1. The Bells Of St. Mary'sは1953年のシングル(B面Country Gentleman) 2. Jingle Bells / 3. Christmas Carolsは1955年のシングル。 4.Sleigh Bells, Reindeer and Snowはチェットによるオリジナル曲。 タイトルを訳すと「そりの鈴、トナカイと雪」。 チェットのギターと当時6才の愛娘マール(1)の歌が微笑ましい作品。 家族のために自宅スタジオ録音したもので未発表曲。(2) 長年アトキンス家の棚に保管されていたらしい。 5. Greensleevesは名盤の誉れ高いChet Atkins In Hollywood(1959)より。 このアルバムは全編映画音楽で、タイトル通りハリウッドで録音された。 オーケストラをバックに控えめなギターが美しい。 ↓夜景+チェットの愛器6122 Country Gentlemanのジャケットも人気だ。
6122 Country Gentlemanはグレッチ社とチェットの共同開発で1957年に発売。 チェットのトレードマークとも言えるシグネチャー・モデルのも代表格だ。 長年チェットのバックを務めたポール・ヤンデルによると、1959年製が最も 完成度が高いらしい。 後にジョージ・ハリソンが1962年製ダブルカッタウェイを愛用し、Country Gentlemanは世界中のギター・ファンに知られることになる。 6〜19.の14曲はRCAビクター時代のChristmas With Chet Atkins(1961)。 アニタ・カー・シンガーズの美しいコーラスとの掛け合いがすばらしい。 ↓雪景色+チェットの愛器6120 Nashvilleのジャケットにファンは萌えてしまう。
20. I Heard The Bells On Christmas DayはRCAのアーティストたちに よるコンピレーション・アルバムNashville Christmas Party (1962)に収録。 これはレアだ!初めて聴いた。 チェットはゴスペル曲集アルバムPlays Back Home Hymns(1962)のレコーデ ィング期間中にこの曲を録音したらしい。 Plays Back Home Hymnsに収録されててもしっくり来そうな曲だ。 このアルバムはスキーター・デイヴィス、エディー・アーノルド、アニタ・ カー・シンガーズ、ハンク・スノウ、フロイド・クレイマーも参加(未CD化)
↑クリックすると I Heard The Bells On Christmas Dayが聴けます。 21. Winter Walkin’はアルバムGuitar Country(1964)に収録されている。 ジェリー・リードの曲でチェットはTVショーやライブでも弾いている。 22. Ave MariaはアルバムClass Guitar(1967)収録曲。 このアルバムはこの曲も含め全てクラシック・ギターで演奏されている。
1981年に完成した世界初ソリッド・ボディーのエレガット、ギブソンの Chet Atkins CE (CEC) Classicalが使用されている。(8) チェットはグレッチ社にソリッド・ボディーのナイロン弦ギターの構想を 持ちかけていたが、そんなの売れるわけないと拒まれていた。 (そこに至るまでポール・マクギルに依頼して試作品製作を重ねている) グレッチ社は何度か経営不振に陥り、1980年にギターの製造を中止。 その1年前の1979年にチェットとのエンドースメントも解消していた。 そこでチェットはソリッド・ボディーのエレガットの企画をギブソン社に 持ちかけ、ギター・ビルダーのカーク・サンドとの共同開発で完成させた。
トップはスプルース、マホガニーのソリッドボディー。 サドル下にピエゾP.U.を配するのではなく、6弦独立のサドル自体がL.R. Baggs製のピエゾP.U.という画期的な構造で、弦の振動を効率良く伝達。 East Tennessee Christmas冒頭のJingle Bell Rock、White Christmas Let It Snow, Let It Snow, Let It Snowの3曲はエレクトリック・ギター を使用しているが、まろやかだけれど音が細く、どちらかと言えばフェンダー 系のシングルコイルP.U.のソリッドボディーの音に聴こえる。 おそらくギブソンがチェットのために製作したCGP Phasorだろう。
East Tennessee Christmasでは、セミホロウ・ボディーでハムバッカーの ギターのように聴こえる曲もある。グレッチを使用したのか? ギブソン版Country Gentlemanの発売は1987年だが、この時点で既に プロトタイプが作られ使用されていたのかもしれない。
I'll Be Home for Christmasはエルベッキオのリゾネーターの音だ。 24. Ave MariaはアルバムAlmost Alone(1996)収録曲。 ギブソンから独立したカーク・サンドが製作した新しいエレガット一本 でのソロ演奏で2枚組は幕を閉じる。 以上だが、補足。実はチェットにはもう一枚、クリスマスCDがある。 チェットがギターを弾き、女優のエイミー・グラントが朗読する童話だ。 Chet Atkins, Amy Grant – The Story Of The Gingham Dog And The Calico Cat Rabbit Ears Musicレーベルから1999年に限定発売。現在は入手困難だ。
ギター+童話が20分程度でその後、チェットの演奏だけのトラックを収録。 全曲アコースティックで、チェットは多重録音で2台弾いている。 珍しくスチール弦のフラットトップ・ギター(ギブソン)も使用している。 同じモチーフを少しずつアレンジを変え演奏しているが、その1つはアルバム Almost Alone(1996)収録のWaiting For Susie B.(10)である。 もう1つはチェット最後のアルバムとなったトミー。エマニエルとの共演盤 The Day Finger Pickers Took Over The World(1997)収録の Smokey Mountain Lullaby。 どちらもチェットらしい美しい曲である。 <脚注>
↑ヒア・カムズ・ザ・サン(テイク9)が聴けます。 ビコーズ(テイク1 インストゥルメンタル) 8月1日に録音されたバッキング・トラックの録音。 リンゴのカウントに導かれ、ジョージ・マーティンによるエレクトリック・ハープ シコード、ポールのベース、ジョンのギターだけで演奏される。 各自がモニター・ヘッドフォンに流されたリンゴのガイド(手と膝を叩いてるようだ) を聴きながら弾いている。今回収録されたのはテイク1。(OKテイクは16) ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネー(テイク36) 5月6日、オリンピック・サウンド・スタジオでの録音。 ポール(p,vo)リンゴ(ds)ジョン(g)ジョージ(g)の編成で36テイクを録音。 これは最後のテイク36。(採用されたのはテイク30) 始まる前のポールのしゃべりも面白い。You never give me your coffeeだって(^^) 歌い込みすぎたのか、ポールの声が枯れ気味で歌いまわしもところどころ異なる。 ジョージのオブリの入り方も違うので聴き比べてみてほしい。 サン・キング(テイク20) 次のミーン・ミスター・マスタードとメドレーで35テイクを録音。(7月24日) 最後のテイクが採用されたが、これはテイク20。ゆったり演奏している。 曲に入る前ジョンは上機嫌だ。リンゴのゴングに導かれ曲が始まる。 ジョンのエピフォン・カジノはコンソールでフランジャーをかけたようだ。 ジョージはオールローズのテレキャスターだと思う。 薄めにジョンがガイド・ボーカルを入れている。
ミーン・ミスター・マスタード(テイク20) サン・キングとのメドレーだが、テンポが遅くジョンもゆるい感じで歌ってる。 ジョンがYes,she does、Yes,it isと合いの手を口ずさんでるのがおもしろい。 Takes him out to look at the QueenではGod save the queenとジョンらしい。 楽器編成はサン・キングと同じだがベースにファズがかけられている。
ポリシーン・パン(テイク27) 翌7月25日にシー・ケイム・イン・スルー〜とメドレーで39テイク録音された。 (採用されたのは最後のテイク39) テイク27ではポールが出だしのD→A→Eとドラムのフィルのタイミングを確認。 ジョンがSounds like Dave Clark(デイヴ・クラーク・ファイヴみたい)と笑う。 ワイルドなジョンのカウントでエネルギッシュな演奏が展開される。 ジョンはアコギとガイド・ボーカル、ジョージがエレキ、ポールがベース、 リンゴのタム、スネア連打がすごい。
↑ポリシーン・パン(テイク27)が聴けます。 シー・ケイム・イン・スルー・バスルーム・ウィンドウ(テイク27) ポリシーン・パンとのメドレーで演奏されたテイク27。楽器編成も同じ。 ガイド・ボーカルはポール。 ゴールデン・スランバー/キャリー・ザット・ウェイト(テイク1‐3) 7月2日、次の曲であるキャリー・ザット・ウェイトと併せて録音。 ポール(p,vo)ジョージ(b)リンゴ(ds)の3人で15テイク演奏された。 (ジョンは交通事故で入院中) ジョージがYeah,these are a couple on the album been like that(もともと この2曲はアルバム用の組曲なんだ)とコントロール・ルームに説明してる。 テイク1はフール・オン・ザ・ヒルを歌い出す。 テイク2はキャリー・ザット・ウェイトで中断。 テイク3はヴァースの後Golden…でリンゴとタイミングが合わず中断。 (最終的にはテイク13とテイク15が編集され翌日、3人のコーラスとジョージ とポールのギターをオーヴァーダブした) ジ・エンド(テイク3) 7月23日にベーシック・トラックを7テイク録音。最後のがベストとされた。 ギターソロ、ボーカルはなく演奏のみ。And in the end…のフィナーレもない。 テイク3ではジョンがOkay,let's hear it! (さあ、聴かせてくれ)とみんな(特に リンゴ)を鼓舞させ、ポールのカウントで威勢よく始まる。 リンゴのドラム・ソロも異なる。左のギターがジョン、右がジョージだろう。 ベースを弾きながらポールが叫んでいる。テンポアップして終える。
↑セッション中いい写真をいっぱい撮っておいてくれたリンダに感謝。 本人は一緒に映らないようにしてる控えめな性格が誰かさんとは正反対だね。 <その他のアウトテイク> スーパー・デラックス・エディションのみ収録で聴く価値ありの音源。 グッドバイ (ホーム・デモ) メリー・ホプキンの2枚目のシングル用にポールが書いた曲。 1969年2月に自宅で録音されたらしい。マーティンD-28での弾き語りだ。 ブートで出回った音源ではあるが、音質ははるかにいい。 カム・アンド・ゲット・イット(スタジオ・デモ) 7月24日はサン・キング、ミーン・ミスター・マスタードが録音されているが、 この日もポールは早めにスタジオ入り。 一人でアイヴィーズ(バッド・カンパニー)用の曲のデモ・テイクを作成。 ピアノ、ドラム、ベース、マラカス、ボーカルを多重録音で1時間で仕上げた。 最後にポールがOkay,gives on the headphone and track it(よし、ヘッド フォンで音を聴きながら重ねよう)と言ってるのが聴こえる。 (アンソロジー3に収録されたが、ステレオ・ミックスは今回が初めて)
ジョンとヨーコのバラード (テイク7) 4月14日ジョンとポールが2人で1日で仕上げ、5月30日にシングル発売した曲。(2) テイク7はジョンのアコギ弾き語りで、ドラムはポールが叩いているが上手い。 ジョンがMal, turn string I make a put mow(弦が指がからまる)と言ってる。(3) 有名なジョンのWe gotta get faster Ringo!(リンゴ、もっとテンポをあげよう)、 ポールのOkay, George!(了解、ジョージ)の掛け合いも入っている。
↑写真をクリックするとアイ・ウォント・ユーの2019リミックスが聴けます。 ヒア・カムズ・ザ・サンはイントロのアコギが左端からややセンターよりへ。 シンセが重なるがが双方の音がそれぞれクリアなので気持ち良い。 ジョージの声は艶が増した。 Here comes the sun, du du…のコーラスが左右に広がり美しく響く。 ベースはセンター、ドラムはセンターから左へ、という定位は変わっていない。 が、Sun sun…の手拍子と共に入るタムのドコドコドコが右よりに広がった。 後半の音の厚み、エンディングのアコギの響きの美しさはすばらしい。 Amazonのレビューでヒア・カムズ・ザ・サンの12弦ギターの音が美しいという レビューがあったが、あれはグラマーのジャンボサイズのギターだと思う。 (バングラディッシュ・コンサートで使用したメイプル・ボディーのもの)
ユー・ネヴァー・ギヴ・ミー・ユア・マネーの定位は出だしはほぼ同じ。 左右の定位がやや中央によせられ聴きやすくなった。 が、Out of collegeからは一転。右から聴こえたポールのボーカルはセンターへ。 ベースはど真ん中でブンブンうなる。ドラムは右からやや中央よりになった。 All the magic feelingで入るギターが艶やかに。 このギターが途中からセンターに動くのが気になってたのが解消された。 Ah…のコーラスは左右に広がり美しい。 One sweet dreamからの左、中央、右のギターが何をやってるかよく分かる。 On two three four…のコーラスが左右に動くのも不自然だと思っていたが、 2019リミックスでは中央から左右に広がり固定。 この間入るやや音数が多すぎのオブリは音量が抑えられやや右へ。