2015年3月4日水曜日

サニー・スカイズは眠そうだ。


英国アップルからのデビュー作が鳴かず飛ばずのジェイムス・テイラーが帰国後、
1970年ワーナーブラザースで出したアルバムが「Sweet Baby James」である。


シンガーソング・ライター・ブームの火付け役となったこのアルバムは全編通し
て気負いがなく自然体だ。
日本ではフォークソングの新旗手扱いだったがカントリー・ロックだと思う。

アコースティック・ギターでこんなに表情豊かな説得力あるバッキングができる
ことに驚いた人も多いだろう。
そのJTのギターを中心に盟友ダニー・コーチマーのギター、キャロル・キングの
ピアノ、ランディー・マイズナー(ポコ/イーグルス)のベース、ラス・カンケ
ルの心憎いほど的確なドラムが控えめにからむ。



ほとんどが自作曲。内省的な詩をあのゴールデンボイスで淡々と歌っている。
どの曲もすばらしい。

その中でも僕のお気に入りは「Sunny Skies」だ。
驚くことにこの曲はたった二つのコードしか使っていない。
ずっとAmaj7とE7sus4の繰り返しなのある。サビもエンディングも。

にもかかわらず躍動的なリズムとベースランニングで、聴き手はまったく飽き
ることなく心地よいサウンドの流れに最後まで身を委ねられる。
エンディングのリズムが変則的であれ?と思わせるのがまた隠し味だ。




この曲をコピーした人も多いだろう。
音は拾えてもなかなかこのグルーヴ感は出せるものではない。

加藤和彦がまったく同じコード進行で 「魔法にかかった朝」を作っているが、
さすが!完全に消化して自分のものにしている。


さて、曲の内容だが。
「晴れた空」のことを歌ってるのかと思ったらぜんぜん違うのだ。
「サニー・スカイズ」というのは誰かのことらしい。

アメリカのあるサイトには「彼の犬の名前」だと書いてあった。なるほど。

すごく怠惰な感じがいい。
ビートルズの「I'm Only Sleeping」といい僕はこういう曲が好きなのだ。


Sunny skies sleeps in the morning, he doesn't know when to rise.
He closes his weary eyes upon the day, look at him yawning, 
throwing his morning hours away.

He knows how to ease down slowly, everything is fine in the end.
And you will be pleased to know that sunny skies hasn't a friend.


朝になってもサニー・スカイズは眠っている
いつ起きればいいかなんてかまいっこなし
一日が始まっても大儀そうに眼を閉じ ほら あくびしているよ
そうして午前中を無為に過ごしてしまうんだ

のんびりやるならお手のもの 何だって最後には丸く収まるよ
サニー・スカイズには友だちなんて一人もいない
そう聞くと何だかほっとしちゃうだろう

James Taylor- Sunny Skies(中川五郎・訳)


↓サニー・スカイズはこのシェパードのことだろうか?
(1972年のアルバム「One Man Dog」のジャケット)
コーデュロイのパンツ、ダンガリーシャツにレジメンタルのタイ。
ものすごくアメリカしている!このアルバムも大好きだ。


2 件のコメント:

  1. 素晴らしいブログです。
    ありがとうございます。

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  2. >SkyNet20180901 さん

    過分なご評価をいただき恐縮です。どうもありがとうございました。

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