オリヴィア・ディーンを聴きながら(1)書いている。
昨年から彼女の歌を聴くようになった。Diveが好きで何度もリピートしてる。
体が自然に横揺れのリズムを取ってしまう。聴き心地がいい。
海岸通りを車で走りながら聴いたら気持ちいいだろうなー。
温かい季節なら、片手を出して風を感じながら。
Olivia Dean - Dive
1960年代のソウルや1980年代のブラック・コンテンポラリーを思わせる。
ジャズ、サンバ、ボサノヴァのグルーヴや温かみがあるサウンドも感じる。
それらに2020年代のUKポップが絶妙にブレンドされているのだ。
彼女の歌はどこかノスタルジックでありながらモダンでもある。
UKネオソウルと呼ばれることも多い。
オリヴィア・ディーンの歌声は、肩の力がふっと抜けるような軽やかさと、
芯のある強さ、のびやかで豊かな響きが同居していて耳馴染みがいい。
声を張り上げることなく自然体で歌うだけで充分な音量(2)が出るのだろう。
スモーキーなファルセット、エキゾチックでシックなスタイルはちょっと
1980年代のシャーデーを彷彿させる。
<Diveの歌詞>
歌詞は新らしい恋への期待感、何かが始まりそうな胸の高鳴り、相手を信頼
して身を委ねる大人の女性の決意が感じられる。
Dive - Olivia Dean 対訳:イエロードッグ
(今回はAIに手伝ってもらいました。Thanks! Google Gemini)
It isn't working I'm a tidal wave of question marks
And you're just surfing Leaning into me like it's an art
うまくいかないの 私の心は疑問符の波に飲み込まれそうなのに
あなたはただその波を乗りこなす 芸術的にぴったり 私に身を寄せてくる
It's so crazy Lately you just understand my feelings
Make me see I'm capable and fine
And feeling beautified Tonight, I'm ready to dive
すごいよね 最近のあなた 私の気持ちをちゃんと分かってくれる
何でもできそう、大丈夫って思わせてくれるの
心が洗われて今夜はキレイになった気分
わたし 飛び込む準備ができてるわ
Maybe it's the loving in your eyes (I'm here, see through)
Maybe it's the magic in the wine (I'm feeling loose)
Maybe it's the fact that every time I fall, I lose it all
But you got me from my head to my feet
And I'm ready to dive
あなたの瞳に愛が宿っているからかな(私はここよ、よく見て)
ワインの魔法が効いているせいかしら(いい感じに酔ってるの)
恋に落ちるたびに 何もかも失ってきたからかもしれない
でもあなたは私のこと ぜーんぶ分かってるよね
だから わたし 飛び込む準備ができてるの
<Diveのコード進行>
オリヴィア・ディーンがピアノを弾きながらDiveを歌うヴァージョンがある。
Olivia Dean - Dive (Acoustic)
公式録音とはまた一味違うすっぴんの良さ、という印象。
これを聴くと、キャロル・キングの影響を受けてるのかな?と思う。
コードを耳コピで拾ってみた。キーFで演奏されている
(公式録音はキーG ※後述)
コード進行はきわめてシンプル。
Aメロ〜Bメロとコーラス部(サビ)のコード進行はほとんど同じ。
maj7やm7の多用で、都会的で洗練された大人の女性の恋に揺れる気持ちを
うまく表現している。
特筆すべきは、I'm ready to diveのB♭m7→Gm9/C。(赤字の箇所)
ここだけB♭maj7ではなく、マイナーコードのB♭m7に置き換わっている。(3)
一瞬だけムードが変わり、ふっと切なさを感じさせる。
次のGm9/Cは二層構造の分数コード。(4)
上のGm9は次に来るB♭maj7と構成音が似てるので繋げやすい。
一方、下(ベース)のCはキーのFに帰結しやすい。
[Verse 1]
B♭maj7
It isn't working
F maj7
I'm a tidal wave of question marks
B♭maj7
And you're just surfing
F maj7
Leaning into me like it's an art
[Pre-Chorus]
Am7
It's so crazy
Dm7 Gm7
Lately you just understand my feelings
Am7 Dm7 Gm7
Make me see I'm capable and fine
Am7 Dm7
And feeling beautified
Gm7 B♭m7 Gm9/C
Tonight, I'm ready to dive
[Chorus]
B♭maj7 F maj7
Maybe it's the loving in your eyes (I'm here, see through)
B♭maj7 F maj7
Maybe it's the magic in the wine (I'm feeling loose)
Am7 Dm7 Gm7
Maybe it's the fact that every time I fall, I lose it all
B♭m7 Gm9/C
But you got me from my head to my feet
B♭maj7 Fmaj7 B♭maj7
And I'm ready to dive
尚、公式音源はキーがG。
ピアノ弾き語りのデモやライヴではキーFで演奏されている。
キーFが彼女が余裕を持って歌いやすいキーなのだろう。
公式音源をGに上げたのは、ポジティブな印象(明るく、軽く、活発、
開放的)を出すためではないだろうか。(5)
<異例の速さでリスナーを魅了したオリヴィア・ディーン>
オリヴィア・ディーンは1999年ロンドン生まれの女性シンガー。
ジャマイカ系ガイアナ人の母とイギリス人の父との間に生まれた。
母親はR&Bが好きで、ローリン・ヒルなどネオソウルもよく聴いていた。
父親はレゲエやキャロル・キングなどを愛聴していたという。
8歳からゴスペル合唱団で歌い、芸術系のブリットスクールを卒業。
デビューからわずか7年でSpotifyの月間リスナー数は2,500万人を突破。
グラストンベリーなど世界的フェスに出演し、着実にキャリアを重ねてきた。
サム・フェンダーとはコラボ曲を発表し、サブリナ・カーペンターのツアー
ではオープニングアクトに選ばれ、アーティストたちからも高い評価を得る。
日本でもサマーソニック2024へ初出演、東京での単独公演を実現させた。
2023年のデビューアルバム「Messy」がマーキュリー賞にノミネートされる。
Diveは本アルバム収録曲で、 恋に落ちる瞬間の不安と高揚感を歌ったオリヴィ
ア・ディーンを象徴する一曲でもある。
2025年の2ndアルバム「The Art Of Loving」は全英で初登場1位を記録。
アルバムからシングルカットされたMan I Needは英国、オランダ、オーストラ
リアなど7か国で1位を獲得。
アメリカでも最高4位を獲得し、グラミー最優秀新人賞にノミネートされた。
Man I Needはマイケル・ジャクソンやティアーズ・フォー・フィアーの影響を
受けたと彼女は言っている。
<オリヴィア・ディーンのライヴ・パフォーマンス>
オリヴィア・ディーンのライヴ・パフォーマンスは定評がある。
Olivia Dean - Dive (Later... with Jools Holland)
2026年4月〜6月にロンドンのO2アリーナ(収容人数2万人)で4公演を行うこと
が発表された。
オリヴィア・ディーンにとってはキャリアの大きな節目であり夢の達成でもある。
世界で最も有名なアリーナの一つでヘッドライナーを務めるのだ。
4夜公演はすべて完売。2夜公演が追加された。
次は北米ツアーだろうか。日本には来るのだろうか。
ブルーノート東京やビルボードライブ東京のような小会場で見れたら最高だが。
ドームは勘弁してほしい。せめて東京国際フォーラムくらいなら・・・
<映像作品での使用>
DiveはNetflixのドラマ「ハートストッパー」で使用されている。
ドラマ「セックス&ザ・シティ」の新章ではThe Hardest Partが使用された。
オリヴィアは映画「ブリジット・ジョーンズの日記」最新版のために新曲、It
Isn’t Perfect, But It Might Beを提供している。
<ファッション界も注目>
豊かな文化的背景を反映させた楽曲で今の女性のリアルを表現していること、
若者に支持されていること、知名度が上がり確固たる存在になっていること。
そして、このビジュである。カッコいい!何を着てもサマになる。
ファッション業界が放っておくわけがない。
シャネルは1stアルバム発売前にオリヴィアをアンバサダーに早々と指名。
アディダスはオリヴィアとコラボしたカプセルコレクションを発表。
バーバリーのフレグランス「Her」のキャンペーンモデルにも就任している。
ヴォーグ・シンガポールは2024年に、ヴォーグ・オーストラリアは2025年
にオリヴィア・ディーンをカバーガールに起用。
それぞれファッション特集やインタビューが掲載された。
<なぜオリヴィア・ディーンは人々を惹きつけるのだろう?>
まず楽曲の圧倒的な入りやすさ、歌詞の共感しやすさ。
自然体の歌声の耳馴染みのよさもある。
シンプルなバンド編成とアレンジ(過剰なプレイはしない)でありながら、
ホーンセクションも加えリッチなサウンドである点も好感が持てる。
そして何よりも、ヴィンテージ感のあるソウルミュージックに現代的なUKポップ
をブレンドした新らしいスタイルが、新鮮で今の気分をうまく掴んだのだろう。
つまり懐かしさ(レトロ)と新しさ(モダン)の組み合わせが巧かった。
こうしたモダンなモータウン解釈、ネオソウルという音楽に再構築して聴かせる
のも、リミックス(6)と言えるかもしれない。
往年のモータウンやスタックス、アトランティックのコテコテの油ギッシュな
ソウルミュージックやR&Bは熱心なファンには受けるが、マーケットは限定的。
オリヴィア・ディーンをきっかけに(ルーツ探求みたいな感じで)シュレルズ、
アレサ・フランクリン、マーヴィン・ゲイ、ダニー・ハザウェイ、シュープリー
ムスを聴く若い人が出て来るなら、古いソウル・ファンも歓迎するだろう。
Olivia Dean - The Hardest Part
The Hardest Partは別れの痛みを優しく歌った初期の代表曲。
このMVはモータウンのパロディ、シュープリームスへのオマージュだろう。
優雅な身のこなし、揺れ方、手の動きは本家シュープリームスを凌駕している。
最後に2025年秋にシングルカットされたオリヴィア・ディーンのSo Easy
(To Fall In Love)を聴いて(見て)欲しい。
ボサノヴァ・ポップだ。軽やかさ、しなやかさがいい。心が弾む。
Olivia Dean - So Easy (To Fall In Love) 和訳付き
※バーバリーのフレグランスの広告がしっかり映ります(笑
<脚注>