2018年12月24日月曜日

ホワイト・アルバム2018リミックス2枚目A面の聴きどころ

以下2009リマスターのレビューは緑2018リミックスについては赤字で表記。
(あくまでも主観です)





バースデイは9月18日に録音された。

この日の夜BBCで映画「女はそれを我慢できない(The Girl Can't Help It)」を
放映するため、4人はいつもより早めにセッションを開始。(1)
ポールは夕方までにリフと歌詞を完成させ、ベーシックトラックを20テイク録音。

夜8時半に全員でポールの家に行き映画を鑑賞。けっこう仲良くやってたんだ(^^)
映画終了後メンバーたちはスタジオに戻り、オーバーダブを行い明け方までに完成。



2009リマスターはリンゴのドラム、ポールのベース、ジョンのリフ、オクターブ上の
ジョージのリフ、オルガン、タンバリンがセンターでまとめて鳴る。

ポールのダブルトラックのボーカル、ブリッジのYes we're going to a party party
のジョンのボーカル、Birthday♪のコーラス(パティ・ボイド、ヨーコ)、手拍子が
左右から聴こえる。

演奏はセンターで塊り
ボーカルとコーラスを左右泣き別れにしてステレオ感を出すというミックスだ。


2018リミックスは大胆に変えられた
リンゴのドラム、ポールのベース、ボーカルはセンターという王道ミックス。
ジョンのリフは左、ジョージのオクターブ上のリフは右に振り分けられ、センターで
オクターブ下の同じラインを弾くポールのベース、とそれぞれの音色がクリア。
ステレオ感いっぱいで迫力満点だ。

主メロの今までポールだけだと思っていたのだが、新ミックスを聴いてみてポール(
ADTによるダブルトラック)+下のハモりはジョンのような気がしてきた。

8小節のドラムソロの間、ポールの雄叫びのカウントがカッコいい。
0’45”でタンバリンがセンターから一瞬左に振れるのは何か意図があってのことか?

ブリッジのYes we're going to a party partyではジョン(ADTのダブルトラック)
はセンターで、ハモり(ポールとジョージ)はわずかに左右にずれ、左から入る手拍子
とともに一気に広がりを見せる。

サビのI would like you to dance, Take a cha-cha-cha-chanceはポールがセンター。
下のハモり(ジョンとジョージ?)はやや左右に。
その外側からパティとヨーコのBirthday♪が聴こえパノラマ感がいっぱいだ。
サビの終わり、ポールのDance yeahのシャウトだけ左に流れる。これも心憎い。
オルガンが左で鳴りこれもいい感じだ。

続くリフで入るエレピ(フェンダー・ローズ?)はセンターに配された。
エンディングで中途半端に鳴るタンバリン(2’38”)は今回だいぶ奥に引っ込んだ。

この曲は2018リミックスの圧勝




↑クリックするとバースデイ2018リミックスが聴けます。


アウトテイク集にはベーシックトラック(演奏のみ)のテイク2が収録された。
ベース、ギター2台、ドラムのタイトなバンド・サウンドで既に完成形に近い。

左ch.のジョンがサビのI would like you to danceで小気味いいプレイをしてる。
最終ミックスではオルガンと喧嘩するからカットされたのだろうがもったいない。




ヤー・ブルースは8月13日に録音。

セクシー・セディの再リメイク(テイク100〜107)を終えてから、4人は第2スタジオ
のコントロール・ルームに隣接する小さなストックルームに楽器、機材を持ちこんだ。
ポールによると、狭いガレージで演奏することでバンドの一体感が出たそうだ。

ジョンのガイドボーカルと演奏でベーシックトラックを14テイクを録音。
リダクション(バウンス)を行った後、2つのテイクを編集で切り貼りしている。
(3’17”ギターソロの直後から変わるのでつなぎ目が分かる)
翌14日、ジョンのボーカルを録音。


2009リマスターではリンゴのカウント、ドラムが左に入る。
ジョンのボーカル、ポールのタイトなベースはセンター。
ジョンのワイルドなリフとジョージのオブリが塊りで右から聴こえる。
The eagle picks my eyeで左からジョンのボーカルやシャウトがやや遅れて聴こえる。

間奏は右。ジョンの暴力的なリフレインからジョージの鋭角的なソロに入れ替わる。
が、左で薄めに別なソロが聴こえてくる。

3’17”ギターソロの直後、ドラムのフィルインから始まる演奏は別テイクを繋ぎ合わせ
たもので、ジョンの声が小さいのはガイドボーカルだからである。


2018ではリンゴのカウント、ドラム(フロアタムは左)、ボーカルがセンター。
The eagle picks my eyeで左から遅れて聴こえていたジョンの声はなくなった。
3回目のBlue mist round my soulで少し左に声が入る。
Girl, you know the reason whyでのポールのハモりは小さめだがよく聴こえる。

ポールのベースもセンターで音の輪郭がくっきりし、存在感を増した。
ギターはジョンもジョージも右。ジョージのオブリの音量が大きくなった。
ジョージの間奏は右からややセンター寄りに移動。もう1つの隠れ間奏は左。
間奏の間ジョンが何をやっているか、右ch.を注意深く聴くと分かるようになった。


アウトテイク集にはベーシックトラックのテイク5が収録された。
既に完成形に近い。ジョンのガイドボーカルが小さく入っている。





尚、この曲はローリング・ストーンズの映像作品「ロックンロール・サーカス」(2)
で、ジョン(g,vo)クラプトン(g)キース・リチャーズ(b)ミッチ・ミッチェル(ds)と共に
この日限りのバンド、ダーティー・マックで演奏している。
そのせいかビールズのヤー・ブルースもクラプトン参加と誤解している人がいる。




マザー・ネイチャーズ・サンは年8月9日に録音された。
この日はジョージのノット・ギルティ(102テイクも録音)を仕上げ、他のメンバー
が帰った後、ポールがスタジオに残って録音した。

ポールの歌、ギター(D-28)、足音をライブ録音。
25テイク録ってテイク24をベストとし、20日にオーバーダブが加えられる。

ポールが「深い残響音」を要望したため、エンジニアはバスドラムを廊下の真ん中に
セットし、マイクを廊下の端にセットして録音した。
ポールの間奏(D-28)とティンパニー(ポール)、ブラスセクションも加えられた。
(ポールはこの後ワイルド・ハニー・パイも録音している)


2009リマスターでは左からポールのD-28。フットカウントが小さく聴こえる。
ポールのボーカルには深いリバーブがかけられている。
バスドラムはセンター奥で音は小さめ。ブラスは右に入る。
最後のヴァースで入るアコギのリフは右に入る。


2018リミックスはD-28の音が左からややセンター寄りになり、音色がクリアー。
歌に入るとやや右からもう1台入りステレオ感が増す。
ボーカルはセンター。リバーブが抑えめでポールの声質がよく出ている。

バスドラムは右のややセンター寄りに配された。
前より太い(バスドラムらしい)音で近くに聴こえる。
Doo doo dooで入るティンパニーもだ。
同時に入るパタパタいう音はフットカウント(足踏み)か膝叩き?
ブラス・セクションは右からセンター、さらに部分的に左に広がり奥行きが出た。

シンプルな曲がより荘厳で美しくなった。
今回アコースティックギターの音が一番良くなったのはこの曲じゃないかな。
エンディングもブラスが左右に広がって余韻が残る。




↑クリックするとマザー・ネイチャーズ・サン2018リミックスが聴けます。


アンソロジー3にテイク2が収録。
今回アウトテイク集に収められたテイク15は弾き方がラフで、歌い回しも完成版と
は異なる。いきなり終わり、コントロール・ルームにアドバイスを求めている。




エブリボディーズ・ゴット・サムシング・トゥ・ハイド・エクセプト・ミー・アンド
・マイ・モンキー(舌を噛みそう)は6月26日にリハーサルを開始。

翌27日に6テイク録音し、最後のテイクをリダクション(バウンス)。
チョカルホ(円筒形のマラカス、シーズ・ア・ウーマンで使用した)やハンドベルを
オーバーダブした。

7月1日にポールのベースとジョンのボーカルをオーバーダブ。
7月23日にジョンのボーカルを録り直し、手拍子などを加えた。



2009リマスターは右から歪みを効かした鋭角的なギターのイントロ。左にも回る。
ジョンのボーカル(センター)が始まるとギター(ジョージ)は右でリフを弾く。
ジョンが刻むリズムギターも小さめで同じく右に配されている。
ドラム、ベース、騒々しいハンドベルは左。

Me and my monkeyの後、スネアの音が右にも入る。(0’36”)
左端とセンター奥でジョンとポールのシャウトが時々、聴こえる。

Come on come on…の後(2’03”)ベースソロが左に加え右にも入る。
ポールがオーバーダブした箇所だろう。
続くスライドさせながらのコード弾きは両サイドから。(ここが一番ツボ!)
Come on come on…は左〜右に縦横無尽に入りフェードアウト。


2018リミックスも2009リマスターをほぼ踏襲。
リンゴのドラムはややセンター寄りに修整されイントロでバスドラが重く響く。
ポールのベースはセンターになった。
ジョンのコードカッティングが左に配され、ちゃんと聴こえるようになった。

最後のカッコいい所(2’03”〜)、ベースはセンターと右、スライドのコード弾きが
両サイドと大きな変化はないが、音がクリアーでベースがブンブン唸っている。
左〜右に入るCome on come on…は前よりいろいろな声が聴こえるようになった。


アウトテイク集には演奏のみのリハーサルが収録された。
ジョンのリズムギター、ジョージのリード、ポールがベース、リンゴがドラム。






セクシー・セディーは7月19日から着手。
ジョン(アコギ)、ポール(オルガン)、ジョージ(エレキ)、リンゴ(ドラム)
の編成でベーシックトラックを21テイク録音。
テンポを変えたり試行錯誤しながらテイクを重ねたため完奏ヴァージョンは少ない。

7月24日、前回までのテイクを破棄してテイク25からリメイクを開始。
テープを3本使って23テイク録音し、テイク47をベストとしたがジョンはまだ不服。


1968年8月13日。また前回までのテイクを破棄。
ポールはオルガンからピアノに変更。テイク100から107まで録音。
テイク107のリダクションを行う。
この日はここまでで。この後ヤー・ブルースのセッションに移る。

1968年8月21日。アビイ・ロード第2スタジオ。
テイク107のリダクションを繰り返し、ボーカル、ベース、コーラス、タンバリンを
オーバーダブし、テイク117でやっと完成した。

アンソロジー3にテイク6が、今回のアウトテイク集にはテイク3が収録された。


まず2009リマスターを聴いてみよう。
イントロで入るポールのピアノはやや右よりだが、ADT処理のせいか揺れてセンター
〜左まで広がる。(歌が始まってからはやや右で固定)
続くタンバリン、ドラム、ジョンのボーカルはセンター。
メロディアスなポールのベースが左、エレキギター(ジョージ)は右。

Wah,wah,wah…で入るコーラス(ポールとジョージ)は右。
これもADT処理がされてるようで、Sexy Sadie〜♪でフランジャー効果が顕著。
One sunny day〜のギター・リフは右のセンター寄りで広がる(ADT処理?)。
Sexy Sadie, the greatest of them allの掛け合いコーラス右。

終盤2’15”から繰り返すジョージのリフもやや右でADT処理。
2’56”で別はギターが右から聴こえる。
ポールのピアノはよく聴こえる箇所と後退してあまり聴こえなくなる箇所と交互。
最後は右端にパンされてフェードアウト。

このように2009リマスターでは各楽器の定位、音量レベルが細かく変化している。
ADT処理したトラックが多くごちゃ混ぜにならないよう、どこで何を優先させるか、
何を後退させるか、フェーダーとパンを動かしながらミックスダウンしたのだろう



続いて2018リミックス。この曲も一新された

まずポールのピアノが左に移され、センターまでディレイ効果で広がる。
タンバリンはセンター。ドラムもセンターだがフロアタムは左に触れ立体感が出た。

ジョンのボーカルがセンターなのは同じ。
Wah,wah,wah…のコーラスが左右から聴こえてきて気持ちいい。
One sunny day〜のギター・リフは以前より奥に引っ込んだ感じ。
今まで聴こえなかったが、センターでオルガンが鳴ってるのが確認できる。

How did you knowで左からポールが高い音を連打してるのが分かる。
が、次のYou'll get yours yetではセンターから聴こえる。

さらにWe gave her everything we owned just to sit at her tableではセンター
オルガンが鳴ってるのが分かるようになった。
2’15”〜で登場する、この曲の肝とも言えるジョージのリフは左右から聴こえ、
存在感が増した。

一方でその間、右でアルペジオに近いリフを弾いてるのも確認できる。
最後に右から入る別なリフもより鮮明で、前よりも長く聴けるようになった。
これだけ重ねた音が喧嘩せず、それぞれクリアーに聴こえるのはすごい。


ということでこの曲も2018に軍配が上がる。



↑クリックするとセクシー・セディー2018リミックスが聴けます。




ヘルター・スケルターはポール作の元祖ヘビメタ、いやパンクとも言える曲。
ピート・タウンゼントの「最高に下品でやかましい曲を作った」発言に触発された
ポールが「だったら、もっとうるさいワイルドな曲をやろう」と書いた作品。(3)

イーシャー・デモでは披露していないので、おそらくこのアルバムのレコーディング
に入ってから書いたのではないかと思う。
アップル社のプロモ・ビデオにはD-28一本でこの曲を歌うポールが少し映っている
(これがまたカッコいい)が、残念ながらちゃんと録った音源はないようだ。


録音開始は1968年7月18日。
この日に録音された3テイクいずれもかなりスローで、ブルージー。
延々と(ダラダラ)演奏されている。
全てが10分を超える曲の長さで、テイク3に至っては27分11秒もあった。

だいぶ間をおいてリメイクされたのは9月9日。
ジョージ・マーティンが休暇を取り、クリス・トーマスがプロデュースを任される。
一番乗りしたポールに「そこで何してる?僕らをプロデュースしたいならやってみろ。
でもできなかったら追い出すからな」と脅されてビビったそうだ。


テンポアップされ尺も5分以内に縮められて、テイク21まで録音。
ジョンは調子っぱずれのサックスを吹き、マル・エヴァンスはトランペットを吹く。
ポールのボーカル録りの間、ジョージは火の付いた灰皿を頭に乗せスタジオ内を走り
回ってたとか。おいおい(笑)。





翌日の10日にオーバーダブが行われて終了。
最後のシンバルのクラッシュの後、リンゴがテイク18の直後に叫んだ「指にマメが
できちゃったよ(I got blisters on my fingers !)が付け加えられた。(4)


2009リマスターを聴いてみよう。
センターやや左寄りにワイルドなエレキギターのイントロ。(たぶんジョン)
ポールのボーカルはセンター。
リンゴのスネアが右から煽る。曲中はかなり激しいドラミングが聴ける・
左端は(おそらくジョージ弾いてる)フェンダー6弦ベース。

Helter Skelter…のメロをなぞるジョージのオブリは左端。
6弦ベースがオクターブ下で同じラインを弾く。

コーラスのAh…はセンター奥。Da da da…でやや右に移動。
2回目のHelter Skelter…でジョージのオブリは左からやや右に移る。


Look out, 'cause here she comesのオルガン、続くギターのリフはセンター。
Well do you, don't you want me to make youのオブリはやや右。
この辺りでドラムがもう1台、左に入る。
Ah…Da da da…のコーラスは右。

最後のShe's coming down fastのオブリもやや右。
Yes, she isの後に入るスライドギターはセンターから左へ流れる。
ジョンのギターがセンターで暴力的にコードをかき鳴らす。

サックス、トランペットやノイズが左に入り一旦フェードアウトしてイン。
リンゴが左右で大奮闘(笑)
I got blisters on my fingers !の叫び声が右に入り幕を閉じる。

Helter Skelterの日本盤翻訳が「しっちゃかめっちゃか」だったように、演奏
も乱暴だがミックスも左右に変化し、まさにしっちゃかめっちゃかだった。



2018リミックスはこのカオス(5)状態がきちんと整理整頓された感じだ。
出だしは同じ。やや左寄りからギターのノイジーなイントロ。
ポールのボーカルがセンター。右からリンゴのドラムが追い上げてくる。
スネア、フロアタムの音ははセンターにも響く。
最初のHelter Skelter…からスネアが左にも別に入る。

Da da da…のコーラス、Helter Skelter…に呼応するギター・リフは左右から
聴こえてきて音の洪水のようになる。


Look out, 'cause here she comesのオルガンはセンターだが左右に揺れる。
続くギターのリフは左右から攻めてくる。

1’56”のAnd I get to the bottom and I see you againの後ポールに呼応する
yeah, yeahのコーラスの3度のハモりが大きく聴こえ新鮮。

3’00”の激しくかき鳴らすギターはセンター、スライドは左から聴こえる。
終盤のサックス、トランペットは右に変えられた。
この後はリンゴのドラムは左右で大暴れ。
エンディングI got blisters on my fingers !は右のまま。以前より抑えめ。
今まで聴こえなかった笛のような高いビブラート音が左に入ってる。


Helter Skelter(しっちゃかめっちゃか)感は従来のミックスの方が出てる。
これに慣れ親しんだ人は新リミックスは綺麗にまとまり過ぎで馴染めないかも

個人的には楽器が右や左に動くのはあまり好きじゃない。
2018リミックスの方が今の自分が聴くにはいい。そこは好みが分かれる所だ。


↑ヘルタースケルターのテイク17、ベーシックトラックが聴けます。


アンソロジー3にはブルージーなテイク2が4’38”に編集され収録された。(モノラル)
今回は同じテイク2が収録されているが12’54”(本当はもっと長い)のステレオ。

またテンポアップされたテイク17のベーシックトラックも収録された。
だいぶ完成形に近い。ポールのカウント、歌い方がワイルドすぎてゾクゾクする。
これを聴く限りベーシックトラックはポールはボーカルのみで、ジョンのディストー
ションを効かせたギター、ジョージの6弦ベース、ドラムの編成だったようだ。
最後にポールが「今のは録っておいて(Keep that one)」と言ってる。




ロング・ロング・ロングは10月7日にベーシックトラックを67テイク録音。
ジョージがアコースティックギターを弾きながら歌い、ポールがオルガン、リンゴの
ドラムという編成。ジョンは不参加。

オルガンをレズリーの回転スピーカーで鳴らしていたが、キャビネットの上に置いて
あったワインボトルが振動でカタカタ鳴っている。
(エンディングのドラム・ロールの箇所ではっきり聴き取れる)

翌8〜9日にかけてテイク67に、ジョージのボーカルとアコ〜スティックギター、
ポールのベースとコーラス、クリス・トーマスのピアノをオーバーダブし完成。
ジョンは自分の2曲には時間を費やしたものの、ジョージのこの曲には不参加。


2009リマスターはジョージが弾くJ-200のイントロがセンター+右で鳴る。
ポールのベースは左。
レズリーの回転スピーカーを通したオルガンは左からセンターに広がる。
ボーカルはセンター+右からもややずれて聴こえる。
ドラムは左。ピアノはセンター。


2018リミックスは2回弾いたアコギの音が左右から聴こえるようになった。
ベースは左。オルガンはやや左。
ジョージのソフトなボーカルはセンターから部分的に左右に広がり美しい。
(2つのボーカルをそれぞれセンターと右、センターと左にずらして入れてある)

ピアノはセンターのままだが少し後退した。
リンゴのドラムはやや左寄り。2nd.ヴァースは右にブラシを使用した演奏が入る。
右はジョージのコードストロークを活かすため極力、他の音を排してるようだ。





比較して大きな違いはないが、2018リミックスの方がジョージの声質が美しく
ハーモニーの聴こえ方、アコギの鳴りもいい感じだ。


アウトテイク集に収められたテイク44は後半ジョージのお遊びになっている。



あれれ、また長くなっちゃたのでB面は次回に持ち越します。

<脚注>


(1)女はそれを我慢できない(The Girl Can't Help It)
1956年アメリカ映画。
ジェーン・マンスフィールドの主演のR&R全盛期のコメディ映画。
1968年9月18日英国BBC2放送で午後9時05分から放映された。
家庭用ビデオがまだない時代、テレビで放映の映画はリアルタイムで見るしかない。
エディ・コクラン、リトル・リチャード、ジーン・ヴィンセント、ファッツ・ドミノ、
ザ・プラターズが出演しているので、ビートルズはどうしても見たかったのだろう。
スタンダード・サイズの白黒から画面の両端が広がり、ワイド・スクリーンのカラー
になる演出に感銘を受けた、とポールは言っている。


(2)ロックンロール・サーカス
「ロックンロールとサーカスの融合」をコンセプトにローリング・ストーンズが
1968年に製作した映像作品。
監督はマイケル・リンゼイ=ホッグ(後にレット・イット・ビーの監督となる)。

ザ・フー、タジ・マハール、マリアンヌ・フェイスフル、ジェスロ・タル、ジョン
とクラプトン、キース、ミッチ・ミッチェルによるダーティー・マックが出演。

1月1日にテレビで放送されるはずだったがお蔵入り。その後30年公開されなかった。
封印された理由は、ジャガーがストーンズの演奏(ブライアンが精彩に欠けていた)
に満足していない、ザ・フーやダーティー・マックのパフォーマンスにストーンズが
霞んでしまったため、と言われている。

マネージャーを務めていたアラン・クレインがデッカ時代のストーンズの作品の版権
を握っていて、本作の音源および映像もクレインの所有物だったせいもある。
アラン・クレインはストーンズと決別。ビートルズのマネージャーに就任。
この件を巡ってビートルズのメンバー同士の関係がますます悪化した。

ロックンロール・サーカスの収録は12月10日〜11日。
ホワイト・アルバム発売(11月22日)の後。
ダーティー・マックというバンド名は明らかにポールへの嫌悪感を示したもの。
アルバムのセッション5ヶ月の間にら二人の関係が悪化したということだろう。
この3週後、1月1日にゲット・バック・セッションが始まり分裂に拍車をかける。



↑ロックンロール・サーカス出演時のヤー・ブルースが視聴できます。


(3)ピート・タウンゼントの「最高に下品でやかましい曲を作った」発言
メロディ・メーカー誌に載っていたザ・フーのギタリスト、ピート・タウンゼントの
インタビュー記事で彼が「新曲のI Can see for Miles(恋のマジック・アイ)は最も
ハードで汚くて妥協のない曲」と述べてるのをポールが読んだのがきっかけ。
だったもっと汚くてハードな曲を書いてみよう、と考えたのだそうだ。
ちなみにポールはザ・フーのその曲を聴いてないし、いまだに知らないとのこと。


(4)「指にマメができちゃったよ(I got blisters on my fingers !)
モノラル・ミックスでは1回目のフェードアウトで終わるため、シンバル・クラッシュ
もリンゴの叫び声も収録されいない。演奏時間もステレオ・ミックスよりも短い。


(5)カオス
caos=混沌。カオスと言っても欧米人に通じません。ケイオスと発音しましょう。


<参考資料:THE BEATLES Anthology、THE BEATLES RECORDING SESSIONS、
THE BEATLES 楽曲データベース、Paul McCartney Many Years From Now、Wikipedia、他>

0 件のコメント: