2015年1月30日金曜日

瞳に恋の兆し。


これぞバート・バカラック!と思わせるしっとり美しいバラードだ。

1967年にダスティ・スプリングフィールドが歌いヒットさせたが、
僕はダイアナ・クラールのカバー(2002年)の方がずっと好きだ。

彼女の低い艶っぽい声質。落ちついた情感のこもった歌い方。
そして転がるような単音のピアノの間奏。

雨の日に聴きたくなる。





歌詞はハル・デヴィット。
「The Look of Love」の邦題は「恋の面影」だがしっくり来ない。
「恋の気配」か「恋の予兆」みたいなニュアンスだろうか。


The look of love is in your eyes   A look your smile can’t disguise
The look of love is saying so much more than just words could ever say
And what my heart has heard, well it takes my breath away

恋の兆しがあなたの瞳に表れているわ 微笑みで隠そうとしても無理よ 
言葉で伝えられないくらい多くのことを語っているもの 
私の心にそれが聞こえるの、そうよ、私の息は止まりそう

(拙訳:イエロードッグ)

2015年1月24日土曜日

上を向いて歩こう。涙がこぼれないように。


英国の歌手オリー・マーズによる「上を向いて歩こう」のカバー。

英詞訳はオノ・ヨーコさん。
PVには徳光和夫さんが特別出演している。





原曲の作詞は永六輔、作曲は中村八大。

「I Look Up When I Walk Down」という英語版もあるが直訳っぽく、
原曲の悲しみ、孤独、そしてその先にある希望が伝わらない。


今回オノ・ヨーコさんの新たな英訳で蘇った。
「落ち込んでなんていられない。前を向いて歩こう」という想いが
込められているそうだ。

新しい英題は「Look At The Sky」。いかにもヨーコさんらしい。
ジョンが歌ったらどんなふうになったろう、とふと思った。

2015年1月20日火曜日

ウエストコーストのトキワ荘。


ジャクソン・ブラウンが3月に来日するらしい。
友だちが行くと言っていた。

僕がその友だちと武道館でジャクソン・ブラウンを見たのは1979年。
1曲目が「Fuse」。大好きな「Fountain Of Sorrow」もやった。

ジャクソン・ブラウンを僕に教えてくれたのも彼だ。
ウエストコーストの吉田拓郎だよ、と彼は言っていた。

ジェイムス・テイラーやリンダ・ロンシュタッド、イーグルスと並んで
ジャクソン・ブラウンはあの頃の生活の一部、空気だった。

彼の曲は心の痛みや苦しさ、葛藤を歌っているらしいが、輸入盤を買って
いた僕は歌詞は聴いていなかった。
それよりメロディーや彼特有の節回しと声、そしてサウンドに惹かれた。





ジャクソン・ブラウンはイーグルスやニッティ・グリティ・ダート・バンド
に曲を提供していたが、自らも1972年にアサイラム・レコードからデビュー。

彼のアパートメントにはイーグルスのグレン・フライ、JD・サウザーが
住んでいたという。
なんだか手塚治虫、藤子不二雄、石森章太郎、赤塚不二夫が集まったトキワ
荘みたいだ。

グレン・フライはジャクソン・ブラウンの部屋から聴こえて来るピアノを
聴き作曲がどういうことなのか学んだという。
JD・サウザーは毎日繰り返し「Doctor My Eyes」を聴かされて、ジャクソン
・ブラウンを殺してやりたいと思ったそうだ(笑)

2015年1月15日木曜日

ある風景のなかで。


ジョン・ケージは、無音の「4分33秒」やプリペアド・ピアノ(ピアノの弦に
ボルトやナットを挟み演奏する)や図形楽譜で有名な前衛作曲家である。




          ↑図形楽譜。これで演奏家は分るんだろうか(汗)



でも時にハッとするくらい美しい無垢な音を聴かせてくれる。
「In The Landscape」はその代表作だ。



2015年1月10日土曜日

渋すぎるジョー・コッカーの旅立ち。


昨年あと一週間で新年というタイミングで英国の偉大なシンガー、ジョー・
コッカーの訃報が届いた。

苦みばしった渋くソウルフルなボーカル。
元祖エアギターともいえる全身でシャウトするパフォーマンス。

ウッドストックでの「With A Little Help From My Friends」は圧倒的だった。
ポール・マッカートニーも絶賛したほどである。



ギターを弾いてるヘンリー・マッカロク(彼も既にこの世を去った)は後に
ウイングスに加入し「My Love」ですばらしい間奏を弾いている。




これはアメリカNBCのサタデーナイト・ライブに出演した時の一こま。
曲はデイヴ・メイソンの「Feelin' Alright」。



隣でジョー・コッカーの真似をしているのは故ジョン・ベルーシ。
ジョー・コッカーは事前にベルーシの乱入を知らされていなかったそうだ。

Tシャツの「Stuff」ロゴはバックバンドのスタッフのトレードマーク。
1976年結成当時のスタッフを従えてジョー・コッカーが歌う貴重な映像だ。



ジョー・コッカーは「You Are So Beautiful」、ジェニファー・ウォーンズとの
デュエット曲「Up Where We Belong Joe Cocker(愛と青春の旅だち)」で
ファン層を拡げた。

でも僕はウッドストックで見た「このおっさん、気は確かか?」と思うような、
あの絶叫ぶりが忘れられない。

2015年1月5日月曜日

トンボという名前の子羊に捧ぐ。


羊年なので一発目は羊ネタから(笑)

ポール・マッカートニー&ウイングスの「Little Lamb Dragonfly」という曲。
1973年発表のアルバム「Red Rose Speedway」の中の一曲だが、ウイングス
結成前のアルバム「Ram」(1971年)のアウトテイクを流用したもの。

エレクトリックギターは「Ram」セッション時のヒュー・マクラッケン。
最初のヴァースはウイングス結成後のデニーレインが歌っている。

地味ながらポールらしい哀愁のある美しい楽曲で、コードの使い方、転調への
持って行き方など実にうまい。
大げさな「My Love」よりこっちの方がずっといいと個人的には思う。



         ↑写真をクリックするとYouTubeで曲が聴けます。


歌詞は当時ポールがスコットランドで飼っていた「トンボ(Dragonfly)」と
いう名前の子羊の死を悼む内容だ。

僕たちが会うことはもうないかもしれない、でもまだ僕は君を慕ってる、君が
いなくて寂しい、僕たちはどこで間違ってしまったんだろう、僕は待ってるよ、
努力すれば道はあると思う、という歌詞は当時こじれていたたジョン・レノン
との関係に思いを託した、とも言われている。