時間に追われての制作で間に合わなかったのだろうか?
アルバムの流れを考えると候補だったもう1曲はそぐわなかったのか?

ではその1曲とは何だったのか?
想像すると楽しい。




このアルバムは初主演映画「A Hard Day's Night」で使われた7曲がA面に、
それ以外に新たに6曲がB面に収録されている。

全曲がオリジナルでそのうち10曲がジョン、3曲がポール。
圧倒的にジョンがリードを取っているアルバムだ。

前作、前々作からアルバムではジョンとポールが歌う曲が11曲、ジョージが
2曲、リンゴが1曲、というのがお約束になっていた。
が、「A Hard Day's Night」はジョージのボーカルは1曲だけ。
リンゴの出番はない。

この時期に他に以下の4曲が録音され後にEP盤として発売されている。
Long Tall Sally、I Call Your Name、Slow Down、Matchbox。

リンゴがボーカルをとるMatchboxは候補に上がったのではないか?
しかしアルバムの雰囲気にはマッチしていないように思える。
Matchbox、Long Tall Sally、Slow Downの3曲はカバーである。

ビートルズは全編書き下ろしのオリジナルにこだわったのではないか?
残りはジョンの曲、I Call your Name。
これは既に収録が決まっていたYou Can't Do Thatに曲調が似ている。

曲順とアルバム全体の流れを何度も検討した上で、彼らは13曲入りとする
ことがベストという結論にいたったのかもしれない。


↓もしかしたらアルバムに入ってた?I Call Your Name(かっこいい!)
 (サビのリズムがスカというのも斬新)


ちょっと曲調が似てる?You can't do that(これもかっこいい!)
(映画用に収録されたシーンだが本編では使われなかった)

2014年10月13日月曜日

音楽に恋してる人は素敵です。


山本潤子さんの2009年のアルバム。

ジャケットがかわいい。見てるだけで楽しくなるか。
「音楽に恋してる」というタイトルは彼女の気分なのだろう。

曲はすべてこのアルバムのための書き下ろし。
地味ではあるけど日常の小さな幸せを歌ったいい曲ばかり。


(↓写真をクリックすると試聴できるサイトに飛びます)



















「翼をください」とか「卒業写真」みたいなお約束の曲を集めたベスト盤より
もこの人の素直な澄んだ声が味わえる。

バックは新川博、林立夫、松原正樹など長年ユーミンをサポートして来たベテラン
ばかりで安心して聴ける。
過剰アレンジもなくシンプルなバンドサウンドが楽しめる点もうれしい。

ところでどうしてみんな「山本潤子さん」とさん付けで呼ぶんでしょう?
僕もだけど(笑) リスペクトなのかな。

2014年10月8日水曜日

ハメルンの笛吹きが唄う。



「ハメルンの笛吹き」がドノヴァン主演で映画化されたのは1972年。
それを知ったのはたぶん音楽誌でだったと思う。ミュージックライフとか。

映画公開に合わせてFMでドノヴァンの新曲がかかった。
映画のテーマ曲として紹介されたその曲はまだタイトルがないようだった。

カセットに録音して何度も聴いた。
小鳥のさえずりをバックにドノヴァンがギター一本で弾き語りしている牧歌的
な美しい曲だった。

ギターをコピーした。歌詞も聴き取れる範囲で書きおこして練習した。
でも何か違う。歌が下手なのは仕方ないとして(笑)
ギブソンJ-45のズンという凄みのある低音が僕のヤマハでは出ないのだ。

そこでカセットレコーダーのマイクでギターの音を拾い、ステレオにつないで
低音を増幅してスピーカーから出してみた。悪くない。
次に小鳥のさえずりを入れるため明け方起きて窓を開けギターを弾いてみた。

すいぶん暇というか。。。アホなことをしてたものだ。

いつしかFMでエアチェックしたテープも行方が分らなくなった。
その後いろいろな音楽と出逢うがいつまでも心の奥であの曲が響いていた。

40年以上も経てこの音源が聴けるのはとてもうれしい。
生きててよかった。(おおげさだけど)





この曲は「Sailing Homeward」というタイトルで「Essence To Essence」
というアルバム(1973年)に収録されている。
余計なストリングスがかぶせられていてちょっと残念な出来だ。
ライブでの定番曲にもなっている。

僕が昔聴いた映画ヴァージョンは正式にリリースされた「Sailing Homeward」
と比べるといくつかの違いがある。

1)冒頭の歌詞はSailing HomewardではなくRiding Homewardである。
2)ヴァース1と2の後、続けてまたヴァース1と2が歌われる。
3)サビは最後で、ラララリラ♪と歌われフェイドアウトする。
(この時点で歌詞ができていなかったのか?アウトロと位置づけてたのか?)
4)全編通して小鳥のさえずりのSEが入っている。
5)ストリングスなどオーバーダビングがなくギター一本の弾き語りである。

僕にとってこの曲のベストテイクは、あの頃FMから録音した小鳥がピーチク
パーチク♪さえずっている「Riding Homeward」だ。
思い入れもある。それにあらがえないような不思議な魔力があるのだ。

「ハメルンの笛吹き」の映画はいまだに見ていない。
日本語字幕入りのDVDが発売されるのを心待ちにしているのだが。

2014年10月2日木曜日

さようなら、豚パイの帽子。


タイトルを見てピンと来た方はかなりのジャズ通かロック通ではないかと思う。

「Goodbye Pork Pie Hat」はジャズ・ベーシストのチャールス・ミンガスの曲。
敬愛するサックス奏者レスター・ヤングの死を悼んで書いたそうだ。





ポークパイハットはツバのある帽子でトップの丸いへこみがポークパイに似て
いることからこう呼ばれるようになった。
レスター・ヤングのトレードマークでもあった。




僕はジェフ・ベックのカバーが好きだ。アレンジが大胆で美しい。




ジョン・マクラフリンのアコースティックギター一本で聴かせる演奏もすごい。