2020年8月30日日曜日

あの曲でジョンとポールは何と言ってるのだろう?

<ゲット・バック(シングル)でポールは何を言ってるのだろう?>

これも中学生の頃から気になってた。

ゲット・バックのシングル・ヴァーションでブレイクの後、また始まりポールが
アドリブでしゃべっている。何と言ってるのだろう?




↑ゲット・バックのシングル盤、ブレイク後のアドリブ・ボーカルが聴けます。


こう言ってるらしい。


Ooow


Get back, Loretta

Your mommy's waiting for you
Wearing her high-heel shoes
And her low-neck sweater
Get back home, Loretta


何のことはない。本編の歌詞と同じ内容である。

咄嗟にトーキング・ブルース調にしてしまうのがポールならではだ。
そして最後のこぶしの効いた黒っぽいシャウトがこれまたカッコいい。


Get back, get back, get back to where you once belonged......




このシングル・ヴァーションはグリン・ジョンズがミックスを行った。

2つのテイクをつなぎ合わせている。

ブレイク前(Ooowまで)は1月27日に録音されたテイク

これは後にフィル・スペクターの手でアルバム、レット・イット・ビーに収録
されたヴァージョンと同じだ。

ブレイク後(ドラムのフィルイン以降)は翌1月28日に録音されたテイク

2つのテイクをつなげたは思えないくらい、2つのテイクはテンポも正確だ。
一発録りでオーヴァーダブはされていない。言わばスタジオ・ライブである。






1月27、28日は集中してゲット・バックを仕上げるべくテイクを重ねた。

ビートルズとビリー・プレストンは納得がいくまで何度も繰り返す。

ビートルズが集中すると、テンポも一定に保たれるのだ。

まだドンカマ(リズムマシン)がない時代。それをモニターしながらという
わけでもないのに。(メンバーたちはモニター用ヘッドホンをしてない)

素人のぽんこつバンドだとどんどん早くなったり途中で狂うものだが(笑)



ブレイク後のポールのアドリブ・ボーカルの後フェイドアウトする。

本当はこのテイクは続きがあってお遊びになって行くのだ。


その部分は発売中止となったアルバムGET BACK with Don't Let Me Down

and Other Songsの最後にGet Back (Reprise)として収録されるはずだった。





↑シングル・ヴァージョンの続き、Get Back (Reprise)が聴けます。


この部分は映画「レット・イット・ビー」の最後に使われていた。

ジョンの挨拶の後、静止画像になりクレジットが入る箇所から流れる。


ここでは、こう言ってるようだ。


Get back, get together, Get back home

Oh, we gotta get together, Ooh, ooh, huhuhu, hahahaha(laughing)
(John) Get back, yeah,  yeah

Mama's waiting for you Loretta

Get back and put on your high heel sweater, yeah



<ゲット・バック(アルバム)でジョンとポールが言ってること>


次にアルバム「レット・イット・ビー」に収録されたゲット・バック。

1月27日の録音でシングルと同じテイクを使用している。




↑クリックするとアルバム・ヴァージョンのゲット・バックが聴けます。


シングルで聴かれる1月28日に録音されたテイクは使用されていない。

Ooowで終わってしまうためか、シングルと比べると物足りない感がする。


曲の前後には屋上でのSEとジョンとポールのおしゃべりが加えられた。

曲が始まる前。楽器のチューニング音に会話が重なる。

(Paul) Rosetta...

(John) Sweet Loretta Fart she thought she was a cleaner,
           But she was a frying pan
(Paul) Sweet Rosetta Martin... Rosetta
(John) The picker, the picker, picture the fingers burning
(Paul) Oh
(John) Okay

ジョンが即興で言ってるのは歌詞のパロディ。

「かわいいロレッタ・ファート(おなら)は自分を掃除機だと思ってたけど、
実はフライパンだった」というジョンお得意のナンセンス・ギャグ。
これは別な日にスタジオで録音されたもの。

楽器のチューニング音やThe picker(ギター弾き)picture the fingers 

burning(指がしもやけなの想像してくれよ)、Okayというジョンの声は
屋上でのアイヴ・ガッタ・フィーリングの前に入ってた音。


曲が終了後。


(Paul) Thanks, Mo

(John) I'd like to say thank you on behalf of the group and ourselves, 
I hope we passed the audition.…

ポールは拍手してくれたリンゴの妻、モーリンでお礼を言っている。



ビートルズの妻たちはできるだけ目立たないようにしながら見ていのだ。
ファンが見たいのはFAB4、自分たちは映らないように、と控えめだった。
ただ一人、ヨーコだけはジョージの横の特等席にどうどうと座ってたが。






ジョンは「バンドを代表して皆様にお礼申し上げます。オーディションに

受かるといいんだけど」と言って周りを笑わせている。
デビュー前レコード会社のオーディションになかなか受からなかった下積み
時代を自虐的に言ってるのだろう。



このポールとジョンの挨拶は、屋上で最後に演奏したゲット・バック終了後

に言われたもの。

フィル・スペクターは1月27日に録音されたテイクに屋上での会話を入れ、

ライブのように仕立てたゲット・バックをアルバムの最後に配して、上述の
ジョンの挨拶で締めくくろうとしたようだ。(映画と連動するためか?)



<屋上で最後に演奏したゲット・バックでは何を言ってるか?>


1968年1月30日、屋上でゲット・バックは3回演奏されている。

その3回目が、屋上コンサートのラスト・ナンバーとなり、ビートルズとして
演奏する最後のゲット・バックとなった。




↑4人が屋上ライブで最後に演奏したゲット・バックが聴けます。
(アンソロジー3に収録された)


警察が屋上まで上がって来たため、ローディーのマル・エヴァンスが焦り

ジョンとジョージのアンプの電源を落とした。
しばらくはリンゴ、ポール、ビリー・プレストンのみの演奏になっている。

しかしジョージが反抗的にアンプのスイッチをまたオンにする。

荒削なジョンのギターも加わりまた演奏され出した。


ポールは警察を挑発するような即興トークを披露しながら演奏している。


Come on, come on, ah come on, go home.
Your mama's waiting in her high heeled shoes
and her low neck sweater.
Get back to her, yeah.

Yeah, get back.

You've been out too long, Loretta.
You've been playing on the roofs again and that's no good.
And you know your Momma's doesn't like it.
She'll get angry.
She's gonna have you arrested!


後半の大意は。。。。


お出かけが長すぎるね、ロレッタ。

また屋上でやるさ、いけないことだけど
君のママは嫌がるって分かってるだろ
怒るだろうな
君を逮捕させちゃうよ


最後にポールがGet Backと言って曲が終わる。

その後にアルバム・ヴァージョンで使われたポールとジョンの言葉が入る。
本当は屋上で最後に演奏したこのテイクの後に言ってるのだ。

Paul) Thanks, Mo

(John) I'd like to say thank you on behalf of the group and ourselves, 
I hope we passed the audition.…




<アルバム「レット・イット・ビー」でジョンはDigを連発している>


トゥ・オブ・アスの前に入るジョンのナンセンス・ギャグ。

別な日に録音されたジョンのデタラメな言葉遊びを曲の頭に付け足したもの。






I Dig a Pygmy', by Charles Hawtrey and the Deaf Aids... 

Phase One, in which Doris gets her oats!

チャールズ・ホートリーとデフ・エイズによる「ピグミーのカマを掘る」。

第1章、ドリスがエッチします。


Digは「掘る」という意味。

〜が好き、〜を理解する、という意味でも使われる。

DJが「楽しんでる?」という時にも、Hey, you dig it?と言ったりする。

スラングでは〜(異性)をものにする、といった使われ方もする。


Deaf Aids(補聴器)はビートルズが愛用していたVOXアンプの愛称

get her oatsは英国のスラングで「セックスする」の意味。
I Dig a Pygmy'はピグミーが好きというより卑猥な意味ではないかと思う。


Digもともと黒人が使っていた表現。

ジョンはこの時期、Digがお気に入りだったようだ。


ディグ・イットとレット・イット・ビーの間でもジョンのDigが登場する。

これもトゥイッケナム映画スタジオで録音された会話から流用された。

That was “Can You Dig It?” by Georgie Wood., 

And now we'd like to do 'Hark, the Angels Come
(ジョージー・ウッドの Can You Dig It? でした。
次は「ほら、天使がやってくる」をやります。

  ※Can you dig it?は慣用句で「分かった?」という意味。







ディグ・ア・ポニー、ディグ・イットはまんまDigを使った曲である。


ディグ・ア・ポニーのponyはpussy cat(子猫)同様に小柄な女性のこと。

You can celebrate anything you want(君は思いのまま何でも祝える)、
All I want is you(欲しいのは君だけ)と歌ってるこから、ヨーコへ捧げる
曲と考えられる。

I Roll A Stoney, Well, You can imitate everyone you know(石を転がす、

知っているものを何でも真似してもいいよ)は当時ビートルズの後追いで
真似をしていたストーンズに対する皮肉。

(サージェント・ペパーズのジャケットで右端の女の子の人形のTシャツに

Welcom The Rolling Stonesという字が見られるがそれも同様。
ストーンズは挑発に乗ってサタニック・マジェスティーを発表した)


レット・イット・ビーに収録されたディグ・ア・ポニーは屋上での演奏。

演奏終了後ジョンが、Thank you brothers! Put me hands getting too 
cold to record.(ありがとう、ブラザー、寒くてコードが弾けない)と言う。

brotherは黒人が親しい仲間に呼びかける時に使う。

真冬で厳寒のロンドンのビルの屋上。風も強かった。
あまりの寒さにジョンとリンゴは妻のコートを借りたくらいだ。
演奏の合間、ジョンが右手に息をかけて温めようとするシーンもある。







ディグ・イットはアップル・スタジオでの即興的なセッション。

この曲でのDig It は〜が好き、〜を楽しむ、という意味。



<屋上コンサートで曲の合間にジョンが口ずさんだのは何?>


レット・イット・ビーに収録されたワン・アフター909も屋上での演奏。

演奏終了後ジョンがダニー・ボーイ(アイルランド民謡、ロンドンデリー
の歌)の替え歌を口ずさむ。

Oh, Danny Boy, The altar men are calling. 

(ああ、私のダニーよ 聖堂の人が呼んでいるよ)

  ※altar boy=ミサの侍者、altar call =〈米〉祭壇からの招き


原曲は、Oh, Danny boy, the pipes, the pipes are calling。

(ああ、私のダニー、バグパイプの音が呼んでいるよ)


レット・イット・ビー収録のアイヴ・ガッタ・フィーリングも屋上での演奏。

演奏後にジョンが「Oh, My soul …Oh, soul」と口ずさむ。





ジョンはビートルズが大規模なツアーをやってた頃から、ラララ〜♪とかムムム
ムム♪(ハミング)とか関係ない歌を口ずさんだり、ステージで意味不明なこと
を口走ったり、おどけて踊る真似したりすることが多かった。

またポールが、The next song, we hope you joining, clap your hands and 

step your feet(次の曲はみんなも一緒に手拍子や足を踏みならしてください)
と言うと、ジョンは横で障害者の真似をしながら手拍子、足踏みをすることも
あった。(障害者を出汁にビートルズに近づこうとする者たちへの皮肉らしい)


レット・イット・ビー....ネイキッドではこうした会話の部分がすべてカット

されエンディングの音もすぐ消えてしまうため、素っ気ない印象が残る。


コロナ渦で来年に延期されそうなリミックスも、どういう形になるか分から

ないが、会話も含めたアウトテイク、屋上コンサート、グリン・ジョンズが
手がけた幻のアルバム、ゲット・バック(会話が多い)を聴きたいものだ。


<参考資料:THE BEATLES RECORDING SESSIONS、Wikipedia、

ビートルズ録音年表、ゲット・バック・セッションの音源と映像、LyricFind、
Genius Lyrics、YouTube、他>

2020年8月20日木曜日

あの曲でデイビーは、ミックは何と言ってるのだろう?

 <モンキーズのデイドリーム・ビリーバーの冒頭の会話>

曲が始まる前、デイビー・ジョーンズと誰かの会話が入っている。
中学生の英語力で聴き取れるわけがない。何と言ってるのだろう?



↑写真をクリックするとモンキーズのデイドリーム・ビリーバーが聴けます。


こう言ってるらしい。


Chip Douglas:  7A...  
Davy Jones:   What number is this, Chip?  
Chip (and another unspecified voice):   SEVEN - A !
Davy :Okay, Know I mean,don't excited,man.It's 'cause I'm short,I know...


レコーディング中の会話。
プロデューサーのチップ・ダグラスがコントロールルームから何テイク目か、
ボーカル録り中のモンキーズに教える。

 7Aというのは、テイク7をベーシックテイクとしA、Bと複数録るのだろうか?
僕は Seven-Eight と言ってるのだと思ってた。(最後の子音が聴こえないが)
実際に海外でも Seven-Eight と記載されているサイトもある。(1)

アレンジやテンポを変えいくつか録ったオケのうちテイク7をベストとし、
リダクションした上で、ボーカル録り。その8テイク目かと。
テイク78 (Seventy Eight)を簡単にSeven-Eight と言ってる可能性もある。






デイビーは「チップ、これ、何テイク目だっけ?」と訊き返す。
チップと他の誰か(エンジニアか他のメンバーか)が声を揃え、やや語気を強め
てもう一度「SEVEN - A ! 」と応える。

(You) know (what) I mean, don't (get) excited,の( )内は省略されている。
manは呼びかけ。'cause は becauseの省略形。(ビートルズの曲でも使われる)


デイビーは「オーケー、察してくれよ、そうカッカするなって。僕がチビだから
だな。分かってるんだ」とユーモアでスタジオを和ませている。

おそらくテイク数を重ね、みんな疲れてピリピリしてたのだろう。
デイビー自身も最初この曲に可能性を感じることができず、録音時は不快な感情
のままで歌っていたと、後に認めている。


チップ・ダグラスはこのやり取りを面白がり、曲の冒頭に入れたのだ。




デイドリーム(原題:Daydream Believer)はモンキーズが1967年に発売した
5枚目シングルで、4週連続全米1位を記録した。
アイム・ア・ビリーヴァー(I'm a Believer) に次ぐヒット曲となった。

翌1968年にアルバム、小鳥と蜂とモンキーズ (The Birds, The Bees and 
The Monkees)に収録されている。


NBC系列で放送されたザ・モンキーズ・ショーが、日本では1年遅れて1967年
10月から1969年1月にかけて放送(TBS系列)されたため、日本で人気に火が
ついたの1年遅れ。デイドリームも1968年にヒットしている。

しかもデイドリームはアメリカ、日本でも長く愛される彼らの代表曲となった。
ボーカルはデイビー、マイクがギター、ピーターがピアノ、ミッキーはコーラス。
その他はスタジオ・ミュージシャンを起用している。





初期はレッキング・クルー(2)が演奏したオケに歌だけ吹き込むハリウッド形式
に甘んじていたモンキーズが自立性を求め謀反を起こして(3)からの作品だ。

デイドリームはプロデューサーのチップ・ダグラスの「モンキーズに合いそうな」
という要請に応じて、ジョン・スチュワート(キングストン・トリオに在籍)
提供した曲で、チップの意向で一部歌詞が変更されている。

ジョン・スチュワート自身も後にこの曲を録音。
アルバムThe Lonesome Picker Rides Again(1971)で発表している。
ジョン・スチュワート版はカントリー色が強く、デイビーよりマイクに向いてる
気がする。ジョニー・キャッシュやグレン・キャンベルが歌っても違和感ない。




↑クリックするとジョン・スチュワート版デイドリーム・ビリーバーが聴けます。


デイドリームは多くのアーティストにカヴァーされている。
日本ではとりわけ忌野清志郎が独自の歌詞をつけ歌うヴァージョン(4)が2011年
からセブン・イレブンのCMで繰り返し流れているので、若い人たちはこちらの
方が馴染みがあるかもしれない。

忌野清志郎ファンには申し訳ないが、個人的に好きではない。
テレビを見てて、ラ〜ラララ〜♪ ずっと夢を見て〜♪ というCMが流れてくると、
またかよ、モンキーズの名曲への冒涜だ!と言いたくなる。






<ストーンズのタイム・イズ・オン・マイ・サイドでミックが言ってる内容>

ストーンズの人気曲タイム・イズ・オン・マイ・サイド (Time Is on My Side) 。
間奏でギター・ソロに乗せてミックが語りかけシャウト。
(ライブではここでキャーと女の子たちが盛り上がる)

何と言ってるのだろう?



↑写真をクリックするとストーズのタイム・イズ・オン・マイ・サイドが聴けます。


こう言ってるらしい。


Go ahead, go ahead and light up the town
And baby, do everything your heart desires
Remember, I'll always be around
And I know, I know
Like I told you so many times before
You're gonna come back, baby
Because I know
You're  gonna  come back knocking
Yeah, knocking right on my door
Yes, yes!

ほら、やれよ!(5) 街を明るく照らしてくれ
おまえは心の向くまま好きなことをやればいい
覚えていてくれ 俺はいつだって近くにいる
で、分かってるぜ
前に何度も言ったように、おまえは戻ってくるさ
だって分かるんだ
おまえが戻ってきてドアを叩くだろうって
そう、俺の家のドアを叩くんだ、きっとそうさ








オリジナルはアメリカのジャズ・トロンボーン奏者カイ・ウィンディングが1963年
に発表したインスト曲。
Time is on my side(今がチャンス、時が味方してくれてる)とYou'll come 
running back(お前は戻って来るさ)のパートだけ女性コーラスが入る。

3声のバックコーラスはホイットニー・ヒューストンの母シシー・ヒューストン、
ディオンヌ・ワーウィックと妹のディー・ディー・ワーウィックの3人が担当した。



↑カイ・ウィンディングのタイム・イズ・オン・マイ・サイドが聴けます。


1964年6月、ジミー・ノーマンがこのインスト曲に新たに詩を付け、女性シンガー
のアーマ・トーマスによって歌われた。

ギターの間奏に乗せてアーマ・トーマスはミックとほぼ同じ台詞を言っている。
つまりこの語りのパートはジミー・ノーマンが作った歌詞の一部であり、ミック
はそれを踏襲している、決してアドリブで言ってるわけではないことが分かる。



↑アーマ・トーマスのタイム・イズ・オン・マイ・サイドが聴けます。


同年9月26日、ローリングストーンズがアメリカでシングルA面曲として発表。
イギリスでは翌1965年1月にアルバム、ザ・ローリングストーンズ No.2に収録。
1964〜1966年にストーンズのステージでよく演奏される人気曲であった。



1964年10月、サンタモニカで開催されたTAMIショー(6)にストーンズは出演。
この時、彼らは2度目の渡米で、初の大規模なツアーの最中だった。
2日前にエド・サリヴァン・ショーへの初出演を果たし、ニューヨークとサクラ
メントで公演を行った後、会場のあるサンタモニカにやってきた。

2月にビートルズが初の渡米を果たしエド・サリヴァン・ショーに出演。
8月に大規模な全米ツアーを行った後。
ビートルズの成功に続き、半年遅れでストーンズも全米進出したことになる。




地元カリフォルニアのジャン&ディーン、ビーチ・ボーイズ、レスリー・ゴーア。
チャック・ベリー、R&Bの大御所ジェームス・ブラウンが出演者に名を連ねる。
そこにスモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ、シュープリームス、マーヴィン
・ゲイとモータウン勢も加わっていた。

ブリティッシュ勢はストーンズの他、ビリー・J・クレイマー&ザ・ダコタズ、
ジェリー&ザ・ペースメーカーズが参加。アウェイな環境での出演だった。


しかも出演前にストーンズは自分たちがショーの一番最後だと知らされる。
自分がトリになると思っていたジェームス・ブラウンは「ストーンズが二度と
アメリカに来たくるようなステージをやってやる」と宣言していた。


ストーンズは4曲演奏したが、とりわけタイム・イズ・オン・マイ・サイドの
出来は出色で、客席も一際盛り上がっている。



↑TAMIショーでのストーンズのタイム・イズ・オン・マイ・サイドが観れます。


このショーでも間奏部のミックの語りはほぼレコードに忠実である。

ストーンズがステージを降りるとジェームス・ブラウンが握手を求めてきた。
ミックもこう語っている。

「今回のツアーはジェームス・ブラウンを見れたのが一番良かった。素晴らしい。
TAMIショーでジェームスの後でステージに出るのはある意味、災難だったよ。
彼がステージに現れると観客はコンサートの締めくくりだと思ってしまうだろう」




ジェームスとストーンズは親交を深め、ミックはジェームスのステージでの動き
を取り入れることで、ステージでのパフォーマンス力をさらに高めた。



タイム・イズ・オン・マイ・サイドは日本でもGSがよくライブで演奏していた。
タイガース、テンプターズ、スパイダーズなど。

特にタイガースによるカヴァーはストーンズの1966年のライブ・アルバム、
ガット・ライヴ・イフ・ユー・ウォント・イット!(7)収録のヴァージョンをほぼ
完コピしている。 えらい! R&B色は完全に失せているが。



↑写真をクリック。タイガースのタイム・イズ・オン・マイ・サイドが聴けます。


例のGo ahead, go aheadのパートはたぶん英語が堪能な人に聴き取ってもらっ
たのであろう。ストーンズのそれとは何箇所か異なる。
歌はご愛嬌だけど、こういう台詞回しはネイティブじゃないとサマにならない。


<脚注>