2015年12月13日日曜日

丘の上のジェニファー。

「Jennifer Juniper」はドノヴァンの曲の中でもひときわ親しみやすくポップで
ありながらも、どこか牧歌的な美しいメロディーが魅力的な作品である。
1968年に英国、アメリカ、日本でシングル盤が発売。(B面は「Poor Cow」)
同年のアルバム「The Hurdy Gurdy Man」にも収録された。

「Jennifer」というのは当時ドノヴァンが夢中だったジェニー・ボイドのこと。
ジェニーはあのジョージハリソンの妻であり後にエリック・クラプトンの妻と
なった(後に離婚)パティー・ボイドの妹である。




           ↑クリックするとYouTubeで視聴できます。



パティー、ジェニー、そして末妹のポーラは三人ともモデルであった。
今の日本で言うと道端カレン・ジェシカ・アンジェリカ三姉妹みたいな感じ?
(個人的には高橋メアリージュン・ユウ、蛯原友里・英里の方が好きだけど。
んなこと、どうでもいいよね)
分かりやすい例を挙げたが、影響力が比ではないことは言うまでもない。

パティーはかわいくて着こなし上手でスゥンギング・ロンドンの象徴のような
女性で同性からは憧れられ、男性たちは彼女の虜になったそうだ。
ジョン・レノンやミック・ジャガーもパティーに惹かれたことを明かしている。




        左がジェニー、右がパティー (パティーの勝ち〜♫)




        左がパティー、右がジェニー (パティーの勝ち〜♫)



パティーほどではないにしろ妹のジェニーもモテモテだったようだ。
ドノヴァンも彼女にメロメロだったが結局二人はうまく行かなかった。

ジェニーはその後(クラプトンと付き合ってたという話もあるけど?)ミック・
フリートウッド(フリートウッドマックのドラマー)と結婚して離婚して再婚
というややこしいことをした後、元キングクリムゾンのドラマー、イアン・
ウォーレスと結婚してまた離婚。


姉のパティーが二人のギタリストを渡り歩いたのに対してジェニーはドラマー
(にこだわったのかどうか知らないけど)続けて二人というのがおもしろい。

ジェニーは心理学の学位を取ったそうで(あまり深く考えないタイプに見える
けど→失礼)ミュージシャンの心理を分析した本を書いている。
(「素顔のミュージシャン/ジェニー ボイド」– 1993/8)



「Jennifer Juniper」の二つ目のJuniperはアロマオイルやジンの香りの元として
使われるセイヨウネズ(ジュニパーベリー)のことらしいが、Juniperという名前
は実際に男子にも女子にも付けられることがあるようだ。

ドノヴァンがなぜ「Jennifer Juniper」と歌っているのかは分からない。
単なる語呂合わせ?



Jennifer Juniper
(Donovan Leitch 訳:イエロードッグ)

Jennifer Juniper lives upon the hill, 
Jennifer Juniper, sitting very still.
Is she sleeping ? I don't think so.  Is she breathing ? Yes, very low.
Whatcha doing, Jennifer, my love ?

ジェニファー、ジュニファー、丘の上に住んでいる
ジェニファー、ジュニファー、じっと座ってる
眠ってるの? そうじゃないと思う 息してる? うん、ゆっくりね
何をしてるんだろう、僕のかわいいジェニファー

Jennifer Juniper, rides a dappled mare,
Jennifer Juniper, lilacs in her hair.
Is she dreaming ? Yes, I think so.  Is she pretty ? Yes, ever so.
Whatcha doing, Jennifer, my love ?

ジェニファー、ジュニファー、ぶちの馬に乗っている
ジェニファー、ジュニファー、髪にライラックをさして
夢を見てるのかな? うん、きっとね。 きれい? うん、すごく
何をしてるんだろう、僕のかわいいジェニファー

I'm thinking of what it would be like if she loved me.
You know just lately this happy song it came along
And I like to somehow try and tell you.

彼女が僕のことを好きになってくれたらなあ、って思うんだよ
最近ね、このハッピーな歌がふと浮かんだんだ
なんとか君に伝えたくてね

Jennifer Juniper, hair of golden flax.
Jennifer Juniper longs for what she lacks.
Do you like her ? Yes, I do, Sir.  
Would you love her ? Yes, I would, Sir.
Whatcha doing Jennifer, my love ? 
Jennifer Juniper, Jennifer Juniper, Jennifer Juniper.

ジェニファー、ジュニファー、 亜麻色の髪
ジェニファー・ジュニファー、ないものねだりの子
あの娘が好き? ええ、もちろん 愛せるかな? ええ、そう思います
何をしてるんだろう、僕のかわいいジェニファー

Jennifer Juniper vit sur la colline, 
Jennifer Juniper assise trs tranquille.
Dort-elle ? Je ne crois pas. Respire-t-elle ? Oui, mais tout bas.
Qu'est-ce que tu fais, Jenny mon amour ?
Jennifer Juniper, Jennifer Juniper, Jennifer Juniper.

(フランス語で最初のヴァースと同じ内容)



レコードではオーボエやクラリネット、ストリングスが入り英国ののどかな
田園風景を彷彿させるようなアレンジになっているが、ライブでは十八番の
弾き語りが堪能できる。






ドノヴァンのギター・スタイルの特徴の一つでスリーフィンガーやアルペ
ジオに歌のメロディーを組み合わせていることが多い(時には主メロ
3度下の場合もある)が、この曲もそのいい例だ。
つまり歌いながら同じメロディーを入れた複雑なフィンガーピッキングを
しているのである。

余談ではあるが、和製ディランと評された吉田拓郎もドノヴァンから影響を
受けたこと、ドノヴァンの音が欲しくて加藤和彦にギブソンJ-45を譲って
もらったことを石川鷹彦との対談で明かしている。

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