2019年5月13日アメリカを代表する歌手・女優のドリス・デイが永眠した。
享年97歳。カリフォルニア州の自宅で家族に見守られ息を引き取ったそうだ。
心より御冥福をお祈りいたします。
ドリス・デイは1942年、20歳の時「センチメンタル・ジャーニー」を歌い大ヒット。
4年後ワーナー・ブラザースと契約し映画デビュー。女優としても売れっ子になる。
1950年に主題歌もヒットした「二人でお茶を」など、数々の映画に出演。
1956年のアルフレッド・ヒッチコック監督作品「知りすぎていた男」の劇中で歌った
「ケ・セラ・セラ」が大ヒットし、アカデミー歌曲賞を受賞した。
映画をご覧になった方はご存知だろうが、彼女が劇中で歌う「ケ・セラ・セラ」が
このミステリー作品を解決に導くキーであり、最も重要なシーンでもある。
レコード盤の「ケ・セラ・セラ」はカントリー・ワルツに仕上げられているが、劇中
ではドリス・デイがピアノを弾きながら歌うジャジーなバラードだった。
ケ〜イ、セラ〜セラ〜♪という節回しがとても印象的だった。
↑ドリス・デイの「ケ・セラ・セラ」が聴けます。
実は僕が中学生の頃、最初に聴いた「ケ・セラ・セラ」は1969年のメリー・ホプキン
のカヴァーの方で、ドリス・デイの原曲を知ったのはずっと後である。
ポールはこの曲を原曲のカントリー・ワルツから8ビートの軽快なフォークロック・
ナンバーへと大胆にリメイクしている。
原曲にはないブリッジ(サビ)、イントロ、エンディングを新たに加筆している。
以前、この話は詳しく書いたので興味のある方は参照してください↓
https://b-side-medley.blogspot.com/2016/12/blog-post.html
本家のドリス・デイ版「ケ・セラ・セラ」を聴いたのはそれから10年後。
映画「知りすぎていた男」で彼女の歌唱を聴いてすいぶん違うのに驚いたものだ。
ドリス・デイは1968年映画界を引退。
活躍の場をテレビに移し「ドリス・デイ・ショー」(1968-1973年)で人気を博した。
↑ドリス・デイ・ショーのオープニング・クレジット。
1981年以降は動物愛護を提唱し力を注ぐ。
特に犬好きだった彼女は「ビバリーヒルズのドッグキャッチャー」との愛称が付けら
れるほどだった。
カリフォルニア州カーメルに1978年ドリス・デイ・ペット・ファウンデーション
(後のドリス・デイ・アニマル・ファウンデーション)を設立している。
まま、BBC、B.B.King, and Dorris Dayと歌っている。
おそらくジョンもポールもドリス・ディのファンだったのだろう。
そんな縁からか、ポールは個人的にも彼女と親交があったそうだ。
長年の友人で動物愛護活動の仲間でもあったポールは「彼女はあらゆる意味で真の
スターだった」と追悼のコメントを発表した。
すてきな文章なので転載したい。
ドリス・デイが亡くなったと聞き、とても悲しい。
彼女は様々な意味で本物のスターだった。
僕は光栄にも何度か彼女と一緒に時を過ごす機会に恵まれた。
彼女のカリフォルニアの自宅を訪れると、そこはまるで動物保護区のようだった。
多くの犬が手厚く世話をされていた。
彼女は黄金の心を持つとても愉快な女性で、僕らは多くの笑いを共にした。
彼女は思いやりがあると同時に黄金の心を持つとても愉快な女性だった。
僕はよく彼女と笑いあったものだ。
彼女の映画はどれも素晴らしく、彼女の演技と歌はいつだって本質を突いていた。
彼女がいなくなってしまったなんて寂しい。
でも、彼女のキラキラ輝く笑顔と周りもつられてしまう微笑み、そして彼女が僕ら
に与えてくれた多くの素晴らしい曲と映画のことはずっと忘れない。
ドリスに神のご加護を。
またポールはローリングストーン誌のインタビューでドリス・デイから「年齢なんて
幻想よ」言われたことを明らかにしている。
齢はただの数字だ、と彼女は言っていた。
年を重ねるごとに数字は大きくなっていく。
年齢が邪魔にならないのであれば、僕は年がいくつだろうが気にしない。
年齢は無視できる。僕はそうしている。ポールはそう話した。
それでも、すべては過ぎ去ってゆく。All Things Must Pass。
最近、古い音楽を聴きながら、あるいは古い映画を見ながら思う。
演奏者のほとんどはもうこの世にいないんだな、役者さんたちももういない。
そう思うとふっと寂しくなる。
しかし彼らが残してくれた素敵な音楽、映画を僕らは今も楽しめることができる。
そのことに感謝しよう。
ドリス・デイは天国で犬たちに囲まれ「ケ・セラ・セラ」を歌っているはずだ。
<参考資料:Rollingstone、Wikipedia、他>
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