ピンクフロイドのアルバム「原子心母(Atom Heart Mother)」(1970)
は中学一年の時にヤマハの輸入盤セールで買った。
それと対照的なのがB面1曲目の「If」という素朴で牧歌的なこの曲である。
歌詞は悲しいくらい内省的だ。
A面の張りつめた空気が一転して和む。とても心地よい。
僕は夜A面を聴いて、翌朝B面を聴いていた。
タイトルもアーティスト名も表記されていない大胆なジャケットは英国の
デザイン・グループ、ヒプノシス(注1)が手がけている。
ちなみに写真の牛は「ルルベ3世」という名前らしい。
世界一有名な牛と言われている。
↓対訳も載せましたのでよろしければ併せてご覧ください。
If I were a swan, I'd be gone. If I were a train, I'd be late.
And if I were a good man, I'd talk with you more often than I do.
If I were asleep, I could dream. If I were afraid, I could hide.
If I go insane, Please, don't put your wires in my brain.
If I were the moon, I'd be cool. If I were the rule, I would bend.
If I were a good man, I'd understand the spaces between friends.
If I were alone, I would cry.
And if I were with you, I'd be home and dry.
And if I go insane, Will you still let me join in with the game?
If I were a swan, I'd be gone. If I were a train, I'd be late again.
If I were a good man, I'd talk with you more often than I do.
もし僕が白鳥だったら、飛び去ってしまうだろう。
もし僕が列車だったら、遅れてくるだろうな。
もし僕がいい人だったら、もっと君と話ができるのにね。
もし僕が眠ったら、夢を見られるだろう。
もし僕が恐がっていたら 隠れることもできるだろう。
もし僕の気がふれても、どうか僕のことをいじめないでくれ。(注2)
もし僕が月だったら、クールでいられるさ。
もし僕が規則だったら、そんなの曲げちゃうよ。
もし僕がいい人だったら、友だちとの距離を理解できたのにね。
もし僕が一人ぼっちなら、泣いちゃうよ。
もし僕が君と一緒にいられるなら、すべてオッケーさ。(注3)
もし僕の気がふれても、君はまだ一緒に遊んでくれるかな。
もし僕が白鳥だったら、飛び去ってしまうだろう。
もし僕が列車だったら、遅れてくるだろうな。
もし僕がいい人だったら、もっと君と話ができるのにね。
Words and music by Roger Waters 対訳:イエロードッグ
(注1)ピンク・フロイド、ジェネシス、レッド・ツェッペリン、10CC、
松任谷由実、ウィングスなど、多くのアーティストのアルバム・ジャケット
のデザインを手がけている。
現実と非現実、矛盾や対比などイマジネーションに富む創造的な作風が特徴。
(注2)don't put your wires in my brainは「僕の脳をワイヤーでしめつけ
ないで」というシュールな表現だが、put the wire on(を中傷する、そしる
)をかけているようにも思えるので「僕のことをいじめないで」と訳した。
(注3)home and dryは (苦戦のあと)目的を達成して、 無事成功しての意味。
雨で大変だったけど家に帰って安心、というニュアンスか。
君がいればもう安心、万々歳みたいな感じ?で「すべてオッケー」にした。
A面のAtom Heart Motherと比べると、なんと素朴で心和む歌なんでしょう。メロディーもでしょうが、このハスキーボイスのもつ温かさに魅力があるのだと思います。最初、イエロードッグさんが歌っているのかと思うほど、声質、発声が似ているのに驚きました。
返信削除>Mary Ppmさん
削除A面の張りつめた高揚感がB面では一気に緩んでなんだかホッとします。
レコード時代のA面とB面はこういう違い、聴き分けが楽しめましたね。
ロジャーウォーターズはエキセントリックにシャウトするかと思えば、
こんなふうにささやくようなやさしい歌い方もするんですよ。
もう一人のキーマン、デヴィッドギルモアもワイルドな歌い方もでき、
ソフトなハスキーヴォイスも聴かせてくれます。
こんにちは。
返信削除やはりロックはこの時代のものがいちばん好きです。
フロイドはプログレッシブという言い方を良くされましたが、
私はポップで親しみやすいメロディーが好きです。
あと、何て言ったら良いか難しいのですが、自分の心臓の鼓動に
同期するというか、なにかそんな安心感を得られる希有なバンドなんです。
だから今も聞き続けているんだと思います。
>proviaさん
削除最初はサイケデリックロックと言われてましたよね。
このアルバム辺りからプログレという言葉が出て来たのかな。
同じ頃「ピンクフロイドの道」というベスト盤もよく聴きました。
いろいろなタイプの曲ができるバンドなんですよね。
See Emily Play、Biding My Time、Cirrus Minor、The Nile Song
は今でも大好きです。
LPはニックメイスンのイラストだったのに、CDはなぜか模型の
写真に変わってて残念です。
この4人が生み出すどっしりしたグルーブ感っていいですよね。