<テイラー・スウィフト東京公演 2024>
テイラー・スウィフトが5年ぶりに来日。
東京ドームで4日連続の公演を行い、22万人の観客を熱狂させた。
6回目のツアーとなる今回のThe Eras Tourは、2006年のデビューから
18年間にリリースしたアルバム(1)の時代(Era)を一つずつ辿るという
コンセプトで、作品ごとに異なる世界観が描かれていく。
テイラー本人は「私の音楽の時代(Era)全てを巡る旅」と表現した。
2023年から2024年にかけ22カ国で全151公演(2)と発表されている。
アジアではシンガポールで6公演、日本(東京)で4公演だけだ。
日本公演は2024年最初のコンサートであり、グラミー賞最優秀アルバム
(史上最多となる4回目)を獲得(3)して初めての公演ということもあって
、期待が高まる。
その期待に応える、想像をはるかに超えるパフーマンスだったようだ。
ステージは圧倒的なスケールで、曲ごとに観客を魅了する演出が用意
されていた。
巨大な映像スクリーンは解像度が高く、そこに映し出されるテイラー
の姿は歌っている本人とうまく融合し、まったく違和感がない。
たぶん音響的にも優れ、迫力があったのではないかと思う。
テイラーは約3時間20分(!)で全45曲を熱唱。
まさに音楽界の女王の貫禄を見せつけた。
↓2024年2月17日のオーストラリア、メルボルン公演が観れます。
https://youtu.be/KXoGBciS77A?si=hwjlNKG6Y6r03Gi3
<テイラー・スウィフト東京公演チケット代は高額だったのか?>
高額なチケット代(VIP席122,800〜52,800円、SS席30,000円、S席
22,000円、A席18,800円)にもかかわらず入手困難だったことも話題
となった。
一部のチケットは定価の2〜3倍で取引(違法です)されたらしい。
↑テイラー・スウィフト「THE ERAS TOUR」来日公演特設サイトより
東京だけの公演だが、遠方から参戦するファン(Swiftiesと呼ばれる)
も多く、観客の3割は海外からの訪日客だったという。
↓海外でも東京公演のSwiftiesが報じられている。
物価停滞(4)と円安の恩恵で、欧米のみなずアジア諸国のファンにとって、
日本公演はチケット代も渡航費も宿泊費も何もかもがお得なのだ。
その旅費、宿泊費、飲食費、グッズの売り上げなども含め、東京公演
の経済波及効果は約341億円という試算も出ている。
(アメリカでは昨年の全米ツアーの経済効果1.5兆円。GDPを押し上
げていることから、スウィフトノミクスという言葉も生まれている)
仮にチケット代を平均25,000円として試算すると・・・
チケット代25,000円×収容人数55,000人×4日間=興業収入55億円。(5)
アーティストへの支払いは6〜9割が相場だと言われる。
仮に興行収入の75%がテイラー側に支払われる(6)なら、その額は
55億円×75%=41億円(1公演で10億円)と試算できる。
The Eras Tourの収入は最終的に10億ドル(約1500億円)に達する
と予想されている。
151公演が行われるので、1回の公演の平均収入は10億円。
日本公演での収入は4回で41億円。お高いわけではないようだ。
巨大なステージ設営、大掛かりな舞台装置、照明、装飾、特殊効果、
映像、PA、衣装、楽器、バンド、ダンサー、エンジニア、サポート
スタッフのパッケージ(7)込みの収入なっている可能性が高い。
収入からこれらパッケージ費を差しいた額がアーティストの収益だが、
国内ではマイナスかイーブンというケースもたまにあるみたいだ。
テイラーは「自分の取り分はしっかり考えてある」と言っている。
コンサートに行けないファンは$19.89(2,950円)で擬似体験できる。
この映画は撮影スタジオ・配給会社を介さず、自身で製作から配給まで
仕切っているそうだ。
↓映画「TAYLOR SWIFT | THE ERAS TOUR」のトレーラー
https://youtu.be/KudedLV0tP0?si=5d_BipW4PP2Uxzv0
告知・宣伝には金をかけていない。
巨額の費用をかけてTVCMを打たなくても、ファンベースのマーケティ
ングで集客できることを彼女は心得ている。
2億枚以上のレコードを売り上げ、Spotifyで最もアクセスが多く、若者
に最も大きな影響力のあるテイラー・スウィフトは、やり手のビジネス
ウーマンでもあるのだ。
<The Eras Tour 海外のチケット代相場との比較>
チケット代の各国の経済・消費レベルを考慮した上で、テイラー本人
が決めているという。(8)
全米のチケット平均価格は$253(37,400円)。(9)
2023年の全米ツアー開始時のチケットは当初$49〜$499(7,300〜
73,000円)だったが、その多くは転売され数千ドル(40〜80万円)
まで高騰した。
CNNによると、アトランタで最高$35,000(518万円)、アリゾナ州
グレンデールでは$17,000ドル(252万円)の値がついたという。
それよりもずっと安い価格でテイラーに会えるのだから、日本のファン
は幸せなのかもしれない。
東京公演の後、2月下旬はオーストラリアで7公演が行われている。
ちょうどメルボルン公演を終えて、シドニー公演が始まった頃だろう。
チケットの争奪戦は壮絶だったらしい。
最も高価なチケットはAU$1,250(122,000円)(10)と日本とほぼ同じ。
国内外からの来場客の長距離旅行が、メルボルンとシドニーの宿泊需要
を押し上げ、観光業全体に恩恵をもたらしている、とオーストラリアの
ホテル業界団体はコメントしている。
3月に予定されているシンガポール国立競技場での6日間の公演チケ
ット30万枚は数時間で完売したという。
2200万人以上が先行予約に登録し、当選倍率は73倍を超えた。
物価が高いシンガポールだがチケット代は、S$108〜348(11,900〜
38,280円)、VIPパッケージの最高額はS$1,228(135,000)円(11)
で東京とさほど変わらない。
3月に予定されているシンガポール国立競技場での6日間の公演チケ
ット30万枚は数時間で完売したという。
2200万人以上が先行予約に登録し、当選倍率は73倍を超えた。
物価が高いシンガポールだがチケット代は、S$108〜348(11,900〜
38,280円)、VIPパッケージの最高額はS$1,228(135,000)円(11)
で東京とさほど変わらない。
香港、上海などアジアの都市から参戦するSwiftiesも多いだろう。
アクセスしやすいのはシンガポール、東京、オーストラリア。
中でも東京はお安く泊まれてグルメも観光も効率よく楽しめる。
10年くらい前の話だが、「コールドプレイのチケットが東京で取れな
いので札幌に観に行く」と友人から聞いて「その手があったか」と
感心したものだが、今やそれどころではない。
推しの全公演制覇のために全国行脚、海外遠征も珍しくない。
Swiftiesの中にも、全世界をテイラー・スウィフトと一緒に移動する
スウィフト・ノマド(遊牧民)とも言うべき人たちがいるそうだ。
もしかしたら大物アーティストの積極的な招聘こそ観光立国への一手
になるかもしれない、という気がして来た。
<今後の課題:チケット代格差、その対価は適正だったか?>
コンサート自体の満足度は高い一方で、高額なチケット代に見合う席
ではないなどの不満、観客のマナーの悪さを訴える声がX(旧Twitter)
で相次いでいる。
・最もステージに近いはずのVIP席でテイラーを近くで見れなかった
・勝手に席を移動する客が多かった
・VIP席の前に人が大勢集まってステージがよく見えなかった
・花道周辺に数百人の人だかりができテイラーが動くと一緒に移動する
・大勢の客が立ちスマホを頭上に掲げて動画を撮るので見えなかった
・スタッフが「マナー悪いですよ!自分の座席で見てください!」など
と大声で呼びかけていた、コンサートが始まる前に注意して欲しい
一つの要因はスマホ依存文化にあるのかもしれない。
スマホで撮った画像や動画をSNSにアップして「テイラー・スウィフト
を観たよ♡」を仲間、フォロワーと共有したいのだろう。
うまく撮るために立ち上がって頭上にスマホを掲げることになる。
撮影スポット確保のため、ステージや花道の前に陣取る輩も出てくる。
誰かがやれば、他の人も追随して人だかりができてしまう。
撮影スポット確保のため、ステージや花道の前に陣取る輩も出てくる。
誰かがやれば、他の人も追随して人だかりができてしまう。
以前は禁止されていたコンサートのスマホ撮影は黙認なのか、アーティ
スト側が公認しているのか?
開演中「マナーが悪い、自分の席で見て」と怒鳴るスタッフも不快だ。
無理に制止すれば、乱闘になりかねない。
ステージ・花道・通路にはスタッフを配され、バリケードも設けてある。
突破して群がる観客を制止できなかったのだろうか?
こういう時は初動が大事だ。開始前にアナウンスをするべきだった。
来日公演はエイベックス・エンタテインメントとアメリカのライヴ事業
を手がけるAEG Presents社が3年前に共同設立したAEGXが主催した。
ウドーやキョードーならこういう失態をおかすことはなかったと思う。
<脚注>