という状況が好き」と言っていた。なんだか分かるような気がする。
外は強い陽射しでうだるような暑さなのに、エアコンがほどよく効いた部屋で好きな
ことをしているというのは最高の贅沢かもしれない。
そんな時、どんな音楽が似合うか?
僕はラウンジ・ミュージックが聴きたくなる。
1960年代のホテルのラウンジで流れていそうな音楽だ。
バート・バカラックとかハー・ブアルパートとかパーシー・フェイスとか。
セルジオ・メンデス&ブラジル’66なんて夏にぴったりだ。
セルジオ・メンデス&ブラジル’66はボサノヴァとサンバがベースなのだが、より
聴きやすいポップ・ミュージックに昇華させている。
なにしろアレンジがすばらしい!
ジョアン・ジルベルトやアントニオ・カルロス・ジョビンのボサノヴァは、暑い浜辺に
そよぐ風のようだが、セルジオ・メンデス&ブラジル’66はラテンの熱さが伝わって来る。
暑い日にあえてホットな食べ物で心地よい汗をかくような感じだろうか。
それでいてクールで都会的なのだ。
だからアップテンポのサンバでも邪魔にならない。BGMとしては最高である。
ボーカルはボサノヴァ特有の「けだるい感じの小声でボソボソ抑揚をつけない歌い方」
とはだいぶ趣が違う。
声質が近い女性2人のユニゾン(時には3度でハモる)はダブルトラッキング(1人
が同じメロディーを2回歌う、またはエフェクトで重ねる)と同じ効果がライブで
も得られ、聴きやすいポップソングになっている。
セルジオ・メンデスのピアノのバッキングも典型的なボサノヴァのスタイルではない。
動きが多く力強くジャジーである。
ボサノヴァ特有のメロディーのフェイク(メロディーを揺らす、あるいは先取りしてノリ
を作る方法)もない。
ボサノヴァという音楽はマイナスの美学で、できるだけよけいな音をそぎ落として素朴
にしようとするのが常だが、セルジオ・メンデスの場合は音を厚く重ねていく。
それでいてすっきり聴こえるというのがアレンジ力の証拠である。
メインのメロディーを縫うように流れるストリングスも美しい。
僕の愛聴盤はA&Mから以前発売された「Easy Loungin’」というコンピレーションもの
で、選曲がとてもすてきだ。
CDケースの中写真にはアルネ・ヤコブセンの名作エッグチェアでくつろぐ男性の写真の
横にこう書かれている。
Let’s Lounge, Baby!
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