12. Day Tripper ギター(ダブルトラキング)が左右から鳴るのは同じだがややセンター寄りに 改められパワー感が増した。 間奏の後、1:42辺りで左のリフが落ちるのが以前から不思議だったのだが、 今回のミックスでジョージがミスって4拍の裏を弾いていないのが確認できた。 ユニゾンで同じラインを弾くポールのベースが左からセンターへ。 これによってこの曲の売りであるリフがしっかり前に出て来る。 また左のベースが移動したことで同じく左のジョンのリズムギターが鮮明に。 ああ、Eを弾きながら時々7thの音を入れてるんだなあ、と分かった。 左のドラムは少しセンターに移動しビートが強くなった。 タンバリンが右なのは変わらないが歪みがなくなり硬質で抜ける音に。 従来は右だったボーカルがセンターに移動して聴きやすくなった。 同じく右のコーラスがセンターから右へと広がる。いい感じだ。 13. We Can Work It Out 以前は左にほとんどの楽器、右にボーカルとハーモニウムという極端な左右泣き 別れだった(Rubber Soulのミックスの特徴)。 今回は左にアコースティックギター、ベース、ドラム、タンバリンという定位は 踏襲しながらややセンターに寄せられ、右はハーモニウム、ボーカルはセンター で聴きやすくなった。 それだけではない。 ポールのボーカルのダブルトラッキングの片方が右に定位し、センターと右から 聴こえるピーター・コビン方式が取られステレオ感が楽しめてうれしい。 ジョンが弾くハーモニウムは伸びやかな音で拡がり二音なのが分かるようになった。 余談だが一音ずつ別なトラック(一つはフェイドイン)に録音されたらしい。
14. Paperback Writer これも劇的に変わったと思う。カッコイイ! 従来は左にギター、ドラム、タンバリン、右にベースとコーラス(歌い出しのみ 右と左)の分離が効きすぎで、せっかくのリフが遠くから聴こえ不満だった。 今回は歌い出しからハーモニーが左右に拡がり美しく響き渡る。 ポールのダブルトラックのボーカルはセンター寄りの左と右でステレオ感が出た。 ギター、ドラム、タンバリンはセンターに移動(おそらく同じトラックに一緒に 録音されたのだろう)。 そのせいで迫力が出た。リンゴのドラムは重くギターは力強い。 15. Yellow Submarine まず従来。 アコースティックギター、ドラム、ベースが左でボーカル、コーラスは右の泣き別れ。 終盤のYellow Submarineのリフレインは左からも声が聴こえセンターに動く。 ティンパニーはセンター。 管楽器がセンター、波などの効果音がセンター〜やや左に配されていた。 1999年のYellow Submarine Songtrack版は別物と思うくらい大胆に変えられている。 それと比較するのもナンなのでパスして2015年版のレビューに移りたい。 アコースティックギターは左。 リンゴのボーカル、ドラム、ベースはどっしりセンターへ。 We all live in a yellow submarineのコーラスが両側からリンゴを囲む。 波の音は右、他の効果音も右と左に振り分けられる。 管楽器は左から右へマーチングバンドが動いてるのが想像できるようだ。 この曲も今回のミックスの勝ち〜♫ 尚DVDの5.1だと波や声が後ろに回っておもしろいらしいが、残念ながら我が家は サラウンドが楽しめる環境にない。
16. Eleanor Rigby これも劇的に変わった。本当に(笑) まず従来。Ah look at all the lonely people〜のボーカルは左右。 Eleanor Rigby〜で右のみになるが最初のEleaだけ左に残っている。 これは単純にミックス時にフェイダーを下げるのが遅れたためだろう。 All The Lonely People〜はセンターに聴こえるが左右でユニゾンで歌っている。 この頃ADTが導入されたので1つのトラックをずらしてるのだと思う。 最後に小さく聴こえるAh look at all the lonely people〜は左。 ストリングスはまとめてセンターに定位されていた。 で、今回。 Ah look at all the lonely people〜が左右なのは同じだがセンター寄りに。 Eleanor Rigby〜からセンターでしっかり歌う。 左chのEleaの取り残しもなし(笑) All The Lonely People〜はセンター寄りだが左右のステレオ感も充分だ。 ストリングスの配置も大きく変わった。 左に第一バイオリン、第二バイオリン、センター右よりにビオラ、右にチェロ とまるで弦楽四重奏がポールを囲むように伸びやかな音色を奏でている。
17. Penny Lane 従来はほとんどの楽器とボーカルがセンターに寄せられ、クラリネットとピッ コロとオルガンが右、鐘は左、サビのand in my eyesで入るトランペットは 左右に振り分けられてた。 有名なピッコロ・トランペットの間奏は左だが終盤のオブリは左に移動。 2015年盤ではポールのピアノが左に定位されはっきり聴こえる。 peasure to know〜でセンター(と右からややずれて鳴る)他のピアノが聴 こえ、二台で弾いている(一台はジョンらしい)ことが初めて確認できた。 右からのオルガンは前よりはっきり弾聴こえる。 クラリネットとピッコロが右、鐘が左、サビのand in my eyesで入るトラン ペットが左右なのは同じ。 間奏のピッコロ・トランペットはセンターで誇らし気に鳴り響く。 終盤もセンターだがエンディングのみ左へ。 センターはポールのボーカルとベース、ドラムと王道。 ベースは伸びやかに重く響く。 リンゴのハイハットの刻み方、スネアの入れ方は抜群のセンスだ。 ポールのボーカルはセンターで変わらず。 There beneath the blue suburban skiesのコーラスは左右に広がるよう になった。 18. All You Need Is Love ラ・マルセイユのイントロは右にトランペット、左にピアノの単音、セン ターでドラムロール。 次に左からハプシコードとLove love loveのコーラス。右からチェロ。 ジョンのボーカルとベース、ドラムがセンター入るのがオリジナルのミックス。 流れるようなストリングスとAll You Need Is Love〜で入る管楽器は右〜 やや右に配されていた。 ジョージのギターソロはセンター。 All You Need Is Love〜でジョンのダブルトラックの片方のボーカルが左に 振られる。 ジョージとポールのコーラスは左。 終盤のポールのAll together nowはセンター。 1999年のYellow Submarine Songtrack版では劇的に変わる。 ラ・マルセイユのトランペットが左右中央に広がり響く。音量も大きくなる。 ピアノの単音は聴こえなくなった。 Love love loveのコーラスもセンターから左右に広がり音量も上がった。 ハプシコードの左、チェロの右は同じ。 ストリングスは左〜やや左へ。All You Need Is Loveの管楽器はやや右寄り。 All You Need Is Love〜でジョンのダブルトラックの片方のボーカルが左 からややずれて聴こえるのが顕著になり広がりが出た。 ジョージのギターソロ、終盤のポールのAll together nowはセンタで同じ。 そして2015年版「1」である。 ラ・マルセイユのトランペットが右、ピアノが左という定位はオリジナルと 同じだが、両方ともよりクリアーに聴こえる(特にピアノの単音)。 左からハプシコード、右からチェロという入り方もオリジナル準じているが、 Love love loveのコーラスは左右に広がるようになった。 ジョンのボーカルとベース、ドラム、間奏のギター、終盤のポールの掛け声 がセンターという定位もストリングスとAll You Need Is Love〜で入る 管楽器が右〜やや右に配されているのもオリジナルのミックスに忠実。 つまりオリジナルのミックスに敬意を表しあまり変えなかったということか。 個人的には1999年のピーター・コビンの激変ミックスが好みであるが。
以下、前半1〜11曲目の聴きどころ(個人的な所感)をまとめてみた。 1. Love Me Do 2. From Me To You 3. She Loves You 以上3曲はモノラル。 モノラルミックスしか残っていない(残念なことに元テープは誤って破棄してしまった) She Loves Youはともかく、他2曲はステレオミックスも可能なはずだが2トラックの音源 ではバランスのいい定位が無理と判断したのだろう。 Love Me DoとFrom Me To Youはポールのベースがはっきり聴こえるようになった。 それにしても「1」なのにPleas Please Meが入ってないのは解せないなあ。 英国で初のNo.1ヒットだったんだよね? 4. I Want To Hold Your Hand 変わった!と最初思ったのだが、定位はあまりいじってないようだ。 変わったという印象はジョン、ジョージのギターが鮮明になったからかもしれない。 イントロ後にセンターから聴こえるボーカルが以前は唐突な感じだったが、音量配分の せいか自然になった。
5. Can’t Buy Me Love これは劇的に変わった。 今まで左だったベース、ドラム、アコギのリズムセクションがセンターで安定。 ジョージが刻むコードカッティングは右。 ポールのダブルトラックのボーカルが従来はセンターでモノラルで聴こえていたのが、 やや左寄りと右になった。 間奏前のギャーッ!というシャウトは左寄りと右で違うことが判明。 間奏のジョージのギターはセンターで左右に揺れ感がいい感じになった。 6. A Hard Day's Night 定位はあまり変えていない。 左からベース、リズムギター、ドラム。右にアコギ、間奏のピアノ(早回転)。 センターにボーカル。 しかし左のリズムギターと右からシャンシャン鳴るアコギの迫力が増した。 全開のハイハットは歪みなくシャープに、以前はうるさすぎたボンゴが抑えられた。 7. I Feel Fine 楽器の定位は基本的に同じ。 左のボーンというベースに押し出されるように右からジョンが弾くイントロが入る。 ちなみにこれはJ-160EのP-90ピックアップを通しての音である。 その間左から聴こえるスタジオ・ノイズが目立つようになった(こういうの好き)。 ジョージの間奏がセンターなのは同じだが左右に揺れすごくいい感じだ。 最後にジョンと同じリフを弾いて右からまたジョンだけに。ここがいいんだよね。 サビでのリンゴのリムショットがシャープになった。 ジョンのダブルトラックのボーカルはセンターと右に振り分けられ、ジョージと ポールのコーラスはやや左。ハーモニーのほ拡がりを感じる。
8. Eight Days A Week 左にアコギ、リズムギター、ベース、ドラムが固まり右は手拍子とイントロのギター のトレモロといういささか偏ったミックスは同じだが、以前よりセンターよりに定位 されたことで聴きやすくなった。 そのせいもあって各楽器の音がとても鮮明で聴き分けられる。 それからフェイドインの頭からわりと演奏がはっきり聴こえるようになった ボーカルはセンターだがHold me love me….からセンターと右に。 Eight Days A Weekで左右に広がるミックスに変わった。
9. Ticket To Ride これも楽器の定位は基本的に同じ。ボーカルはセンターのまま不動。 My baby don’t care….では右チャンネルのギターが何を弾いてるかも聴き取れる。 真ん中だったタンバリンがやや右に逃げ鈴やかに鳴るようになった。 10. Help! 左にベース、ドラム。右からジョンの12弦アコギ、ジョージがきざむエレキ。 ボーカルとコーラスはセンターという定位は変わらなかった。 が、歌い出しのHelp!のみコーラス(特にポールの声)は左から聴こえる。 どうせだったら掛け合いのコーラスも左右で拡がりを出して欲しかったと思う。 ジョンが弾くフラマスの12弦ギターの音が今までで一番よく聴こえる。 Won’t you please….でのジョージの下降オブリのステレオ感も気持ちいい。 ポールのベースの音像が明確。 リンゴのリムショット〜スネアは鋭角的でちょっと強すぎ?という印象。
I Feel Fine、We Can Work It Out、Paperback Writer、Hello Goodbye、 Hey Jude は複数あるヴァージョン違いもめでたく収録。 Hello GoodbyeはSgt.Peppersのジャケットで着てるカラフルなミリタリースーツ で演奏しているもの、普段着で演奏しているもの、演奏シーンがあまりなくてジョン がノリノリで踊っているもの、の3ヴァージョン全てが見られる。
Hey Judeはデヴィッド・フロスト・ショー出演時のもの(ボーカルのみ生)だが、 本編にテイク1、ボーナス・ディスクにテイク2が収められている。 紹介された後ジョンがエルヴィスのIt’s Now Or Neverを歌い出し、フロストがう んざりした顔をしているのが笑える。
Don’t Let Me Downは映画「Let It Be」の屋上での演奏シーン。 Let It Be…Nakedに収録されたテイクでシングル盤のテイクとは異なる。 ジョージとポールが笑ってるシーンがあるが、ジョンが歌詞を忘れてごまかして いいかげんなことを歌ってるため。 音声はこの部分だけ他のテイクに差し替えられてるのでなぜ笑ってるか?だ。 Long And Winding Roadも映画のシーンでNakedに収録されたテイク。
Let It Beは映画のシーンにシングル盤ヴァージョンの音をシンクロせたもの。 最後のヴァースでのポールのピアノのミスタッチもそのまま。 Get Backも屋上シーンにシングル盤ヴァージョンの音を合体。 Let It BeとGet Backは映像と音声が違うテイクなのにほとんど違和感を感じない。 曲が完成に近づくとテンポや歌い回しも固まってくるんだなあと改めて感心した。 後から製作されたWords Of Loveも楽しいし、Loveでジャイルズ・マーティンが 大胆なミックスを施したWithin Without You/Tomorrow Never Knowsの合体曲 もトリップ感が出ててカッコよかった。
顕著な所ではEight Day’s A Weekのイントロがフェイドインではなく最初から しっかりギターとドラムの音が聴こえる。 Hey, Bull Dogの間奏はエフェクトが弱くなって単音がはっきり聴こえる。 Real Loveではイントロ、曲間でエレキでもコードを刻んでるのが聴こえ、さらに ジョージのオブリも少し変えられているようだ。 尚、テレビ局のスタジオ・ライブの映像はその時の音源がそのまま使われている。 A Hard Day’s Nightは1965年パリのオランピア劇場でのライブである。 Revolutionはちゃんとビデオクリップ用の音源(ボーカルのみ別テイク、シュビ ドゥバ♫の掛け合いコーラス、途中ポールがハモる)がちゃんと収録された。
今回はビデオクリップ集、特にボーナス・ディスクがお目当てでCDの方は2000年 リリースの音質向上でしょ?別になくてもいいや、と思っていたのだが。。。。 CDを聴いてみて考えを改めた。 2000年の「1」とは曲構成は同じなれど音はまったく別物なのだ。 そして2009年の全作品リマスターとも。これはうれしい誤算である。 CDの方のレポートはまた改めて書きたいと思う。 To be continued….