「レイドバック(laid-back)」がどういうことなのか説明するのは難しい。
直訳すると「後によりかかった」という意味だが「のんびりした、気が張って
いない、リラックスした状態」を表わしていることが多い。
マリファナでもやってボーッとするのがレイドバックだという人もいる。
以前あるサイトでレイドバックについてこんな記述を見たことがある。
「あなたはビーチでチェアに深々と座って目を閉じている。日射しがじりじり
心地よい。目を開けると水平線に小さく白い船が見える。それはさっきよりも
進んでいるようにも見えるし動いていないようにも見える。午後に何か約束が
あったはずだが忘れてしまった。まあ、いいや。また目を閉じる。ラム・オレ
ンジが溶けて氷がカランと音をたてた。。。。」
音楽用語で使われる「レイドバック」もやはりそんなニュアンスがある。
曲調がスローという意味ではない。
テンポが遅くても緊張感がある演奏はレイドバックとは呼べない。
全体的なリズムのテンポではなく リズムに対してゆったり大きいグルーヴ感
(ノリ)を作るのがレイドバックだ。
やや遅れ気味に演奏したりタメ(モタツキと紙一重だが)を作ることも多い。
スティーブ・ガッドは「レイドバックは自覚の問題だ」と言っていた。
みうらじゅん氏は「ロックのレイドバックは仏教でいう悟りだ」と言っている。
要は自分がレイドバックしていないとそういう演奏はできないということだ。
レイドバックというと頭に浮かぶのがエリック・クラプトンの3部作だ。
461 Ocean Boulevard(1974年)
There's One in Every Crowd(1975年)
No Reason To Cry(1976年)
実は「461 Ocean Boulevard」を初めて聴いた時は正直ついて行けなかった。
これがクラプトンか?と惑った。
クリーム時代の攻撃的なギターをどこかで期待していたのかもしれない。
僕はデラニー&ボニーも名盤の誉れ高いデレク・アンド・ザ・ドミノスの「Layla」
(1970年)も聴いていなかったのだ。
当時の中学生のお小遣い事情としては致し方ない。
「Eric Clapton」(1970年)だけ友人に聴かせてもらったがピンと来なかった。
そんなわけで僕はクリームから一気に「461 Ocean Boulevard」に飛んでしまい
その落差に唖然としたわけだ。
しかし聴いてるうちにクラプトンのレイドバックが心地いいと思えた。
よく「どの時代のクラプトンが好きか?」という質問があるが、僕は「ギタリ
ストとしてはクリーム時代、音楽としてはレイドバックしたクラプトンが一番
好き」という答えになる。
レイドバックしたクラプトンが久々に戻って来たのが、敬愛する故J.J. ケイルと
の共演盤「The Road To Escondido」(2006年)だ。
J.J. ケイルのスワンプのグルーヴに乗ってクラプトン節のソロがうねる。
故ビリー・プレストンのハモンドオルガンもシブい。
ドラムは万能選手かつ盤石のスティーブ・ガッド。
こんなノリでも安心して聴ける。
個人的にはこの30年間のクラプトンのアルバムではベストだと思っている。
↑写真をクリックすると試聴できます。
2 件のコメント:
これ、いいですね。ほどほどに、冷房の効いた部屋で、リラックスしながら、音楽を聴いています。クラプトン。キャリアも長いし、どのアルバムがベストか、とか、クリームのアルバムを買った、高校生のころとか、アンプラグド、とか、いろいろ思い出ありますが。
これ、とても心地よく聴けます。レイド・バックとは、まさに、これかな?
匿名になっていますが、お世話になっている「くもと」です。
>くもとさん
こんにちは。コメントありがとうございます。
クラプトンは中学生の頃から今に至るまでいろいろな思い出に
直結してますね。
最初に買ったのはLive Creamでした。
ヤマハの輸入盤セールです。
N.S.U.という曲を高校の文化祭でやりました。
ギターとドラムがすごく上手かったんですよ。僕はベース。
当時通ったロック喫茶の壁には「Eric Clapton Is God」という
落書きがありました。
レイドバック時代は大学生の頃。
Better Make It Through The Day、Please Be With Me、
Black Summe Rain、ディランと共演したSigh Languageとか。
大好きな曲がいっぱいあります。
Unpluggedもハマりましたね。
武道館のUnpluggedコンサートも見に行きました。
そうそう。今UnpluggedのCD+DVDのリマスター盤が出てて、
以前カットされてた曲も収録されてるみたいです。
最近モンキーズをよく聴いてるんですよ。
近いうちにブログでも取り上げる予定です。
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