病に伏せていたわけでもなく(体調の悪い期間もあったが)、燃え尽きたわけ
でもなく(笑)、他のことに専念していたからです。
その一つは、長年懸案だった昔の宅録やリハの音源の取り込み。
高校〜大学の頃の音源はカセットから20年前にMDに録音してあった。
カセットデッキは壊れて処分したし、残ってるテープもヘロヘロのはず。
できればMDからデジタルで取り込みたいところ。
が、PCにUSB接続できるMDウォークマンはとっくの昔に生産終了。
(あったとしてもMac非対応だけどね)
意を決してソニーのMDデッキとローランドのオーディオインターフェース
をMacに繋いだら。。。
おおっ、どちらもまだ生きているではないか!
MDデッキのオプチカル出力 → オーディオインターフェース → MacにUSB
接続 → GarageBand(Macの音楽制作アプリ)で取り込み編集。
2週間かけて膨大な音源をMP3にすることができた。めでたし、めでたし。
もう一つは、ギターの練習。
ビートルズの公式録音213曲ほぼ全曲制覇(Revolution No.9を除く)!
コードと主要なリフをコピーし、アルバムごとにメドレーで弾いていた。
改めてビートルズってすごい!と思う。
そしてドノヴァンをもう一度やり直すこと。
4年前にコピーしたのだが、久しぶりで弾こうとしたら覚えていない。
やれやれ、あんなに練習したのに(>_<)
もう一度、耳コピし直した。
不思議なことに、以前聴き取れなかった部分も今度はちゃんと解明できる。
20曲以上できた。
今度はすべてTAB譜にした。
TuxGuitarというソフトで1音ずつ入力するという根気の要る作業だけど、
なかなかきれいに仕上がる。
完成したTAB譜はPDFファイルで保存。
どう弾くんだっけ?という時でも簡単に確認できて便利である。
↑クリックすると使い方を説明したサイトに飛びます。
で、その「きれいにできたTAB譜」のサンプルをお見せしたいと思う。
曲はドノヴァンの「Jennifer Juniper」。
曲の内容、歌詞は以前ご紹介したのでこちらから。
ドノヴァンの曲の中でも特に親しみやすく、ポップなラヴ・ソングである。
スタジオ・ヴァージョンではオーボエやクラリネット、ストリングスの過剰
アレンジに隠れてギターは聴こえない。
が、ライヴではドノヴァンのスリーフィンガーが堪能できる。
↑クリックすると「Jennifer Juniper」が聴けます。
ドノヴァンの奏法でよく登場するのが、スリーフィンガーやアルペジオに
歌メロを乗せる、という技。
つまり歌歌と同じメロディーをなぞりながら、複雑なフィンガーピッキング
をしているのである。
この曲でもヴァースはずっと歌メロ+伴奏。
ブリッジ(サビ)の後半ではギターを歌メロと3度でハモらせている。
聴いてる分には簡単そうだが、実際に音を拾うとなるとこれが難しい。
ありがちなスリーフィンガーとは一線を画す、ドノヴァンならではのクセの
ある複雑なピッキングだからだ。
完コピできても、今度はそのとおり弾くのが至難の技(汗)
ジェイムス・テイラーなんかだと耳コピしやすく、何回か弾けば指が覚えて
くれるのだが、ドノヴァンではそうは行かない。
だからこそTAB譜にしておく必要があった。
「Jennifer Juniper」はドノヴァンの曲の中でも難易度が高い。
ではTAB譜を載せますので、挑戦してみてください♪
一つのコードでアサインされる音が少ないのもドノヴァンの特徴の一つだ。
たとえばローコードのGを弾く場合、ふつうは6〜1弦までまんべんなく使っ
て音を組み立てる。(ですよね?)
しかしドノヴァンはベースの6弦と4、3、2弦のみ。他はミュートする。
同じ弦、またはオクターブの弦を繰り返し弾くことで共鳴音が得られる。
6弦すべて弾く音の広がりよりも、ドノヴァンはコードの塊としての強い
響きを好んだのではないかと思う。
ジャズ・コードのヴォイシングにも通ずるものがあるかもしれない。
ドノヴァンはテンション・コードも多様している。
一つのコードで使用する弦が限られるということは、短い時間に同じ弦を
何度も弾くことになる。
この曲のようにテンポが早い場合、かなり複雑で忙しいフィンガーピッキ
ングが強いられるということだ。
右手の指がつりそうになる。
この曲を弾いて腱鞘炎になったとしても僕を責めないでください(笑)
ちなみに1965〜1970までドノヴァンが愛用していたギブソンJ-45(1)は、
シルク弦を1音低くチューニングし、カポを使用することが多かった。
その理由についてドノヴァンは「変則チューニングのような東洋的な響き
が欲しかったから」と説明している。(2)
弦を緩めることで振幅が大きくなりドローン効果が得られる。
その状態でカポをすると音は締まり、低音弦はより豊かになるのだ。
この曲もキーはDだが、1音下げたJ-45で4フレットにカポをして弾いて
いる。
もちろんスタンダード・チューングで2カポでもかまわない。
<脚注>
(1)ギブソンJ-45とドノヴァン
マーティンのD(ドレッドノート)シリーズに対抗すべくギブソンが1934年から
製造を開始したJ(ジャンボ)シリーズの一つで、J-45は1942年に発売された。
「45」は発売時の価格が45ドルであったことにちなむ命名とされる。
1969年までのモデルはラウンドショルダーと呼ばれ、ボディの上部が丸みを帯び
たなで肩のような形を持つことで親しまれている。
マホガニーのボディー、スプルース・トップ、ローズウッド指板。
仕様はしょっちゅう変更された。
戦争による木材不足では合板が使用されたこともある。
色はブラックサンバースト。
1947年に発売されたJ-50はJ-45のナチュラル・カラー版である。
「50」は発売時の価格が50ドルであったことに由来している。
J-50はトップ材の木目が目立つため優先的に良い木材が使われていたらしい。
1955年からはピックガードが大きくなる。
調整が可能なアジャスタブル・ブリッジが採用された。
セラミック製のサドルをフロートさせネジで高さを調整できるという構造。
サドルで拾った弦の振動を効率良くボディーに伝える、というアコースティック
・ギターの鉄則から見ればこれは邪道とも思える。
しかし結果的にアジャスタブル・ブリッジは鈍くストイックなギブソン独特の
音を生み、それは多くのアーティストたちに愛されることになった。
ドノヴァンのJ-45はチェリーサンバースト。
1965年にアメリカに行った時に購入したそうだ。
このギターを手に入れた時は「天に昇るような気持ちだった」と言っている。
愛器J-45は1970年初頭、コンサート会場で盗難に遭ってしまう。
2015年7月に65本のみ限定でシグネイチャーモデルとして復刻された。
(2)1音低くチューニングしたJ-45
1音低くチューニングしていたのは緩んだサウンドの響きを好んだため、と
ドノヴァンは言っているが、J-45の造りのせいもあるかもしれない。
クルーソンのチューナーは精度が低く回しにくかった。
スタンダード・チューニングに合わせるのは苦労したのではないかと思う。
(後年ドノヴァンはグローバーのロートマチック・チューナーに換えたが)
そのため緩めに張っていたのではないだろうか?
また1960年代後半のギブソンはネックが極端に細い。
特に1〜2フレットはコードを押さえると指が近すぎて運指がしにくい。
だから弦を緩く張ってカポをし3フレットより上で弾いていたのでは?
J-45盗難後ドノヴァンはトニー・ゼマティス制作のユニークなギターを愛
用するが、ライトゲージを使用しスタンダード・チューニングで弾くよう
になった。
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