で第39位とされている。
MOJO誌(英国の音楽誌)は彼を「ポップ界のサリンジャー」と呼んだ。
スコットは多くのアーティストたちにもリスペクトされている。
彼の曲は絵を描くように音楽で主張している。─デヴィッド・ボウイ
彼の音楽に衝撃を受けた。ポップスの枠組みにありながらそこから遠く離れてる。
これを聴くのは屈辱的だ。今でもこれを超えられない。―ブライアン・イーノ
常に彼の音楽が原点だ。―レディオヘッド
(「スコット・ウォーカー 30世紀の男」予告編より)
英国人と思っている人が多いがスコットはオハイオ州の出身である。
父の仕事で各地を転々とし両親離婚後は母親に育てられる。彼は孤独だった。
1964年にゲイリー、ジョンと共にウォーカー・ブラザーズ(偽兄弟)でデビュー。
ビートルズがアメリカを制覇した頃だ。
その後、英国に渡り再デビューしてから人気が出始める。
1966年には人気絶頂期を迎え「ダンス天国(Land Of A Thousand Dances)」
「太陽はもう輝かない(The Sun Ain't Gonna Shine Anymore )」「孤独の太陽
(In My Room)」など立て続けにヒットを飛ばす。
日本でもミュージックライフではビートルズと二分するほどの人気であった。
1968年の来日時に撮影された不二家ルック・チョコレートのCMでウォーカー・
ブラザーズを知った人も多いと思う。
↑GSブームの王子様キャラとおサイケ感覚を無理に合わせたトホホなCM(笑)
グループは1967年に解散。方向性の違い。名声と熱狂的ファンへの嫌悪感。
スコットは修道院で1週間を過ごし翌年には自殺未遂を起こした。
1967年にソロアルバム「Scott」を発表したスコットは、アイドルから逸脱し、
ジャック・ジョーンズ(1)風のバラードを歌うポップシンガーになっていた。
「Scott2」ではシャンソン歌手ジャック・ブレル(2)に傾倒。
ブレルの作品「Jacky」はスコットのソロ時代の代表作の一つとなった。
「Scott3」からは自作の曲中心になる。
張り詰めたような美しいメロディー。暗く深く内省的な詩。
哀しみの深淵へと誘うような低く響き渡る美しい歌声。
スコットの音楽は時代の流れから隔絶していた。
しかし唯一無二の魅力があった。
ラジオから次々流れる洋楽に夢中だった中学一年の頃、ドアーズやサイモンと
ガーファンクルやステッペンウルフやビートルズの合間に聴いたスコット・
ウォーカーの「行かないで(If You Go Away」は強烈なくらい心に沁みた。
この曲が入っている「Scott3」は全編ストリングスと控えめなアコースティック
・ギターだけでアレンジされている。
でも、スコット・ウォーカーはロックなのだと思う。
彼の歌を聴いてると、ロックとは8ビートであるとか、ドライブ感があるかとか、
エレキギターが鳴ってるとか、そういう問題じゃないような気がして来る。
うまく言えないけど。