2015年11月19日木曜日

ビートルズ「+1」がやって来た!<CD全曲レビュー1>

◆全体的な音の傾向

オリジナルのミックスで極端に左右にふられていた楽器やボーカルの定位がセンター寄り
に改められ、不自然さがなくなり聴きやすくなったと思う。


ポールのベースとリンゴのドラムがどっしりセンターでかまえる王道の定位が多い。
ボーカルも基本的にはセンター。(他の定位とのバランスで右寄りの曲もある)
ダブルトラックの声を左右どちらかのチャンネルで小さめに鳴らすピーター・コビン方式
も復活した(個人的には好み)。

ギターは左右、センターと分けられ今までより何をやってるか鮮明に分かる。
ストリングスなどは左右から背後に広がるミックスで奥行き感も出た。






ポールのリッケンバッカー・ベースが太くずっしりと量感が増し伸びやかになり、ブン
ブンうねるベースラインの躍動感が出るようになった。
エレキギターの音は引き締まり音の輪郭が明確に、アコースティックギターの音はかなり
鮮明に生々しく響く。
リンゴのドラムはタムの音がしっかりし、シンバルの金属音が抜けるようになった。
時にうるさすぎたタンバリンなども音量、定位で調整されている。

ボーカルはクリアーでパワーアップしている。
左右どちらかかセンターで重なるように聴こえていたコーラスが、ボーカルを囲むよう
に左右に広がり歪み感が消えてますます美しく響くようになった。







以下、前半1〜11曲目の聴きどころ(個人的な所感)をまとめてみた。



1. Love Me Do
2. From Me To You
3. She Loves You
以上3曲はモノラル。
モノラルミックスしか残っていない(残念なことに元テープは誤って破棄してしまった)
She Loves Youはともかく、他2曲はステレオミックスも可能なはずだが2トラックの音源
ではバランスのいい定位が無理と判断したのだろう。
Love Me DoとFrom Me To Youはポールのベースがはっきり聴こえるようになった。

それにしても「1」なのにPleas Please Meが入ってないのは解せないなあ。
英国で初のNo.1ヒットだったんだよね?


4. I Want To Hold Your Hand
変わった!と最初思ったのだが、定位はあまりいじってないようだ。
変わったという印象はジョン、ジョージのギターが鮮明になったからかもしれない。
イントロ後にセンターから聴こえるボーカルが以前は唐突な感じだったが、音量配分の
せいか自然になった。






5. Can’t Buy Me Love
これは劇的に変わった。
今まで左だったベース、ドラム、アコギのリズムセクションがセンターで安定。
ジョージが刻むコードカッティングは右。
ポールのダブルトラックのボーカルが従来はセンターでモノラルで聴こえていたのが、
やや左寄りと右になった。
間奏前のギャーッ!というシャウトは左寄りと右で違うことが判明。
間奏のジョージのギターはセンターで左右に揺れ感がいい感じになった。


6. A Hard Day's Night
定位はあまり変えていない。
左からベース、リズムギター、ドラム。右にアコギ、間奏のピアノ(早回転)。
センターにボーカル。
しかし左のリズムギターと右からシャンシャン鳴るアコギの迫力が増した。
全開のハイハットは歪みなくシャープに、以前はうるさすぎたボンゴが抑えられた。


7. I Feel Fine
楽器の定位は基本的に同じ。
左のボーンというベースに押し出されるように右からジョンが弾くイントロが入る。
ちなみにこれはJ-160EのP-90ピックアップを通しての音である。
その間左から聴こえるスタジオ・ノイズが目立つようになった(こういうの好き)。
ジョージの間奏がセンターなのは同じだが左右に揺れすごくいい感じだ。
最後にジョンと同じリフを弾いて右からまたジョンだけに。ここがいいんだよね。
サビでのリンゴのリムショットがシャープになった。

ジョンのダブルトラックのボーカルはセンターと右に振り分けられ、ジョージと
ポールのコーラスはやや左。ハーモニーのほ拡がりを感じる。





8. Eight Days A Week
左にアコギ、リズムギター、ベース、ドラムが固まり右は手拍子とイントロのギター
のトレモロといういささか偏ったミックスは同じだが、以前よりセンターよりに定位
されたことで聴きやすくなった。
そのせいもあって各楽器の音がとても鮮明で聴き分けられる。
それからフェイドインの頭からわりと演奏がはっきり聴こえるようになった

ボーカルはセンターだがHold me love me….からセンターと右に。
Eight Days A Weekで左右に広がるミックスに変わった。



9. Ticket To Ride
これも楽器の定位は基本的に同じ。ボーカルはセンターのまま不動。
My baby don’t care….では右チャンネルのギターが何を弾いてるかも聴き取れる。
真ん中だったタンバリンがやや右に逃げ鈴やかに鳴るようになった。


10. Help!
左にベース、ドラム。右からジョンの12弦アコギ、ジョージがきざむエレキ。
ボーカルとコーラスはセンターという定位は変わらなかった。
が、歌い出しのHelp!のみコーラス(特にポールの声)は左から聴こえる。
どうせだったら掛け合いのコーラスも左右で拡がりを出して欲しかったと思う。

ジョンが弾くフラマスの12弦ギターの音が今までで一番よく聴こえる。
Won’t you please….でのジョージの下降オブリのステレオ感も気持ちいい。
ポールのベースの音像が明確。
リンゴのリムショット〜スネアは鋭角的でちょっと強すぎ?という印象。





11. Yesterday
この曲は今回のハイライトの一つと言っていいだろう。
ポールの声が実に美しく生々しい。ベルベットボイスと言われる所以が分かる。
サビのsomething wrong〜yesterdayの部分でダブルトラックがわずかに違うのまで
分かり興奮してしまう。
右から聴こえるアコギの音もすぐそこで弾いてるかのような臨場感がある。
エピフォンのテキサンを1音緩めるとこんな音なんだなあと感動した。

そして弦楽四重奏も生まれ変わったように美しく響く。
左に第一&第二バイオリン、ビオラ、右にチェロとという定位は変わっていない。

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