2015年11月25日水曜日

ビートルズ「+1」がやって来た!<CD全曲レビュー2>

12. Day Tripper
ギター(ダブルトラキング)が左右から鳴るのは同じだがややセンター寄りに
改められパワー感が増した。
間奏の後、1:42辺りで左のリフが落ちるのが以前から不思議だったのだが、
今回のミックスでジョージがミスって4拍の裏を弾いていないのが確認できた。

ユニゾンで同じラインを弾くポールのベースが左からセンターへ。
これによってこの曲の売りであるリフがしっかり前に出て来る。
また左のベースが移動したことで同じく左のジョンのリズムギターが鮮明に。
ああ、Eを弾きながら時々7thの音を入れてるんだなあ、と分かった。

左のドラムは少しセンターに移動しビートが強くなった。
タンバリンが右なのは変わらないが歪みがなくなり硬質で抜ける音に。
従来は右だったボーカルがセンターに移動して聴きやすくなった。
同じく右のコーラスがセンターから右へと広がる。いい感じだ。


13. We Can Work It Out
以前は左にほとんどの楽器、右にボーカルとハーモニウムという極端な左右泣き
別れだった(Rubber Soulのミックスの特徴)。 
今回は左にアコースティックギター、ベース、ドラム、タンバリンという定位は
踏襲しながらややセンターに寄せられ、右はハーモニウム、ボーカルはセンター
で聴きやすくなった。

それだけではない。
ポールのボーカルのダブルトラッキングの片方が右に定位し、センターと右から
聴こえるピーター・コビン方式が取られステレオ感が楽しめてうれしい。
ジョンが弾くハーモニウムは伸びやかな音で拡がり二音なのが分かるようになった。
余談だが一音ずつ別なトラック(一つはフェイドイン)に録音されたらしい。





14. Paperback Writer
これも劇的に変わったと思う。カッコイイ!
従来は左にギター、ドラム、タンバリン、右にベースとコーラス(歌い出しのみ
右と左)の分離が効きすぎで、せっかくのリフが遠くから聴こえ不満だった。

今回は歌い出しからハーモニーが左右に拡がり美しく響き渡る。
ポールのダブルトラックのボーカルはセンター寄りの左と右でステレオ感が出た。
ギター、ドラム、タンバリンはセンターに移動(おそらく同じトラックに一緒に
録音されたのだろう)。
そのせいで迫力が出た。リンゴのドラムは重くギターは力強い。


15. Yellow Submarine
まず従来。
アコースティックギター、ドラム、ベースが左でボーカル、コーラスは右の泣き別れ。
終盤のYellow Submarineのリフレインは左からも声が聴こえセンターに動く。
ティンパニーはセンター。
管楽器がセンター、波などの効果音がセンター〜やや左に配されていた。

1999年のYellow Submarine Songtrack版は別物と思うくらい大胆に変えられている。
それと比較するのもナンなのでパスして2015年版のレビューに移りたい。

アコースティックギターは左。
リンゴのボーカル、ドラム、ベースはどっしりセンターへ。
We all live in a yellow submarineのコーラスが両側からリンゴを囲む。
波の音は右、他の効果音も右と左に振り分けられる。
管楽器は左から右へマーチングバンドが動いてるのが想像できるようだ。
この曲も今回のミックスの勝ち〜♫

尚DVDの5.1だと波や声が後ろに回っておもしろいらしいが、残念ながら我が家は
サラウンドが楽しめる環境にない。



16. Eleanor Rigby
これも劇的に変わった。本当に(笑)

まず従来。Ah look at all the lonely people〜のボーカルは左右。
Eleanor Rigby〜で右のみになるが最初のEleaだけ左に残っている。
これは単純にミックス時にフェイダーを下げるのが遅れたためだろう。

All The Lonely People〜はセンターに聴こえるが左右でユニゾンで歌っている。
この頃ADTが導入されたので1つのトラックをずらしてるのだと思う。
最後に小さく聴こえるAh look at all the lonely people〜は左。
ストリングスはまとめてセンターに定位されていた。

で、今回。
Ah look at all the lonely people〜が左右なのは同じだがセンター寄りに。
Eleanor Rigby〜からセンターでしっかり歌う。
左chのEleaの取り残しもなし(笑)
All The Lonely People〜はセンター寄りだが左右のステレオ感も充分だ。

ストリングスの配置も大きく変わった。
左に第一バイオリン、第二バイオリン、センター右よりにビオラ、右にチェロ
とまるで弦楽四重奏がポールを囲むように伸びやかな音色を奏でている。





17. Penny Lane
従来はほとんどの楽器とボーカルがセンターに寄せられ、クラリネットとピッ
コロとオルガンが右、鐘は左、サビのand in my eyesで入るトランペットは
左右に振り分けられてた。
有名なピッコロ・トランペットの間奏は左だが終盤のオブリは左に移動。

2015年盤ではポールのピアノが左に定位されはっきり聴こえる。
peasure to know〜でセンター(と右からややずれて鳴る)他のピアノが聴
こえ、二台で弾いている(一台はジョンらしい)ことが初めて確認できた。
右からのオルガンは前よりはっきり弾聴こえる。

クラリネットとピッコロが右、鐘が左、サビのand in my eyesで入るトラン
ペットが左右なのは同じ。
間奏のピッコロ・トランペットはセンターで誇らし気に鳴り響く。
終盤もセンターだがエンディングのみ左へ。

センターはポールのボーカルとベース、ドラムと王道。
ベースは伸びやかに重く響く。
リンゴのハイハットの刻み方、スネアの入れ方は抜群のセンスだ。

ポールのボーカルはセンターで変わらず。
There beneath the blue suburban skiesのコーラスは左右に広がるよう
になった。


18. All You Need Is Love
ラ・マルセイユのイントロは右にトランペット、左にピアノの単音、セン
ターでドラムロール。
次に左からハプシコードとLove love loveのコーラス。右からチェロ。
ジョンのボーカルとベース、ドラムがセンター入るのがオリジナルのミックス。

流れるようなストリングスとAll You Need Is Love〜で入る管楽器は右〜
やや右に配されていた。
ジョージのギターソロはセンター。
All You Need Is Love〜でジョンのダブルトラックの片方のボーカルが左に
振られる。
ジョージとポールのコーラスは左。
終盤のポールのAll together nowはセンター。


1999年のYellow Submarine Songtrack版では劇的に変わる。
ラ・マルセイユのトランペットが左右中央に広がり響く。音量も大きくなる。
ピアノの単音は聴こえなくなった。
Love love loveのコーラスもセンターから左右に広がり音量も上がった。
ハプシコードの左、チェロの右は同じ。
ストリングスは左〜やや左へ。All You Need Is Loveの管楽器はやや右寄り。

All You Need Is Love〜でジョンのダブルトラックの片方のボーカルが左
からややずれて聴こえるのが顕著になり広がりが出た。
ジョージのギターソロ、終盤のポールのAll together nowはセンタで同じ。


そして2015年版「1」である。
ラ・マルセイユのトランペットが右、ピアノが左という定位はオリジナルと
同じだが、両方ともよりクリアーに聴こえる(特にピアノの単音)。
左からハプシコード、右からチェロという入り方もオリジナル準じているが、
Love love loveのコーラスは左右に広がるようになった。

ジョンのボーカルとベース、ドラム、間奏のギター、終盤のポールの掛け声
センターという定位もストリングスとAll You Need Is Love〜で入る
管楽器が右〜やや右に配されているのもオリジナルのミックスに忠実。

つまりオリジナルのミックスに敬意を表しあまり変えなかったということか。
個人的には1999年のピーター・コビンの激変ミックスが好みであるが。




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