2014年8月30日土曜日

マイ・バック・ページズが好きだった。


キースジャレット・トリオの「My Back Pages」が好きで一時期よく聴いた。
故チャーリーへイデンの重厚なベースに導かれてキースの瑞々しいピアノが入る
ところはたまらなく美しい。





もう30年以上前の話だが渋谷に「My Back Pages」というカフェバーがあった。
公園通りを上りきった辺りの新しくできたビルの3階で、大きな窓からは隣の
小さな公園が見下ろせるとても気持ちがいい店だった。
オーナーに店名の由来を尋ねると、やはりこの曲が好きでと笑っていた。


この曲がボブディランのだということは知っていたが、実際にディランのを
聴いた時は本当に同じ曲か?とびっくりしたものだ。

え? ぜんぜん違う。う、美しくない(汗)
キースはどこに原石のような曲の美しさを見出したのだろう。


この曲はバーズがカバーしてヒットした。ディランのよりポップで聴きやすい。
実はキースジャレットはバーズのカバーを聴いてそれをまたカバーしたらしい。





1992年のディランのデビュー30周年記念コンサートでも演奏されている。
ロジャーマッギン(バーズ)、トムペティ、ニールヤング、エリッククラプトン、
ディラン、ジョージハリスンが、交代で歌う様子は見てて楽しい。

「My Back Pages」はみんなに愛されてる曲なのだ。






2014年8月26日火曜日

チルアウトの心地よさ。


まずジャケットに注目!

前回取りあげたピンクフロイドの「原子心母」に似てるでしょう?
オマージュなのか、パロディーなのか。

The KLF(Kopyright Liberation Front 著作権開放戦線)という英国のハウス
ユニットによる1990年アルバム「Chill Out」。アンビエントの名盤である。





「Chill Out」の語源は「ダンスで火照った体を休め落ち着かせるためフロアの端
に設けた冷たい(Chill)部屋で流される音楽」から来ているらしい。
この部屋にはソファーやカウチが置かれダウンテンポの音楽が流れている。


このアルバムに「曲」を期待してはいけない。音のコラージュなのだ。

虫の声、羊の鳴き声、ホーミー(モンゴルの伝統的な発声法)の声、クルマの音、
アムトラック(アメリカ横断鉄道)、ラジオの音声が通り過ぎて行く。
ペダルスチールギターのレイドバックした音。
エルヴィスやボーイジョージ、フリートウッドマックのサンプリングが被さる。

スピーカーから流れると部屋の空気にゆっくり溶けて行く。
窓を開ければ、外から入って来る虫の声やバイクの音、犬の鳴き声、子供の声、
遠く聴こえる飛行機の音、救急車のサイレン、雀のさえずりとも馴染む。


The KLFは違法サンプリングや何かと過激な奇行が多く解散してしまった。
このアルバムも廃盤のまま放ったらかし状態。
中古市場やオークションではプレミアムがついているようだ。

誰にでもお薦めはしない。僕にとっては一生もののアルバムの一枚だけど。


↓お時間のある方はボケーッと脱力状態で聴いてみてください。



2014年8月20日水曜日

もしも。





ピンクフロイドのアルバム「原子心母(Atom Heart Mother)」(1970)
中学一年の時にヤマハの輸入盤セールで買った。

A面は24分にわたる壮大な組曲。
それと対照的なのがB面1曲目の「If」という素朴で牧歌的なこの曲である。
歌詞は悲しいくらい内省的だ。

A面の張りつめた空気が一転して和む。とても心地よい。
僕は夜A面を聴いて、翌朝B面を聴いていた。


タイトルもアーティスト名も表記されていない大胆なジャケットは英国の
デザイン・グループ、ヒプノシス(注1)が手がけている。

ちなみに写真の牛は「ルルベ3世」という名前らしい。
世界一有名な牛と言われている。




↓対訳も載せましたのでよろしければ併せてご覧ください。

2014年8月16日土曜日

夏に開いた恋なのに 。


原題は「Summer Kisses Winter Tears」。
熱心なエルヴィスのファンじゃない限り知らないと思う。

でも、これは隠れた名曲☆☆☆です!(と断言)
「Elvis for Everyone」という地味〜なアルバム(1965)にこそっと入ってる。


邦題は「夏に開いた恋なのに」。
どことなく昭和歌謡を思い起こさせるようなタイトルじゃないですか。

曲調もまさにそんな感じ。感傷的で美しい。。。。
伊東ゆかりとか小川知子とか歌ってそうな。
男性の歌手だと誰だろう? 思い浮かばないな。


エルヴィスの情感たっぷりの表現力だからこそこの曲は生きるんだと思う。







僕がこの曲を知ったのは、ヴィム・ヴェンダースの映画で使われてたから。
確か「夢の涯てまでも(Until the End of the World)」だったと思う。

ソルヴェイグ・ドマルタンが夕陽を浴びながら車を運転しているシーン。
ラジオからこの曲が流れ、彼女は口ずさみながらサングラスの下で涙していた。


ロードムービーの監督はエルヴィス好きな人が多いのかもしれない。

ジム・ ジャームッシュの「ナイト・オン・ザ・プラネット(Night on Earth)」
も「ミステリー・トレイン(Mystery Train)」が印象的だった。





2014年8月12日火曜日

時をかける少女はいつしか大人に。


原田知世の「music & me」はオーガニックミュージックという言葉が似合いそうな
透明感のあるアルバムだ。(2007年作品)

彼女の息を吐くような脱力系の歌い方が聴いてて涼やかで心地よい。


スタジオに置いてあるシュガースティックを束ねてパーカッションにしたりとか、
本人談によると手作りの楽しいレコーディングだったようだ。

大貫妙子の「色彩都市」、鈴木慶一の「菩提樹の家 」、ビートルスの「I Will」。
高橋幸宏が選んだというディオンヌ・ワーウィックのヒット曲「Are You There ?」
はバート・バカラックのファンとしてはかなりうれしい。


中でも伊藤ゴローのボサノヴァギターのみで淡々と歌われる「時をかける少女 」の
セルフカバーは絶品である。

改めていい曲なんだなあ、ユーミンってすごい。。。。としみじみ思う。


原田知世ちゃんはいつのまにか原田知世さんになっていました。





2014年8月5日火曜日

B面好きですが何か?


中学生の頃はラジオが音楽の先生だった。
かかっている曲が気に入ればシングル盤やEP盤(コンパクト盤)を買う。

が、聴いてるうちにB面の方が好きになってるのだ。


シルヴィ・バルタンの「あなたのとりこ」はB面の「太陽のない子」に針を
おろすことが多かった。

モンキーズのお気に入りは「自由になりたい」「灰色の影」「ルックアウト」
「ホールドオン・ガール」と地味な曲ばかりだった。





沢田研二の「気になるお前」「遠い旅」「甘いたわむれ」もB面だ。

僕のB面好きはCDになってからも変わらない。
斉藤和義の「ウームの子守唄」は「ずっと好きだった」と同じくらい聴く。


B面はあまり気負いがなくてA面ほどハデハデじゃないから好きなのかな。

A面でヒートアップしたからスローダウンしましょう、A面と毛色の違う曲で
楽しみませんか、という感じのハズシがいいのかもしれない。