チェット・アトキンスのクリスマスCD☃が発売された。
また?と思われる方もいるかもしれない。が、今回は決定版と言ってもいいだろう。
Chet Atkins -
The Complete RCA Victor & Columbia Christmas Recordings
RCAビクター時代のアルバム、Christmas With Chet Atkins(1961)と
コロムビア移籍後のEast Tennessee Christmas(1983)。
この2枚はチェットのファンなら既に持ってるだろう。
今回のアルバムはその2枚に加え、アルバムには収録されていないシングル曲、
未発表曲、他アルバム収録のクリスマス関連曲、さらに1976年に再発された
Christmas With Chet Atkinsの新たに録り直された9曲まで網羅されているのだ。
しかも極上のリマスターが施されている。今までで一番音がいいと感じた。
レーベルはReal Gone Music。
RCAビクター、コロムビアの音源を使用した正規盤である。
↓RCA、Columbiaレーベルのピクチャー・ディスクが心憎い。
このRCAのニッパー犬に惹かれてつい買ってしまった(^^v)
装丁は薄型2枚組プラケースで表裏にディスクが収納されていて出しにくい。
ブックレットは28pカラーで当時のジャケ写、曲の解説(英文)がぎっしり。
さっそくディスク1の収録曲を解説。
1. The Bells Of St. Mary'sは1953年のシングル(B面Country Gentleman)
2. Jingle Bells / 3. Christmas Carolsは1955年のシングル。
4.Sleigh Bells, Reindeer and Snowはチェットによるオリジナル曲。
タイトルを訳すと「そりの鈴、トナカイと雪」。
チェットのギターと当時6才の愛娘マール(1)の歌が微笑ましい作品。
家族のために自宅スタジオ録音したもので未発表曲。(2)
長年アトキンス家の棚に保管されていたらしい。
5. Greensleevesは名盤の誉れ高いChet Atkins In Hollywood(1959)より。
このアルバムは全編映画音楽で、タイトル通りハリウッドで録音された。
オーケストラをバックに控えめなギターが美しい。
↓夜景+チェットの愛器6122 Country Gentlemanのジャケットも人気だ。
6122 Country Gentlemanはグレッチ社とチェットの共同開発で1957年に発売。
チェットのトレードマークとも言えるシグネチャー・モデルのも代表格だ。
長年チェットのバックを務めたポール・ヤンデルによると、1959年製が最も
完成度が高いらしい。
後にジョージ・ハリソンが1962年製ダブルカッタウェイを愛用し、Country
Gentlemanは世界中のギター・ファンに知られることになる。
6〜19.の14曲はRCAビクター時代のChristmas With Chet Atkins(1961)。
アニタ・カー・シンガーズの美しいコーラスとの掛け合いがすばらしい。
↓雪景色+チェットの愛器6120 Nashvilleのジャケットにファンは萌えてしまう。
↑クリックするとJinglebell Rock(1961)が聴けます。
6120 Nashvilleもまたチェット名義のグレッチ社の名器である。(1955年発売)
当初はディアルモンドのシングルコイルP.U.を搭載していたが、1957年後半から
フィルタートロンP.U.が搭載に変更された。(3)
ギブソンのハムバッキングほどファットでもなく、フェンダーのシングルほど
非力でもないこのピックアップは、グレッチのホローボディと相性がいい。
ブレーシングが強化された時期があるが、それが除かれホローボディーの鳴りを
取り戻した1959年製は6120 Nashvilleの黄金期と言える。
Country GentlemanとNashvilleは使用している木材(メイプル)、フィルター
トロンのピックアップ、ビグズビーのトレモロアーム搭載など類似している。
違いはボディーの大きさ。
6120 Nashvilleはボディに厚みがあり、甘い箱鳴りの響きが得られる。
エディー・コクラン、デュアン・エディー・ブライアン・セッツァーが愛用し、
ロカビリー好きに人気がある。
一方Country GentlemanはNashvilleより幅広だがボディー厚が薄い。
そのためカラッとした、きらびやかなサウンドが特徴だ。
僕の推測では、ジャケ写は雪景色に映えるオレンジ色の6120 Nashvilleを使用
した (4)が、レコーディングは主にCountry Gentlemanを弾いてると思う。
後半はソロでクラシック・ギターを弾いてるが、使用器は不明。
20. I Heard The Bells On Christmas DayはRCAのアーティストたちに
よるコンピレーション・アルバムNashville Christmas Party (1962)に収録。
これはレアだ!初めて聴いた。
チェットはゴスペル曲集アルバムPlays Back Home Hymns(1962)のレコーデ
ィング期間中にこの曲を録音したらしい。
Plays Back Home Hymnsに収録されててもしっくり来そうな曲だ。
このアルバムはスキーター・デイヴィス、エディー・アーノルド、アニタ・
カー・シンガーズ、ハンク・スノウ、フロイド・クレイマーも参加(未CD化)
↑クリックすると I Heard The Bells On Christmas Dayが聴けます。
21. Winter Walkin’はアルバムGuitar Country(1964)に収録されている。
ジェリー・リードの曲でチェットはTVショーやライブでも弾いている。
22. Ave MariaはアルバムClass Guitar(1967)収録曲。
このアルバムはこの曲も含め全てクラシック・ギターで演奏されている。
続いてディスク2収録曲の解説。
1. GreensleevesはChet Atkins In Hollywood(1961)より。
あれ?ディスク1の5曲目にあったはず、と気づかれた方も多いと思う。
チェットは1959年に発売したこのアルバムを1961年に再録しているのだ。
オケは前回のを流用。
ナッシュビルの自宅スタジオでギターのみ全曲分、録り直したそうだ。
どちらもあまりに完成度の高い演奏なので、言われないと気づかないが、
よく注意して聴き比べるとフレーズが違ってるのに気づく。
またミックスダウンをやり直したらしく、オケの定位が1959年盤と異なる。
↓ジャケットも1961年盤は女の子+ギターに変わった。
ギターはグレッチの6125 Anniversaryのように見える。
薄型のフル・アコースティック(センター・ブロックがない)モデルだ。
1958年発売で6120と同じメイプル材でフィルタートロンP.U.搭載。
しかし6120のような6弦側フレットボードにポジション・マークではなく、
ギブソンJ-200のようなクラウン・インレイである点、コントロール・ノブ
の位置、ピックアップもディアルモンド社のシングルコイルに見える、と
通常の6125と相違点も見られる。これが何か?わかる方、教えてください。
このギターを撮影に使用したのは色調が合ったからではないかと思う。
実際のレコーディングでは別なギターを使用している可能性がある。
心なしか、In Hollywoodの1961年再録盤はハムバッカーよりも細い音の
ような気がするが、イコライジングのせいかもしれない。
あるいは1959年に6120 Nashville の廉価版として開発されたチェットの
シグネチャーモデルの6119 Tennessean (5)を弾いてるかもしれない。
TennesseanのハイロートロンP.U.はフィルタートロン(ハムバッカー)の
片側コイルからポールピースを抜き取って音を拾わないようにし、もう片方
のシングルコイルからのみ音を拾うように改造したもの。
これによってノイズを除去するハムバッカーの役割は残しつつ、サウンドは
シングルコイルの立ち上がりが早い高域が冴えた音となる。
2曲目のBells Of Saint Mary'sはアルバムSuperpickers(1973)収録曲。
3〜11曲はChristmas With Chet Atkins(1961)を1976年に再発する
にあたって、チェットがギターのみ録り直した9曲。
(バックの演奏、コーラスは1961年のものを流用。)
ギターの音色、弾き方の違いは慎重に聴き比べないと分からない。
The First Noel、Silent Nightは1961年盤でクラシック・ギターを弾いている
が、1976年再録盤はエルベッキオのリゾネーターを使用している。
クラシックギターはハスカル・ヘイルかマヌエル・ベラスケスではないか。
Little Drummer Boyではクラシックギターの音がやや硬い印象。
ピエソP.U.を通した音と生音をミックスしているのかもしれない。(6)
その他、Winter Wonderland、White Christmasで弾き方が違う。
また再録盤はミックスダウンでアニタ・カー・シンガーズのコーラスが少し
抑え気味で、曲によってはコーラスの定位も変わっている。(7)
以前チェットはインタビューで完成した自分の作品は聴かないと言っていた。
聴くと、やり直したくなってしまうから、とのこと。
あんなに完璧なのに。こうやった方が、と思ってしまうのだろうか。
またチェットは部分的に弾いて差し替えたりせず、必ず一曲丸ごと頭から
終わりまで通して弾くそうだ。
だからIn HollywoodにもChristmas Withもテイク違いとして聴けるのだ。
12〜23.はコロムビア移籍後2枚目のEast Tennessee Christmas(1983)。
1981年に完成した世界初ソリッド・ボディーのエレガット、ギブソンの
Chet Atkins CE (CEC) Classicalが使用されている。(8)
チェットはグレッチ社にソリッド・ボディーのナイロン弦ギターの構想を
持ちかけていたが、そんなの売れるわけないと拒まれていた。
(そこに至るまでポール・マクギルに依頼して試作品製作を重ねている)
グレッチ社は何度か経営不振に陥り、1980年にギターの製造を中止。
その1年前の1979年にチェットとのエンドースメントも解消していた。
そこでチェットはソリッド・ボディーのエレガットの企画をギブソン社に
持ちかけ、ギター・ビルダーのカーク・サンドとの共同開発で完成させた。
トップはスプルース、マホガニーのソリッドボディー。
サドル下にピエゾP.U.を配するのではなく、6弦独立のサドル自体がL.R.
Baggs製のピエゾP.U.という画期的な構造で、弦の振動を効率良く伝達。
East Tennessee Christmas冒頭のJingle Bell Rock、White Christmas
Let It Snow, Let It Snow, Let It Snowの3曲はエレクトリック・ギター
を使用しているが、まろやかだけれど音が細く、どちらかと言えばフェンダー
系のシングルコイルP.U.のソリッドボディーの音に聴こえる。
おそらくギブソンがチェットのために製作したCGP Phasorだろう。
ストラトを角ばらせたようなボルドー色のボディ、上にチューナーを一列に
配したビグズビー式のヘッド、リア寄りにシングルコイルP.U.を2基搭載。
チェットが使用したこのモデルにはフェイザーが取り付けられていた。
アルバムではWhite Christmasでそのフェイザーをかけた音が聴ける。 (9)
↑クリックするとWhite Christmas(1983)が聴けます。
East Tennessee Christmasでは、セミホロウ・ボディーでハムバッカーの
ギターのように聴こえる曲もある。グレッチを使用したのか?
ギブソン版Country Gentlemanの発売は1987年だが、この時点で既に
プロトタイプが作られ使用されていたのかもしれない。
I'll Be Home for Christmasはエルベッキオのリゾネーターの音だ。
24. Ave MariaはアルバムAlmost Alone(1996)収録曲。
ギブソンから独立したカーク・サンドが製作した新しいエレガット一本
でのソロ演奏で2枚組は幕を閉じる。
以上だが、補足。実はチェットにはもう一枚、クリスマスCDがある。
チェットがギターを弾き、女優のエイミー・グラントが朗読する童話だ。
Chet Atkins, Amy Grant –
The Story Of The Gingham Dog And The Calico Cat
Rabbit Ears Musicレーベルから1999年に限定発売。現在は入手困難だ。
ギター+童話が20分程度でその後、チェットの演奏だけのトラックを収録。
全曲アコースティックで、チェットは多重録音で2台弾いている。
珍しくスチール弦のフラットトップ・ギター(ギブソン)も使用している。
同じモチーフを少しずつアレンジを変え演奏しているが、その1つはアルバム
Almost Alone(1996)収録のWaiting For Susie B.(10)である。
もう1つはチェット最後のアルバムとなったトミー。エマニエルとの共演盤
The Day Finger Pickers Took Over The World(1997)収録の
Smokey Mountain Lullaby。
どちらもチェットらしい美しい曲である。
<脚注>
<デラックス・エディションDisc 2>
アビイ・ロード全曲の別テイクがオリジナル順に収録されている。
カム・トゥゲザー(テイク5)
ジョン復帰後の7月21日、このセッションで初めてジョンの曲が取り上げた。
(従来はアルバム・セッションの最初はジョンの曲でスタートが慣例だったが、
ジョンが交通事故で入院してたこともあり、他の曲が先行していた)
ジョンはやる気満々で他のメンバーをぐいぐい引っ張る様子が伝わってくる。
テイク1(アンソロジー3収録)で試みた最後の3連はやめたようだ。
テイク5は演奏は既に完成されている。リードギターとオルガンは入っていない。
ジョンは中断。I’m losing my cool(頭にきちゃうな)と言っている。
この次のテイク6が採用された。
サムシング (スタジオ・デモ)
2月25日(26歳の誕生日)ジョージは一人でスタジオでデモを録音。
アンソロジー3でギターとボーカルだけのヴァージョンが収録されたが、今回は
ピアノも加えられている。
マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマー(テイク12)
7月9日のセッション。ジョンはスタジオ内にいたが参加していない。
ポール(vo,p)ジョージ(b)リンゴ(ds)の編成で録音されている。
ポールがリンゴにフィルインを、ジョージにベースラインを指示している。
アンソロジー3にはテイク5が収録されたが、今回はテイク12が収録された。
コントロール・ルームから出来を訊かれたポールは、One more,It was good
enough but a bit yet(もう一回、良かったけどあともう少し)と返事。
完璧主義のポールらしい。
(テイク21がOKになり、翌日ギター、オルガン、コーラス、ハンマーを録音)
オー!ダーリン(テイク4)
4月20日に26テイク録音されたうち、初期のテイク4。既に完成型に近い。
ポールがピアノを弾きながらまだラフなボーカルを。リンゴのドラム。
ベースはジョージでギターがジョンか?
ジョージがギターでベースはポールが後からオーヴァーダブしたのか?
薄く入るオルガンがジョンか?
(アンソロジー3収録のこの曲はゲット・バック・セッションでジョンと一緒に
歌っているラフなヴァージョンである)
オクトパス・ガーデン(テイク9)
4月26日に32テイクを録音。テイク9が収録された。
リンゴ(vo,ds)ポール(b)ジョン(g)ジョージ(g)の編成。
ジョンはドノヴァン直伝のスリーフィンガー。
ジョージの正規テイクとは違うカントリー・フレーヴァーのギターが楽しめる。
リンゴのピッチが甘く、サビで間違えてAメロを歌ってしまい中断。
和気あいあいの楽しそうな雰囲気が伝わる。
(アンソロジー 3にはテイク2が収録された)
アイ・ウォント・ユー(トライデント・レコーディング・セッション)
1月31日のゲット・バック・セッション終了から3週間後、2月22日に行われた。
3週間の中断は、ビリー・プレストン(kb)とグリン・ジョーンズ(エンジニア)
の不在、ジョージが扁桃腺手術で入院していたためである。
まだアビイ・ロード構想はなくゲット・バック・セッションの延長だったようだ。
これはEMIではなくトライデント・スタジオで行われたセッションである。
どのテイクがいいかジョンが尋ね、マーティン卿はテイク4がいいと答えている。
グリン・ジョンズがジョンに住人から騒音への苦情が出ていると告げる。
ジョンは「こんな夜の遅く、そいつらは通りで何をやっているんだ?」と言う。
それから「あと一回でかい音でやろう。その後は静かにやるとしよう。大きい音を
出すのはこれが最後のチャンスだ」とジョンは言いカウントをとる。
このテイクではラウドなバンド・サウンドが聴ける。(1)
後半She’s soの後は延々とリフが続き、ビリー・プレストンのオルガンが絡む。
ジョージはその間トレブリーなファズ・ギターを弾いてるが採用されなかった。
↑アイ・ウォント・ユー(トライデント・セッション)が聴けます。
この写真は2月22日トライデント・スタジオで撮られたもの。
ジョージがレスポール、ジョンがエピフォン・カジノを弾いてることが判明。
ヒア・カムズ・ザ・サン(テイク9)
7月7日、交通事故で入院中のジョンを除く3ビートルズで録音された。
ジョージのガイドボーカルとギター、ポールのベース、リンゴのドラムという
シンプルな演奏だが、充分聴きごたえがある。
収録されたテイク9も完成度が高い。(採用されたのはテイク13)
ボーカルとギターがセンターに配されベースはやや右、ドラムはやや左。
ジョージの生々しいボーカルとアコースティック・ギターを堪能できる。
↑ヒア・カムズ・ザ・サン(テイク9)が聴けます。
ビコーズ(テイク1 インストゥルメンタル)
8月1日に録音されたバッキング・トラックの録音。
リンゴのカウントに導かれ、ジョージ・マーティンによるエレクトリック・ハープ
シコード、ポールのベース、ジョンのギターだけで演奏される。
各自がモニター・ヘッドフォンに流されたリンゴのガイド(手と膝を叩いてるようだ)
を聴きながら弾いている。今回収録されたのはテイク1。(OKテイクは16)
ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー(テイク36)
5月6日、オリンピック・サウンド・スタジオでの録音。
ポール(p,vo)リンゴ(ds)ジョン(g)ジョージ(g)の編成で36テイクを録音。
これは最後のテイク36。(採用されたのはテイク30)
始まる前のポールのしゃべりも面白い。You never give me your coffeeだって(^^)
歌い込みすぎたのか、ポールの声が枯れ気味で歌いまわしもところどころ異なる。
ジョージのオブリの入り方も違うので聴き比べてみてほしい。
サン・キング(テイク20)
次のミーン・ミスター・マスタードとメドレーで35テイクを録音。(7月24日)
最後のテイクが採用されたが、これはテイク20。ゆったり演奏している。
曲に入る前ジョンは上機嫌だ。リンゴのゴングに導かれ曲が始まる。
ジョンのエピフォン・カジノはコンソールでフランジャーをかけたようだ。
ジョージはオールローズのテレキャスターだと思う。
薄めにジョンがガイド・ボーカルを入れている。
ミーン・ミスター・マスタード(テイク20)
サン・キングとのメドレーだが、テンポが遅くジョンもゆるい感じで歌ってる。
ジョンがYes,she does、Yes,it isと合いの手を口ずさんでるのがおもしろい。
Takes him out to look at the QueenではGod save the queenとジョンらしい。
楽器編成はサン・キングと同じだがベースにファズがかけられている。
ポリシーン・パン(テイク27)
翌7月25日にシー・ケイム・イン・スルー〜とメドレーで39テイク録音された。
(採用されたのは最後のテイク39)
テイク27ではポールが出だしのD→A→Eとドラムのフィルのタイミングを確認。
ジョンがSounds like Dave Clark(デイヴ・クラーク・ファイヴみたい)と笑う。
ワイルドなジョンのカウントでエネルギッシュな演奏が展開される。
ジョンはアコギとガイド・ボーカル、ジョージがエレキ、ポールがベース、
リンゴのタム、スネア連打がすごい。
↑ポリシーン・パン(テイク27)が聴けます。
シー・ケイム・イン・スルー・バスルーム・ウィンドウ(テイク27)
ポリシーン・パンとのメドレーで演奏されたテイク27。楽器編成も同じ。
ガイド・ボーカルはポール。
ゴールデン・スランバー/キャリー・ザット・ウェイト(テイク1‐3)
7月2日、次の曲であるキャリー・ザット・ウェイトと併せて録音。
ポール(p,vo)ジョージ(b)リンゴ(ds)の3人で15テイク演奏された。
(ジョンは交通事故で入院中)
ジョージがYeah,these are a couple on the album been like that(もともと
この2曲はアルバム用の組曲なんだ)とコントロール・ルームに説明してる。
テイク1はフール・オン・ザ・ヒルを歌い出す。
テイク2はキャリー・ザット・ウェイトで中断。
テイク3はヴァースの後Golden…でリンゴとタイミングが合わず中断。
(最終的にはテイク13とテイク15が編集され翌日、3人のコーラスとジョージ
とポールのギターをオーヴァーダブした)
ジ・エンド(テイク3)
7月23日にベーシック・トラックを7テイク録音。最後のがベストとされた。
ギターソロ、ボーカルはなく演奏のみ。And in the end…のフィナーレもない。
テイク3ではジョンがOkay,let's hear it! (さあ、聴かせてくれ)とみんな(特に
リンゴ)を鼓舞させ、ポールのカウントで威勢よく始まる。
リンゴのドラム・ソロも異なる。左のギターがジョン、右がジョージだろう。
ベースを弾きながらポールが叫んでいる。テンポアップして終える。
↑セッション中いい写真をいっぱい撮っておいてくれたリンダに感謝。
本人は一緒に映らないようにしてる控えめな性格が誰かさんとは正反対だね。
<その他のアウトテイク>
スーパー・デラックス・エディションのみ収録で聴く価値ありの音源。
グッドバイ (ホーム・デモ)
メリー・ホプキンの2枚目のシングル用にポールが書いた曲。
1969年2月に自宅で録音されたらしい。マーティンD-28での弾き語りだ。
ブートで出回った音源ではあるが、音質ははるかにいい。
カム・アンド・ゲット・イット(スタジオ・デモ)
7月24日はサン・キング、ミーン・ミスター・マスタードが録音されているが、
この日もポールは早めにスタジオ入り。
一人でアイヴィーズ(バッド・カンパニー)用の曲のデモ・テイクを作成。
ピアノ、ドラム、ベース、マラカス、ボーカルを多重録音で1時間で仕上げた。
最後にポールがOkay,gives on the headphone and track it(よし、ヘッド
フォンで音を聴きながら重ねよう)と言ってるのが聴こえる。
(アンソロジー3に収録されたが、ステレオ・ミックスは今回が初めて)
ジョンとヨーコのバラード (テイク7)
4月14日ジョンとポールが2人で1日で仕上げ、5月30日にシングル発売した曲。(2)
テイク7はジョンのアコギ弾き語りで、ドラムはポールが叩いているが上手い。
ジョンがMal, turn string I make a put mow(弦が指がからまる)と言ってる。(3)
有名なジョンのWe gotta get faster Ringo!(リンゴ、もっとテンポをあげよう)、
ポールのOkay, George!(了解、ジョージ)の掛け合いも入っている。
オールド・ブラウン・シュー (テイク2)
4月16日にベーシック・トラックを4テイク録音。(テイク4がベストとされる)
このテイク2も既に完成形に近い演奏で、ボーカルも大きな違いはない。
ポール(p)リンゴ(p)ジョージ(vo)だが、ギターはどっちだろう?
オブリや後にオーヴァーダブするベースと同じフレーズを弾きながら歌うのは無理。
ジョージが弾いたと思えるが、ジョンは何をしてたんだろう?
ザ・ロング・ワン(トライアル・エディット&ミックス)
アビイ・ロード制作も終盤の7月30日、B面メドレーを仮編集作業が行なわれた。
この音源はThe Long One/Huge Medleyと呼ばれていた仮ミックスである。
当初ミーン・ミスター・マスタードとポリシーン・パンの間に入っていたハー・
マジェスティが、そのままの形で聴ける。
ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネーも最終的にカットされたコーラス入り。
次のサン・キングへのつなぎもウィンドチャイムとコオロギのSEではなくオルガン。
ポリシーン・パンではカウベルとジョンの台詞が入る。
ゴールデン・スランバーはポールの歌いまわしが異なり、ストリングスとブラスも
まだ入っていない。途中のジョージのギターも加えられていない。
ジ・エンドはギター・ソロ回しもボーカルも入っていない。
↑ザ・ロング・ワン(トライアル・エディット&ミックス)が聴けます。
写真はアビイ・ロード録音終了2日後、ビートルズ最後のフォト・セッション(4)
アビイ・ロード完成後、ジョンは次のアルバムの可能性について話している。(5)
しかしアビイ・ロード発売直前の9月20日、ジョンは一転して脱退宣言(6)を行う。
その1週間前の9月13日トロントで開催されたロックンロール・リバイバル・ショー
にジョンはプラスティック・オノ・バンドで出演していた。
これを機にビートルズを捨て、ヨーコとの流動的なバンドの道を選んだのだろう。
1970年1月3日アイ・ミー・マインを録音するために、ジョン脱退後の3人はアビイ
・ロード・スタジオに集まる。ビートルズとしての最終のレコーディングとなった。
<脚注>
9月27日発売のアビイ・ロード2019リミックス、みなさんはもう聴かれましたか?
えっ?2009リマスターを買ったから必要ない?
うーん、それはそれでいいけど。リミックスはリマスターと全く別物(1)ですよ。
音楽誌で特集が組まれ、評論家の方が解説してると思うので参考にして下さい。
Amazonのレビューを見てみると、思ったとおり賛否両論である。(2)
思ったとおりというのは、クリアーで迫力のある音に新鮮な感動を覚えたという人
と、リアルタイムで聴いた人たちの多くは否定的(中域に固まった音こそビートルズ、
2009リマスターの方がいい)と票が分かれるのは予想できたからだ。
<リアルタイムで聴いたビートルズ世代にとってのリミックス>
僕は最後のビートルズ世代である。アビイ・ロードもリアルタイムで聴いた。
しかし、たいしたオーディオ機器で聴いていたわけではない。
カセット・レコーダー(デッキでさえない)で聴くことも多かった。
だから当時の音にこだわりがない。というか正直、よく分かっていなかった。
ただヤマハの視聴会とか、いいオーディオで聴くとぜんぜん違って聴こえるもの
だなあ、とは思っていた。
大人になって中程度のコンポを揃えて、英国盤LPを大人買いした。
それでも思春期に聴いた印象とさほど変わらない。
1986-1987年の初CD化で、ずいぶんクリアーに聴こえるようになったと思った。
(CD創世記のリリースだから今聴くと音痩せしてガサツに思えてしまうが)
本当にいい音だと感じたのは2009年のリマスターである。
1st.プレスの英国盤を高級オーディオで聴くとこんな感じだったんだろうなー、と。
マスタリング技術向上で、庶民でも手軽にCDでHi-Fiを楽しめる時代になったのだ。
一方で大胆なリミックスのイエロー・サブマリン・ソングブック(1999)、素肌だが
継ぎ接ぎ整形美人と揶揄されたネイキッド(2003)、マッシュアップのラヴ(2006)、
も(往年のファンには冒涜と言う人もいるが)僕は大歓迎だった。
音がクリアー(3)で今まで気づかなかった音が聴こえる、というのは新鮮である。
新しい解釈による楽器やボーカルの定位も嬉しい。
1960年代のオリジナル盤のステレオ・ミックスは不自然であまり好きではない。
たとえば名盤ラバー・ソウルが左右泣き別れ、しかもボーカルが方チャンネルだけ
というのはジョージ・マーティン卿の失策と個人的には思う。
他にもドラムが左右どちらかに偏ってたり、左右を動き回ったり入れ替わったり、
特にヘッドホンで聴くと違和感ありありだ。
長年聴いてきたビートルズだからこそ、リミックスは新鮮に感じる人もいれば、
慣れ親しんできた音のイメージを壊してほしくない人もいる。
前者には2019リミックスはお薦めする。後者ならやめておいた方がいい。
↑このオバハンは通りがかりか?スタイリストには見えない。あんたたち誰?みたいな。
<アビイ・ロード2019リミックス 個人的な感想ーサウンド>
まず今回のリミックスで一番得をしたのはリンゴだな、と思った。
得をした、という言い方は変かもしれない。
ドラムの音の大きさ、左右に広がる響き、迫力にのっけから圧倒された。
バスドラの強いアタック感。そしてハイハット、シンバルのキレの良さ。
スネア、フロアタム、バスタムの巧みな使い方。
リンゴってすごい!と改めて思った人も多いだろう。
それはアビイ・ロードだからこそ。コンソールによるところが大である。
このアルバムは唯一EMIスタジオの新型コンソール(4)で録音された。
真空管からトランジスタ式に変更された直後だったのだ。
クリーンでブライトでパンチのある、リッチな(しかし硬質な)音になった。
新型コンソールは8トラック・レコーダーに対応すべく入力は24系統。
ドラムのレコーディングがより複雑でモダンな形でできるようになった。
写真でも分かるようにリンゴのドラムには5本のマイクがセットされている。
ミキシングしながら1〜2トラックに録音したか、数トラックに分けて後から
リダクションしたのだろう。(後者の可能性が強い曲も確認できた)
リミックスではリダクション前の元トラックの音を拾い直すことができる。
だから立体的で奥行きがある、臨場感のあるドラムの音が録れたのだ。
次に目を引く、じゃなくくて耳を惹くのはポールのブンブンうなるベースだ。
カム・トゥゲザー、サムシングなどもともとベースの存在感が大きい曲では、
ここまでやるか!というくらい攻めている。
エレキギターの音も艶が出た。
ジ・エンドのバッキング、各自のソロではすぐ近くで弾いてるような臨場感だ。
アイ・ウォント・ユーではバンド・サウンド、ビリー・プレストンによるオル
ガンの黒っぽさ、ジョンが周囲の反対を押し切って入れたシンセの爆音ノイズ
もほどよい厚みに聴こえる。
アコギに関してはこのアルバムでは以外と出番が少ない。
ヒア・カムズ・ザ・サン、ポリシーン・パン〜シー・ケイム・イン・スルー〜
ハー・マジェスティの4曲。いずれもクリアーな音になった。
ボーカルの艶が増しブライトになったが、曲によってやや硬質な印象も。
↑写真をクリックするとオー・ダーリン!の2019リミックスが聴けます。
オー・ダーリン!のポールのシャウトはますます力強くなったし、サビのダブル
トラッキングの処理もいい。
ポールのボーカルの陰に埋もれていたコーラスが浮かび上がって美しい。
こんなふうに歌ってたのか〜と感動した。
ヒア・カムズ・ザ・サンのジョージのボーカルも張りが出てよくなったと思う。
<アビイ・ロード2019リミックス 個人的な感想ー定位と音量バランス>
カム・トゥゲザーは大きな定位の変化はない。
が、右寄りに固まっていたドラムが左右に広がり、存在感が増した。
ベースはセンターのまま。うなり音が大きすぎてボーカルを邪魔してる気がする。
間奏、アウトローのジョージのギターが以前より艶っぽく聴こえる。
テレキャスターのフロントPUの音だろうか。歪みはなく甘さがあっていい。
アウトローのCome together,Yeahの合間にジョンの別な声が聞けるのが嬉しい。
サムシングも大きな定位の変化はない。
初っ端のドラムのダダダダンがオリジナルはモコッと聴こえたのが、リミックス
では奥の方からズドドドと鳴り響き圧倒される。
she movesの後のタムの響き方もだいぶ印象が違う。
ベースは以前よりやや中央寄りの右で存在感大。ボーカルの邪魔にはならない。
I don’t wanna leave nowで入るオルガンが左右から聴こえる(こういうの好き)
サビのハイハット連打は右、タム連打は中央、4拍目のスネアは左と以前にはない
ステレオ感がめいっぱい楽しめる。
ジョージの声もオリジナルより前に出ている。
サビではセンターと右のダブルトラッキングでステレオ感が出て盛り上がる。
I don’t knowの2回目のI〜の上はポールも歌っているような。
間奏のギターソロは以前かかっていたコンプが外されたのではないか。
コンプ特有の音の頭が潰れがなくなった。
以前よりまろやかに聴こえ、レスポールなのかテレなのかますます分からない(笑)
ま、ジミー・ペイジもレスポールとテレは似てるんだよ、と言ってたしね。
スライド奏法はないだろう(本人もビートルズでスライドはやってないと証言)
ベンディングのダウンが巧みだからそう聴こえるのだ。
マックスウェルズ・シルヴァー・ハンマーは左右泣き別れが解消され聴きやすい。
左だったベースがセンターへ。右だったドラムはセンターやや右よりへ。
ギターのオブリとハンマーはどセンターからやや右よりへ。
ハンマーの音が小さくなって耳障り感が解消された。
中盤から入るアコギはセンターから右へ。
Maxwell,Maxwell,free、Do-do-do-doはセンターから左右に広がり美しい。
オー・ダーリン!は左のピアノはそのまま。センターだったベースが右よりへ。
ドラムが左に配された。ボーカルを際立たせる処理だろう。
Oooh…Ahhhのコーラスが左右に広がる。美しい。これにはかなり感動。
最後のヴァースでのコーラスのバリエーションもよく分かる。
オクトパス・ガーデンは真ん中に固まっていたのだが大きな変化はない。
ドラムがやや右へ。Ooohは左右で同じ。ピアノの音はマイルドになった。
左だったジョンのスリーフィンガーが左〜センターへと広がるようになった。
ジョージのギター・ソロの間、左右に移動していたトレモロを効かしたAhhhは
センターで固定。一緒に動いていたブクブクの泡音は左右から聴こえる。
この曲を聴くと金属的という評価は?むしろ以前よりメロウになったと思う。
アイ・ウォント・ユーは定位というより音色の印象がだいぶ変わった。
まず前半のヒスノイズが無くなった。ジョンの声も艶やかで膨らみが出た。
イントロのジョンのアルペジオは以前はカリカリしてたがファットな音になった。
本来のエピフォン・カジノの音はこれだと思う。
ジョージのテレキャスターが左から右へディレイがかかり絡んでくる。
ベースのやや右は変わらず。ギターとの対比もちょうどいいと思う。
ドラムは左からややセンターよりへ、フロアタムは右と広がりを見せる。
ビリー・プレストンのハモンドオルガンの音がブルージーで実にいい。
後半のシンセがかぶる音の厚みは格段に増した。
その代わり、シンセによる爆風ノイズは控えめでマイルドになった印象だ。
↑写真をクリックするとアイ・ウォント・ユーの2019リミックスが聴けます。
ヒア・カムズ・ザ・サンはイントロのアコギが左端からややセンターよりへ。
シンセが重なるがが双方の音がそれぞれクリアなので気持ち良い。
ジョージの声は艶が増した。
Here comes the sun, du du…のコーラスが左右に広がり美しく響く。
ベースはセンター、ドラムはセンターから左へ、という定位は変わっていない。
が、Sun sun…の手拍子と共に入るタムのドコドコドコが右よりに広がった。
後半の音の厚み、エンディングのアコギの響きの美しさはすばらしい。
Amazonのレビューでヒア・カムズ・ザ・サンの12弦ギターの音が美しいという
レビューがあったが、あれはグラマーのジャンボサイズのギターだと思う。
(バングラディッシュ・コンサートで使用したメイプル・ボディーのもの)
↑写真をクリックするとヒア・カムズ・ザ・サンの2019リミックスが聴けます。
ビコーズは左のマーティン卿のハプシコード、右のジョンのギターがやや中央
によせられた。ギターの音色の印象が変わった。ふくよかさが出たというか。
ポールのベースはセンターのまま。
大きく違うのは三声のハーモニーだ。センターで固まっていたのが左右に広がる。
3人が各パートを3回歌ったそうだ。元トラックをマルチミックスしたのだろう。
サビのブラスはマイルドになった。
エンディング近くで入るシンセも冷たさがが消えやさしい音になった。
ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネーの定位は出だしはほぼ同じ。
左右の定位がやや中央によせられ聴きやすくなった。
が、Out of collegeからは一転。右から聴こえたポールのボーカルはセンターへ。
ベースはど真ん中でブンブンうなる。ドラムは右からやや中央よりになった。
All the magic feelingで入るギターが艶やかに。
このギターが途中からセンターに動くのが気になってたのが解消された。
Ah…のコーラスは左右に広がり美しい。
One sweet dreamからの左、中央、右のギターが何をやってるかよく分かる。
On two three four…のコーラスが左右に動くのも不自然だと思っていたが、
2019リミックスでは中央から左右に広がり固定。
この間入るやや音数が多すぎのオブリは音量が抑えられやや右へ。
ウィンドチャイムとコオロギのSEも美しく広がり次のサン・キングにつながる。
↑写真をクリックするとサン・キングの2019リミックスが聴けます。
サン・キングはギターの音が鮮明になった。左右に移動するのは同じ。
左のベース、右のドラムはややセンターよりで聴きやすくなった。
さて、この後の三声ハーモニーが大きく変わった。
センターの奥から聴こえてたのが、前面に出て左右にふわっと広がる。
ジョンのダブルトラックのパートもわずかに左右にずれていい感じだ。
ミーン・ミスター・マスタードは左にファズベース、右にドラム。
ギター、オルガン、ボーカルは塊でセンターというミックスが変わった。
左にファズベース、オルガン、タンバリン(涼やかになった)。
右にギター、ドラム。
ジョンのボーカルはセンター、ポールのハモりは左右に広がる。
ポリシーン・パンの定位はほとんど変化なし。
イントロのD→A→Eのアコギがセンターでガツンと鳴り、ストラミングに入ると
左に引っ込むのだが、その極端なレベル差が解消された。
左でジョンがかき鳴らしてるのが聴こえる。
このアタック感は12弦ではなく、J-200ではないかと思う。
右のジョージのギターの表情もよく分かる。
ベースはセンター、ドラムもセンターから左右に立体的に聴こえるようになった。
ジョンのボーカルはセンター、ハモりは左右に広がる。
シー・ケイム・イン・スルー〜は前の曲と続けて録音されており定位も同じ。
この曲もボーカル(ポール)はセンター、ハモりは左右に広がる。
Ah…Ohhhのメロディラインが際立つ。ジョンのアコギ(左)も勢いがある。
ゴールデン・スランバーも定位は同じ。左右はそれぞれセンターよりになった。
右からポールのピアノ、センターにポールのボーカルとベース(ジョージが弾く
フェンダー・ジャズベースだろう)、左からリンゴのドラムが入る。
この曲については、ベースはむしろ抑えられた気がする。
続けて録音されたキャリー・ザット・ウェイトも定位は同じ。
でも最初のドラムのフィルインは力強い。
右からオーヴァーダブしたと思われるスネアの音が聴こえる。
Boy, You’re gonna…のユニゾンもI never give your…のリフレインもセンター。
ジ・エンドの前半の主役はリンゴ。左から右へ縦横無尽に力強いドラムが聴ける。
そのためかギター2台もベースもセンターで団子状態だったのだが、ギターはやや
左右に振られ、ベースは真ん中でくっきり。聴き分けやすくなった。
Love you….は以前は左右に動いて不自然だったが、センターから広がるような
定位に固定された。
↑写真をクリックするとジ・エンドの2019リミックスが聴けます。
このギターは何でしょう?ジ・エンドで弾いてるのはレスポールだと思うけど。
例の3人のギター・ソロは以前はすべて真ん中だったが、2019ミックスではポール
(やや左)→ジョージ(やや右)→ジョン(センター)とソロを回してる臨場感
が出るようになった。
その間のLove you….も以前は左に移動してたが、センターから広がる定位のまま。
And in the end…もハモりが左右に広がり美しくなった。
ストリングスも厚みが出ている。ドラムは最後まで左右で力強く響く。
ハー・マジェスティは音が大きくなった以外、ほとんど変化なし。
右から左へ流れるのも同じ。ポールはマーティンD-28を弾いている。
じっくり聴きたい人はアウトテイクで、ということで。
(次回はアウトテイク集についてレビューします)
※5.1chサラウンドとドルビーアトモスについては、再生可能なオーディオ環境では
なく、Blue-Ray Audio付きスーパー・デラックスじゃないので分かりません。
↑VW社は自社の車が路肩に乗り上げ違法駐車してることに心を痛めていたとか。
それでわざわざこんな写真を撮ったそうな(^^v)
<脚注>