2024年4月29日月曜日

ベーシストについて語ろう(3)最も偉大なベーシスト51〜100位。

Consequence「最も偉大なベーシスト100人」3回目。
今回は51〜100位と、知ってる人について知ってること。


51位 Robert Trujillo
52位 Bob Moore
53位 Trevor Dunn
54位 Charlie Haden
55位 Meshell Ndegeocello
56位 Tony Levin
57位 Rex Brown
58位 Robbie Shakespeare
59位 Chuck Rainey
60位 Matt Freeman




54位のチャーリー・ヘイデンはジャズのベース奏者。
キース・ジャレット・トリオのライヴ盤「Somewhere Before」(1969年)
でこの人の演奏を初めて聴いた。




1曲目の「My Back Pages」はディランのカヴァー。
ディランは苦手だけどキース・ジャレットのこの演奏は心打たれたという人
、キース・ジャレットは苦手だけどこの曲は好きという人も多いはず。
チャーリー・ヘイデンの重いベース・ラインから美しいピアノの音が入る
瞬間は感動的である。


https://youtu.be/sOgwNUY_QCs?si=XYxfGVxpxwt9nThM





余談だが昔、渋谷の公園通りを登り切った路地にMy Back Pagesという
カフェがあって、そこで過ごす時間が好きだった。
大きな窓から見下ろせる北谷公園もまだコンクリート敷じゃなく土。
店名の由来を訊くと、やはり「Somewhere Before」とのことだった。



もう一枚、愛聴盤になってるのはパット・メセニーとの共作名義アルバム
Beyond the Missouri Sky」(1998年)である。
ギターとダブルベースの静かなデュオだが、濃密な演奏で綴られた感動作。
このアルバムはグラミー賞最優秀ジャズ・インスト部門賞を受賞している。




また余談だが昔、愛犬が雷に怯えるとこのCDをかけた思い出がある。
チャーリー・ヘイデンの重厚なベース音で雷鳴を紛らわせるためだった。



https://youtu.be/gcNeA1yZhAs?si=rdVqLqQ5jCIAYzc7







56位のトニー・レヴィンはフュージョンからロック、プログレ、メタル
と活動範囲の広いベーシスト。
ピーター・ガブリエル、キングクリムゾン、ジョン・レノンの「Double
Fantasy」でレヴィンの演奏を聴くことができる。
ミュージックマン・スティングレイ・ベース、スタインバーガー・NS
アップライト・ベース、多様なエフェクターを使用する。




59位のチャック・レイニーはセッション・ベーシスト。
ベーシストが選ぶベーシストとも言われる。
アレサ・フランクリン、ダニー・ハサウェイ、ロバータ・フラック、
ジョー・コッカーなどソウル・R&B系、デイヴ・グルーシン、クインシー
・ジョーンズ、クルセイダーズなどクロスオーバー系(まだフュージョン
と呼ばれなかった頃)、スティーリー・ダンのレコーディングに参加。



↑左はアレサ・フランクリン、テキ屋みたいな人はコーネル・デュプリー。


1957年製プレシジョンベース、アンペグのベースアンプB-15を使用。
人差し指の1フィンガー奏法でフロント側で弦を弾く。
温かいトーンでスウィング感のある弾むような軽快なサウンドが持ち味。






61位 Sting
62位 Tal Wilkenfeld
63位 Paul Chambers
64位 Noel Redding
65位 Gail Ann Dorsey
66位 Paul Jackson
67位 Pino Palladino
68位 Esperanza Spalding
69位 Rick Danko
70位 Eric Avery



61位スティングは英国のベーシスト、ギタリスト、ボーカル、作曲家。
ポリスの中核メンバーであり、解散後はソロ活動を行なっている。
ベース演奏とボーカルを同時にこなす。




スティングのベースラインはオフビートが特徴的である。
休符(弾かない音符)の入れ方が巧みで、音数を抑え「間」を活かしている。
休符は時にはゴーストノートとして微かに聴こえる場合もある。
このような奏法はレゲエのベースに影響を受けていると思われる。
(ポリスの音楽はホワイト・レゲエと呼ばれていた)
ポリス以前はジャズを演奏していたため、ダブルベースも演奏できる。




62位のタル・ウィルケンフェルドジェフ・ベックに天才と言わしめた
女性ベーシスト。




ジャコ・パストリアスやアンソニー・ジャクソンに影響を受けたという。
フュージョン、ジャズ、ファンク系のベーシストのようだ。
容姿からは想像出来ないベースギターの腕前で、チック・コリア、ハービ
ー・ハンコックにも起用されている。
身長166cmとベーシストとしては小柄。よく指が届くなと感心する。

フェンダー・ジャズベースを模倣したサドウスキーのシグネイチャー・
モデル、フェンダー・プレシジョンベースなどを愛用。
ベースアンプはEBSを使用している。






63位のポール・チェンバースはモダン・ジャズ本流のベーシスト。
1950年〜1960年代に活躍した。
ジョージ・ウォーリントン、マイルス・デイヴィス、ウィントン・ケリー
のバンドに在籍。




ソニー・ロリンズ、バド・パウエル、キャノンボール・アダレイ、レッド
・ガーランド、ドナルド・バード、フレディ・ハバードなど多くのレコー
ディングに参加。ロン・カーターと並びサイドマンとして名高い。
4ビートのウォーキングベースピチカート奏法を得意としていた。




69位のリック・ダンコはザ・バンドのベース、ボーカル担当。
力強いベースと渋みのあるボーカルで存在感を示した。

アンペグのホリゾンタル・ベース、ギブソンのリッパーベースを使用。
リヴォン・ヘルムのリズムの裏に絡みつくように、ピック弾きでサステイン
を抑えたポンボン、ボコポコという音を出していた。
この人も「間」の取り方、休符の入れ方が上手い。




ローリングストン誌の「史上最高のベーシスト50選」では20位。
しかし、そんな「偉大なベーシスト」だったのか?というと疑問である。
あの時代のザ・バンドは何か特別な音を出していたことは事実だ。
ザ・バンドの実力は理解できても好みではなかった僕でさえそう思う。
そのザ・バンドという集団の演奏力が、リック・ダンコのベーシストとし
ての評価を押し上げているのかもしれない。




71位 David Hood
72位 John Deacon
73位 Joe Lally
74位 Michael Anthony
75位 Paz Lenchantin
76位 Doug Wimbish
77位 Brian Ritchie
78位 Roger Glover
79位 Laura Lee Ochoa
80位 Justin Chancellor




72位のジョン・ディーコンはクイーンのベーシスト。
派手なプレイで主張するわけではないが、シンプルながら印象に残るベース
ラインを作るセンスに長けていた。
曲のボトムを支える役割、ロックベーシストの責任を果たしていた。
ベースの腕前もさることながら、ディーコンが温厚かつ謙虚な人柄だった
ことはメンバー同士の関係を保つために重要な意味を持っていた。




1980年代はジョン・ディーコンの作曲力がクイーンを新境地へと導く。
全米1位の「Another One Bites the Dust」はシック「Good Times」
からインスピレーションを得たディスコソングだった。

クイーン初期はリッケンバッカー4001、ムスタングベース、以降1955年製
フェンダー・プレシジョン・ベースがメイン器となる。
プレシジョン・フレットレスベース、ミュージックマンのスティングレイ・
ベースも使用している。



↑白黒コンビのロンドンブーツはリッケンバッカー4001の色に合わせた?


ピック弾きも指弾きもする。アンプはAcoustic、Sunn、Peavy。
スタジオではアンプを介さず、DIでコンソールに音を入れていた。

電子工学科の学位を取得しているだけに機械いじりが得意だった。
ブライアン・メイがレコーディングで多用したアンプはディーコンがスクラ
ップをリサイクルして製作したもの。




78位のロジャー・グローヴァーは第2期ディープパープルのベーシスト。
ギター、キーボードとベースが一体化し同じラインを奏でる、パープル黄金
期のヘヴィーなサウンドの屋台骨として活躍した。




パープルではリッケンバッカー4001、フェンダー・プレジションベース、
ムスタング・ベースを使用してた。アンプはマーシャル、TC Electronic。
ピック弾きのゴリゴリした音が特徴的。
難しいフレーズを弾かないので、耳コピしやすかった、



81位 Phil Lesh
82位 David Ellefson
83位 Scott LaFaro
84位 Martin Mendez
85位 Phil Lynott
86位 Yves Tumor
87位 Suzi Quatro
88位 Steve DiGiorgo
89位 Mike Dirnt
90位 Doug Pinnick




87位はスージー・クアトロ。え?この人、ベース弾いてたの?
その程度の認識。曲も「Devil Gate Drive」しか知らない。
甲高いダミ声、女ろけんろーらー的ファッションが嫌いだった。




91位 Krist Novoselic
92位 Alex Webster
93位 Nik West
94位 Nick Harmer
95位 Melissa Auf Der Mar
96位 George Porter Jr.
97位 Tom Petersson
98位 Leland Sklar
99位 Jenny Lee Lindberg
100位 Troy Sanders




98位はやっと登場!ルーランド・スクラー(リーランド・スカラー)。

ローリングストーン誌の「史上最高のベーシスト50選」では47位
98位は過小評価すぎ! 僕だったら2位に選んでる。

ルーランド・スクラーは1971年から1980年代末まで20年近く、ジェイムス
・テイラーのバックを務めた名ベーシスト
本人も「私のキャリアはジェイムス テイラーのおかげ」と言っている。




売れっ子ベーシストとなったスクラーは、ジャクソン・ブラウン、リンダ・
ロンシュタットのレコーディングやツアーでも常連となる。
1970年代ウエストコースト・ロックのサウンド作りに貢献した。

1970年代初期はセッション・ワークのあり方が大きく変わった時期である。
1960年代のLAはレッキング・クルーが活躍した時期。
事前に入念にアレンジされた楽曲をとことん演奏するのが常だった。

しかし1970年代初期、スクラーが仕事をし出した頃は、シンガー&ソング
ライターが弾き語りの原型を持ってスタジオに入り、アレンジ作業はミュー
ジシャンが担うことが多くなる。
演奏力だけではなく、曲を形にするセンスも要求されるようになった。




ジェイムス・テイラーのバックを共に務めていたラス・カンケル、ダニー・
コーチマー、クレイグ・ダーギもまたその創造力に長けていた。
スクラーは彼らと共にザ・セクションを結成。(1974年)
その演奏力と時代を先取りした音楽性(クロスオーバーの先駆け)が評判
となる。(玄人受けするミュージシャン集団だった)

ザ・セクションのメンバーは4人ともレコーディングやツアーに起用される
ことが多く、特にドラムスのラス・カンケルとルーランド・スクラーは強力
なリズム隊として2人セットでオファーされた。

リタ・クーリッジ、キャロル・キング、カーリー・サイモン、 カーラ・ボノ
フ、ロジャー・マッギン、 アート・ガーファンクル、ホール&オーツ、CS&N、
キャロル・ベイヤー・セイガー、ドリー・パートン、フィル・コリンズ、
ロッド・スチュワートなど数多くのアーティストに起用されている。

松任谷由実、竹内まりや、五輪真弓、吉田拓郎、浜田省吾のレコーディング
にも参加している。
「中央フリーウェイ」のブーンと唸るベースはルーランド・スクラーだ。
細野晴臣もスクラーのベースを参考にしたという。




スクラーは短時間のセッションで最適解の演奏をすることで知られる。
彼のベースはエゴを出さず、曲のアンサンブルを支えることに徹している。
それでいてスクラーらしさ(サウンド、ダイナミックス、イントネーション、
多彩なフレーズ、フィルの入れ方)も味わえる。
彼の参加曲を聴くと「これはスクラーがベースを弾いてるな」とすぐ分る。

スクラーはマッカートニーのメロディックなベースの影響が大きいという。
ティム・ボガード、ジェマーソン、ジャック・ブルース、ディー・マレー(
エルトン・ジョンのベース)からも影響を受けたそうだ。

1970〜1974年の間、1962年製フェンダー・ジャズ・ベースを使用していた。
(ジェイムス テイラーの「Mud Slide Slim」「One Man Dog」の頃)

1973〜1985年はシャーベル(フェンダーのパーツでカスタマイズするメー
カー)のボディー、プレシジョン・ベースのネックを1962年製ジャズベース
のようにリシェイプしたもの、EMGのプレシジョン用ピックアップを組み
合わせた通称「フランケンシュタイン」と呼ばれるベースを使用。
(ボディー塗装が剥がされ落書きしてあり、一見プレシジョンに見える)




その他、ディグウォール、ワーウィック・スターベースII、アレンビック、
ヤマハ、ヘフナーを所有。
ギブソンとヴァレイアーツ・ギターにシグネチャー・モデルがある。
弦はGHSスーパースティール・ミディアムライト。

アンプはユーフォニック・オーディオ。
スタジオ用と大会場用で2種類のアンプを使い分けている。
チューブ・ワークスのDIを通した音をブレンドすることもあるようだ。
近年はジェームス・ディメター真空管プリアンプを使用している。

ドイツ製のコーディアル・ケーブルを使用。
BOSSのオクターブディヴァイダー(1オクターブ下の音を作り出し厚みを
加える)を使うこともあるらしい。

大好きなベーシストなのでつい長くなってしまった(笑






Consequenceの「偉大なベーシスト100人」に名前がなかったが、セッシ
ョン・ベーシストのウィル・リーウィリー・ウィークスデヴィッド
ハンゲイト(TOTO)も優れたベーシストである。

個人的には、ヴァン・マッコイ&ザ・ソウルシティ・シンフォニーやスタ
ッフでグルーヴ感たっぷりのベースを弾いてたゴードン・エドワーズ、
地味すぎるくらいのクラウス・フォアマンもお気に入りベーシストだ。

ドゥービー・ブラザーズでピック弾きのゴリゴリ・ベースを聴かせてくれ
タイラン・ポーター「Hotel Calif.」「One Of These Nights」で曲

の中核をなすベースを弾いたランディー・マイズナー、ヴァニラ・ファッジ
、BB&Aで前に出過ぎるくらいのリード・ベースを披露したティム・ボガ
ートも偉大ではないか
デュラン・デュラン〜パワーステーションのジョン・テイラーのベースも
も過小評価されてると思う。



↑BB&A時代のティム・ボガート、ジェフ・ベック、カーマイン・アピス


<参考資料:Consequence、ABCベース教室、Wikipedia、Amazon、
ベースマガジン、BOOGIEなイーブニング!note リック・ダンコ追悼、
音楽武装、Rolling Stone Japan、Kz Guitar Works、HIGHWAY、amass
、ベースプレイヤーマガジン、YouTube、他>

2024年4月20日土曜日

ベーシストについて語ろう(2)最も偉大なベーシスト21〜50位。

Consequence「最も偉大なベーシスト100人」の2回目。
今回は21〜50位と、その中で知ってる人について述べようと思う。



21位 Geezer Butler
22位 Victor Wooten
23位 Jack Bruce
24位 Donald “Duck” Dunn
25位 Kim Gordon
26位 Chris Squire
27位 Cachao
28位 Paul Simonon
29位 Ron Carter
30位 Lemmy Kilmister



23位のジャック・ブルースはエリック・クラプトン、ジンジャー・ベイカーと
共にパワー・トリオ、クリームを結成。
ジャック・ブルースはベース、ボーカル、ブルースハープ、作曲を担当した。
クリームはジャズの即興性を加えた新しいブルース・ロックで人気を博す。




クリームの特徴はインプロヴィゼイション(即興奏)を中核に据えていた点だ。
多くの楽曲で、3人がお互いに触発しながら即興的に演奏をしていくインター
プレイが繰り広げられ、1曲の演奏時間が15分を超えることも少なくない。

ジャック・ブルースの演奏リズム楽器としての役割を逸脱し、自在にアドリブ
でフレーズを構築していく
アグレッシヴな演奏はリードベースとでも言うべきスタイルであった。
ティム・ボガードやジョン・エントウィッスル(ザ・フー)との違いは、ジャ
ック・ブルースのフレージングにジャズやクラシックの要素が感じられる点だ。
チェロを学び、ジャズバンドに在籍していた彼のバックグラウンド所以だろう。


インプロヴィゼイションはキーとなるコードだけが定められ、ブルーノート・
スケールとペンタトニック・スケールの組み合わせで自在に展開する。
多くの場合コード進行は無視され、演奏は延々と続いた。
ヴァースやコーラスに戻る時は、アイコンタクトやサインが交わされていた。
そのためスタジオ録音よりも、ライヴ演奏でクリームの真骨頂が発揮される




ジャック・ブルースといえばギブソンEB-3、いわゆるSGベースだ。
ソリッドボディでフロントにハムバッカー、リアにはミニ・ハムバッカーと
2基ピックアップを搭載。中低音域に強い特徴がある。
30.5インチというショートスケール(フェンダーは34インチ)で、テンション
がゆるいため、サステインのある温かみのあるサウンドが得られた。
アンプはマーシャルを使用。

アタックが強くほぼ人差し指のワンフィンガー奏法が大きな特徴となっている。
ピッキングの位置もネック寄りが多く、独特の太いサウンドの秘密のようだ。
クラプトンは「ジャックには圧倒されっぱなしだった」と語っている。

ローリングストーン誌の「史上最高のベーシスト50選」では第6位である。
そっちの方が正当な評価だと僕は思うが。




24位のドナルド・ダック・ダンはジェームス・ジェマーソンと並びソウル、
R&Bの伝説的ベースプレイヤーとして有名。
ベースプレイヤー誌の「史上最も偉大な100人のベーシスト」において40位、
ローリングストーン誌の「史上最高のベーシスト50選」で15位に選ばれている。




1960年代はスタックス・レコードの専属プレイヤーとして、オーティス・レデ
ィング、サム&デイブ、ウィルソン・ピケット、アイザック・ヘイズ、アルバー
ト・キングなどのレコーディングやツアーをサポート。
またブッカー・T&ザ・MG'sの一員として活躍した。
ギターのスティーヴ・クロッパーとはメンフィスで小学生の時の旧友である。

1970年代にはロッド・スチュワートやリヴォン・ヘルム、レオン・ラッセルら
のセッション、ブルース・ブラザーズ・バンドに参加。
1980年の映画「ブルース・ブラザース」ではダンの演奏してる姿が見れる

1983〜1985年にはエリック・クラプトンのバンドでレコーディング、ツアー
に参加する。
1992年にボブ・ディラン30周年記念コンサートでは、ブッカー・T&ザ・
MG'sとしてハウスバンドを務めた。




ドナルド・ダック・ダンのベースはどっしりとした力強さが特徴だ。
ペンタトニックを多用したシンプルな演奏であり、耳に残るフレーズが多い。
シンコペーションをうまく活かし、独特なドライブ感を生み出している。
指弾きによる低域での演奏が多いが、音の粒立ちがよい。

1958年製と1966年製プレシジョンベースを愛用。アンプはアンペグを使用。




29位のロン・カーターはあまりにも有名なジャズ・ベース奏者。
音楽学校卒でコントラバス奏者を目指していたが、白人オーケストラへの入団
は拒否され、ジャズ・ベーシストとして活動するようになる。
1960年代モード・ジャズを模索していたマイルス・デイヴィスに抜擢される。
1970年代にはV.S.O.P.クインテット、グレイト・ジャズ・トリオに参加。
(1978年のライヴ・アンダー・ザ・スカイでロン・カーターを生で見た)




トミー・フラナガン、ローランド・ハナ、、ハンク・ジョーンズ、ジム・ホール
、ハービー・ハンコック、ヒューバート・ロウズ、アントニオ・カルロス・ジョ
ビンなど数多くの名手たちと共演する。

ピッコロ・ベースを開発し、ソロ楽器としてのベースの可能性を追求した功績
も大きい。



31位 Mike Watt
32位 Thundercat
33位 Billy Sheehan
34位 Ray Brown
35位 Rhonda Smith
36位 John McVie
37位 Mike Mills
38位 Louis Johnson
39位 John Cale
40位 John Myung



34位のレイ・ブラウンはロン・カーターより一世代前、スウィング期、ビバ
ップ期のジャズ・ベース奏者。的確な演奏で知られる。
ディジー・ガレスピー・バンド、モダン・ジャズ・カルテット、オスカー・
ピーターソン・トリオで活躍。
ソニー・ロリンズ、デューク・エリントン、エルヴィン・ジョーンズと共演。
1970年年代にローリンド・アルメイダらとL.A.フォアを結成している。




38位のルイス・ジョンソンは兄ジョージと共にブラザーズ・ジョンソンとして
活躍した。(ジョージはギター、ルイスはベース担当)




クインシー・ジョーンズの秘蔵っ子と言われ、彼がプロデュースする数々のヒ
ット・アルバムのレコーディングに参加しベースを弾いた。
マイケル・ジャクソンの「Off The Wall」「Thriller」はその代表例である。

ルイス・ジョンソンのベースの特徴は、その驚異的なテクニックを駆使したダイ
なミックなスラップベース(日本ではチョッパーベースと言われた)にある。
超高速で親指や手のひらを叩きつけるように弦を弾いたりミュートさせる独特
の奏法は、バリバリと雷鳴のようなサウンドであることから、サンダー・サム
(雷の親指)とあだ名がついた。


↓ブラザーズ・ジョンソンの「Stomp!」2'20"〜ベース・ソロが聴きどころ。
https://youtu.be/tPBDMihPRJA?si=iE9ZloqpTtT2HfLT






レオ・フェンダーがルイス・ジョンソンのために制作したミュージックマン・
スティングレー・ベースは中高域が強化され、スラップ奏法によるアタック音の
強いパーカッシブなサウンドを可能にしている。


↓アール・クルーの「Dance With Me」1'00"〜でもルイスのフィルインが聴ける。
https://youtu.be/ZZ3ZHkOrTVI?si=uO3czkMSMXqO8Y_M



尚、パトリース・ラッシェンの「Forget Me Nots」のスラップベースもルイス・
ジョンソンと思われがちだが、奏者はフレディ・ワシントンである。

後藤次利はルイス・ジョンソンを耳コピしてスラップ奏法を覚えたそうだ。
日本では初めてで「チョッパーベース」と呼ばれるようになった。
ロンドンっ子がサディスティック・ミカ・バンド公演で驚いたのは、曲ではなく、
後藤次利のスラップベース(英国では馴染みがなかった)だったという。





41位 Marcus Miller
42位 Roger Waters
43位 Anthony Jackson
44位 Simon Gallup
45位 Kim Deal
46位 Greg Lake
47位 Bobby Valentin
48位 Tim Commerford
49位 Bill Wyman
50位 Dee Dee Ramone



41位のマーカス・ミラーは1980年代に売れっ子スタジオ・ミュージシャンと
して活躍したベーシスト、ソングライター、プロデューサーである。
ジェームス・ジェマーソン、ラリー・グラハム、ジャコ・パストリアス、スタン
リー・クラークら先人ベーシストの演奏をコピーしながら技術を磨く。




グローヴァー・ワシントンJr.、ドナルド・フェイゲン、ブレッカー・ブラザーズ
、渡辺香津美、 渡辺貞夫などのレコーディングに参加。
マイルス・デイヴィスの復帰にもベーシスト、プロデュースとして貢献。
プロデューサーとしての実力も認められる傍ら、マイケル・ジャクソン、マラ
イア・キャリー、ビヨンセのレコーディングにベーシストとして参加している。

1977年製フェンダー・ジャズベースにアクティブ回路が搭載されている。
ミュージックマンのフレットレス、サドウスキーの5弦ベースも使用している。
ベースアンプのカスタマイズ、マルチ・エフェクター、シグネチュア仕様の弦
、など機材へのこだわりが強い。
レコーディングではアンプを使用せず、ベースをDI経由でミキシングコンソール
にインプットすることが多いという。




42位のロジャー・ウォーターズはピンクフロイドのベーシストであり、作詞・
作曲など創作面の中心的存在、ピンクフロイドの頭脳とも言われる。
非常に気難しい性格(ピンクフロイドはほぼ全員)で知られており、音楽に
関しては偏執的なまでのこだわりを見せる完璧主義者だった。





極めて重要な役割を果たしているにも関わらず、ウォーターズのベーシスト、
シンガーとしてのイメージ、バンドの演奏における存在感は希薄である。
アルバム制作でウォーターズがイニシアチブを取りコンセプトを作っていても、
ライブにおいてサウンド面の「フロイドらしさ」を一手に掌握しているのは
デヴィッド・ギルモアであった。

ロジャー・ウォーターズはフェンダー・ジャズベース、プレシジョンベースを
使用し、ピック弾きを主体としたオーソドックスな演奏を行う。
アンプはハイワットやWEM。

ルート、5度、オクターブを上下するベースラインで、分かりやすいっちゃー
分かりやすい(笑) 1小節に白玉1個みたいな入れ方もよくする。
しかしブート盤を聴くと、意外と自由闊達に弾く曲者ベーシストだったりする。

思うに、完璧主義のウォーターズは作品として残すスタジオ盤ではプレイヤー
として主張せずプロデューサーとしてアンサンブルを創ることに専念する。
一方ライブ演奏では、ベーシストとして遊んでみるという方針なのだろう。




ウォーターズ脱退後のピンクフロイドはギルモア・バンドになってしまった。
独特の翳が無くなり、フラットな光に見えてしまうのはなぜか?
創り出す世界観もそうだが、技巧派ではないけど曲者の(病みつきになる)
ロジャー・ウォーターズのベースがないピンクフロイドは面白くない




43位のアンソニー・ジャクソンは売れっ子セッション・ベーシスト。
一流アーティストたちから絶大なる支持を受け、ファーストコール・ミュージ
シャン(レコーディングやライブの人選で最初に声がかかる)として知られる。
ジェームス・ジェマーソンの影響でベースを演奏するようになったそうだ。

対応ジャンルも幅広く、ポップス、ロック、フュージョン、ジャズまでこなす。
どのジャンルにおいてもトップレベルのクオリティの演奏を提供できる。

リー・リトナー&ジェントル・ソウツ、アル・ディ・メオラ、アール・クルー、
渡辺貞夫、渡辺香津美、チャカ・カーン、ロバータ・フラック、クインシー・
ジョーンズ、スティーリーダン、ドナルド・フェイゲンなどの作品で名演を
聴くことができる。




なぜこれほどまでに信頼されているのだろうか。
第一に挙げられるのは抜群の「安定感」
他のプレイヤーが安心してプレイできる、という点がやはり大きいだろう。

彼がいるだけで、そのセッションに重厚な独特のグルーヴが生まれる。
それは踊りたくなるファンキーな黒人のグルーヴとは全く違う。
どっしりとした音圧でうねる、味わい深いベースラインだ。

スラップやハーモニクスなど、派手なテクニックやギミックは使わない。
本当の意味でのベースならではの、ベースらしいプレイを聴かせてくれる。

スラップ全盛期にも関わらず、時代の流れに迎合せず自分流を押し通した。
素晴らしいベースマンである。だからこそ孤高なスタイルが築かれたのだ。

「安定感」だけではない。一転して「緊張感」に転じることもある。
ここぞというタイミングでスリリングなフィルが入るのもまた魅力だ。


↓アール・クルー&の「Good Time Charlie's Got The Blues」
左から聴こえるギターはチェット・アトキンス。
アンソニー・ジャクソンのベースを聴いてください。特に2'37"のフィル。
https://youtu.be/BV2VoQ8PQ08?si=uUsqaRYLdz7JB_SQ





演奏スタイルは親指、人差し指と中指のツーフィンガー。薬指も使う。
必ず座って演奏するのが特徴。
音色は低音でもブライトで輪郭がはっきりしている。
それでいて「ずっしり」感がある。

フェンダー・ジャズベースを使用していたが、フォデラ特注6弦ベース(コン
トラバスギター)を使用するようになる。弦もフォデラ製で頻繁に交換。
アンプ、エフェクター、シールド、DIボックスの開発など、常により良い音
を出すための努力をしている。
本来ならもっと上位にランクインされるべきベーシストである。




46位のグレッグ・レイクはキング・クリムゾン、ELPのベーシスト。
キーボード、ベース、ドラムスのトリオ編成のELPにおいては、ベースが
ギターの役割を務めることもあった。
しかもグレッグ・レイクは歌いながらベースを弾くことができた。




ロック的な奏法とジャズ風のベース・ランニングとを使い分けている。
ピック弾きでオルタネイト・ピッキングの名手であり、ベンベンベケベケ
とエッジの効いたブライトな音を出していた。
フェンダー・ジャズベースを使用。アンプはハイワット。




49位のビル・ワイマンはストーンズの寡黙なベーシスト。
ベースソロや派手なフレーズとは無縁だったが、チャーリーと共に堅実な
リズムセクションの役を担っていた。




グループの主導権がミックとキースに握られると、ビル・ワイマンの立場は
軽んじられる。
Sympathy for the Devil、Jumpin' Jack Flashのベースはキースが弾いた。
ビルはコンサートでは難なくそれを再現している。

フラマス5-150スター・ベース(ホロウボディー)、フェンダー・ムスタング
・ベース、ダン・アームストロング・プロトタイプ・ベースを使用していた。
ネックを垂直に近い角度まで立てて構える姿が印象的である。

でも、偉大なベーシストなのかなー。。。


<続く>


<参考資料:ベース博士、零細社長のブログレッシブ日記、ベースマガジン、
ベーススレまとめwiki、ギタコン(ギターコンシェルジュ)、Wikipedia、
ギターベース機材情報まとめ、ミュージックライフ・クラブ、YouTube、
Rolingstone Japan、amass、他>

2024年4月11日木曜日

ベーシストについて語ろう(1)最も偉大なベーシスト1〜20位。



アメリカのConsequenceがポップ・ミュージック史における「最も偉大なベー

シスト100人」(100 Greatest Bassists of All Time)を発表した。(1)

100人のベーシストのリストを見たが知らない名前ばかり。
名前を知ってるベーシストについて、知ったかぶりして書いてみよう(笑
今回は1〜20位にランクインした人たち。

1位 James Jamerson
2位 Paul McCartney
3位 Jaco Pastorius
4位 Carol Kaye
5位 Flea
6位 Geddy Lee
7位 Bootsy Collins
8位 Steve Harris
9位 Charles Mingus
10位 John Entwistle

11位 Stanley Clarke
12位 Les Claypool
13位 Aston “Family Man” Barrett
14位 Cliff Burton
15位 Tina Weymouth
16位 Bernard Edwards
17位 Peter Hook
18位 Verdine White
19位 John Paul Jones
20位 Larry Graham



1位のジェームス・ジェマーソンはローリングストーン誌が選ぶ「史上最高の
ベーシスト50選」(2022)(2)でも1位であった。
(他も順位こそ違うものの、同じような人が選出されている)

ジェマーソンはモータウン・レコード専属のスタジオミュージシャン・ユニット、
ファンク・ブラザーズのベーシストであった。
シンコペーションを多用した斬新なベースライングルーヴ感ある彼の演奏は
モータウン・サウンドの要となり、数々のヒット曲を産んだ。




テンプテーションズのMy Girl、シュープリームスのYou Can’t Hurry Love。
出だしの印象的なベースはジェマーソンが弾いている。

マーヴィン・ゲイ&タミー・テレルのAin't No Mountain High Enoughの伴奏は
ジェマーソンのベースが主役と言っても過言ではない。
https://youtu.be/ABfQuZqq8wg?si=t6AZUFBu1VYJbBu4


そして、マーヴィン・ゲイのWhat's Going On。
跳ねる16ビート」「世界一美しいとベースライン」とも評される。
転調(Emaj7→A♭m7→D9→Emaj7)をスムーズにしている点も脱帽だ。
https://youtu.be/ApthDWoPMFQ?si=5oU18eA2SRjblsp-

ジャクソン5のDarling Dearではベースラインがカウンターメロディになってる。
https://youtu.be/XUKNuymEVEQ?si=nGBEcWogQGSIhpV8




ジェマーソンはダブルベース奏者だったが、エレクトリックベースに転向する。
1962年製フェンダー・プレシジョンベース(サンバースト)はピックアップ・
フェンスとブリッジガードを付けたまま演奏していた。

弦はラヴェラのヘヴィゲージ。フラットワウンド弦を(張り替えずに)使用。
ダブルベースに近い丸みのある滑らかなサウンドを好んだ
右手の人差し指のみ、曲によって中指も使うツーフィンガー奏法を用いた。

弦高も非常に高くセットされ、ダブルベースの感覚に近づけていたと思われる。
ブリッジの下にスポンジを挟み、サステインを減らす工夫をしていた。

ヴォリュームとトーンのノブは全開。
アンプ(アンペグB-15)のBassのはMAXにし、Trebleは半分にセット。
レコーディング時はベースを直接ミキシング・コンソールのヘッドアンプに
プラグインしていたという。(それにしてはエア感のあるふくよかな音だ)




ジェマーソンの偉大さは「ポピュラー音楽のベースライン」を作り、後世のベ
ーシストたちに大きな影響を与えたことだろう。

バーナード・エドワーズ(シック)、チャック・レイニー、マーカス・ミラー、
ジャコ・パストリアス、スタンリー・クラーク、ウイル・リー、ジョン・ポール
・ジョーンズ、メル・サッチャー(GFR)、ロジャー・グローヴァー(ディープ
パープル)、ポール・マッカートニーなど数多くのベーシストちがジェマーソン
の影響を公言している。

歌謡ポップスのベーシストもジェマーソンの影響を受けている。
尾崎紀世彦の「また逢う日まで」での2オクターブ上下するエレベーター奏法
が伝説になっている寺川正興はその一人だ。

日本のR&Bサウンドを作り上げた江藤勲(弘田三枝子、黛ジュン、青江三奈、
いしだあゆみ、和田アキ子、赤い鳥、ガロ、カルメン・マキ、りりィのレコー
ディングに参加)も和製ジェームス・エマーソンと呼ばれた。




1972年頃モータウンはLAに拠点を移し、ファンク・ブラザーズからレッキング
・クルー(3)と呼ばれるスタジオミュージシャン集団をメインに使うようになる。
キャロル・ケイがベースを弾く機会が増え、ジェマーソン本人のアルコール中毒
も影響して仕事が減る。1983年に肝臓病のため47歳で死去した。




2位のポール・マッカートニーは説明無用だろう。
語り出すと、それだけで軽く5回くらいの特集になりそうなのでやめておく。
でも、ちょっとだけ(笑

前述の流れで触れておくが、ポールは「ジェームス・ジェマーソンとブライアン
・ウィルソンのメロディアスなベースに影響を受けた」とを明かしている。

 


You Can't To Do Thatのミュートを効かせたファンキーなフレーズも全盛期の
ジェマーソンにインスパイアされたのではないかと思える。
「Revolver」レコーディング時エンジニアに「モータウンみたいにベース音を
デカくしたい」と要求した(4)のもジェマーソンの演奏に触発されたのだろう。

「Sgt.Peppers」の頃からポールもブリッジ前にスポンジを咬ませて音をミュー
トする技を使い出す。
(これはジェマーソンの模倣ではなくポールなりの工夫だろう)
Drive My Carのベースはドナルド・ダック・ダンの演奏にヒントを得たという。

ブライアン・ウィルソンとポールのベースは共にルート外し(コードの主音を
弾かない)で、音楽におけるベースの領域を超える斬新で実験的な試みだった。




有名なヘフナー500-1(1961年製/1963年製)の他、1965年からレコーディン
グではリッケンバッカー4001も使用していたが、ステージで弾いたことはない。
(ビートル・スーツに合わないためという説がある)
しかし日本公演ではスペアとしてリッケンバッカー4001を用意してあった。
(なぜもう1台のヘフナーを用意しなかったのか?)

ビートルズ初期はフラットワウンド弦を使ってたという記載もあるが、本人
「ずっとアーニーボールのラウンドワウンドを使ってる」と言っている。
1969年1月の屋上コンサートではヘフナーにブラックナイロン弦を張っていた。






3位のジャコ・パストリアスは誰も異を唱えないと思う。唯一無二の天才だ。
超絶技巧プレイ革新的なテクニックで知られるが、それだけではない。
メロディアスなフレージング疾走する16ビート自由自在に変化する音色
ジャズ・フュージョンのベースのあるべき論を根底から覆した。
エレクトリックベースをアンサンブルでの花形楽器にまで昇華させたのだ。




1970年代半ばに頭角を現し、パット・メセニーの初リーダー作に参加。
ソロ・アルバムを発表し、ウェザーリポートにアルフォンソ・ジョンソンの
後任ベーシストとして加入。
フォークからジャズへ傾倒していたジョニ・ミッチェルのレコーディングや
ツアー活動にも参加している。

ジャコの愛器は1962年製フェンダー・ジャズベースをフレットレスに改造した
もので、傷や塗装の剥がれや汚れもトレードマークになっている。
英国ロトサウンド社製ラウンドワウンド弦(ロック・ベーシストに好まれる)
を使用し、エポキシ樹脂でコーティングされた硬い指板、フレットレスとの
相乗効果で明るく伸びやかなジャコ独特の音色を作り出している。

人差し指と中指のツーフィンガー奏法。当時流行ったスラップ奏法(チョッパ
ー)はやらないが、手の平によるタッピングは時々行っていた。

アコースティック・コントロール社製のソリッドステート・アンプを使用。
ディレイ、コーラスを多用
フレットレスの微妙なピッチのズレも巧みに利用している。
サンプリングしたフレーズに合わせて弾くソロ・パフォーマンスもお馴染み。




ジャコ・パストリアスの黄金期はウェザーリポート時代とされるが、個人的
には(ウェザーリポート自体が好きではないこともあり)パット・メセニー
の初リーダー作での演奏(1976年)がベストだと思っている。
https://youtu.be/0Ozv_S1fuis?si=aA6vbHZ-_uUX-2ay


ウェザーリポート脱退後のジャコの生活は荒れ始め、コカインと酒に溺れ双極
性障害 (躁鬱病)に悩まされた。
ステージでは人の演奏を邪魔したり、オフステージでも奇行を繰り返す。
精神状態は悪化し、アパートを追い出され路上生活を送っていた。
泥酔状態で警備員と乱闘になり、頭部を強打。35歳の若さで亡くなった。




4位のキャロル・ケイはレッキングクルーに在籍してた女性ベーシスト。
フィル・スペクターに中指を立てたという女傑である。
1960~1970年代にセッション・ミュージシャンとして1万曲以上のレコーディ
ングに参加したといわれる伝説のベーシストだ。




フェンダー・ジャズベースをピックで弾くスタイルである。
彼女はもともとジャズ・ギタリストで、セッション・ミュージシャンのキャリア
もギタリストとしてスタートさせている。
たまたまベーシストの欠員が出てピンチヒッターでベースを弾いたのがきっかけ
で、ベースという楽器の奥深さに目覚めたそうだ。

ピック弾きならではのブライトな音、テンポとビート(拍)の正確さデュレー
ション(音の長さ)の正確さフレージングの正確さは定評があった。
レッキングクルーには彼女の他に、ジョー・オズボーン、レイ・ポールマン、
ライル・リッツ、ラリー・ネクテルなどのベース奏者が在籍していたが、キャ
ロル・ケイご指名が最も多かったという。




ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンもキャロル・ケイに全幅の信頼を置き
、レコーディングでは必ずキャロル・ケイを起用した。
自身もベーシストだったブライアンは、ベースラインにはこだわりが強い。
ルート外し、ハイポジションでのプレイ、グリッサンドなど細かいリクエスト
を出し、彼女はそれに100%応えることができた。
ブライアンは曲のアンサンブルをキャロル・ケイのベースを中心に構築していた
と言われている。

ビーチボーイズのGood Vibrations(ベースラインを聴いてください)
https://youtu.be/jkPyB-g3asI?si=6UjZuorfrKHyKpYY

ビーチボーイズのHere Today(ベースラインを聴いてください)
https://youtu.be/Ghm9Y2kMa1I?si=q9Bq-3Wi36Ow09UE





5位のフリー(Flea)はレッド・ホット・チリ・ペッパーズのベーシスト。
ファンクにパンクを足したような、 速さと音圧を重視した独特のスラップ奏法
で「狂気とも取れるエネルギーの爆発」と評されている。
コスプレも含め、クレイジーで激しいステージ・パフォーマンスも特徴。
塗装の剥げたシェルピンクのフェンダー・ジャズベースを使用している。




僕はこの人の演奏スタイルもキャラも苦手。なので、以上です(笑


6〜8位は名前も知らない。


9位のチャールズ・ミンガス。ジャズは聴かない派の僕でもとりあえず知ってる。
ハード・バップが基盤で、ゴスペル、フリージャズの要素が加わってるんだって。

ジェフ・ベックがカヴァーしたGoodbye Pork Pie Hatは好きだけど、作曲した
本人の演奏はあまりピンと来なかった。






10位のジョン・エントウィッスルはザ・フーのベーシスト。
他のメンバーが所狭しと暴れまわる中、マイクスタンドの前に直立してベースを
弾く姿が印象的だった。あと、骸骨のコスプレもね(^^v)




フェンダー・プレシジョンベース、ギブソン・サンダーバードIVを使用してた。
アンプはハイワット。

アタック音を効かせた奏法はリード・ベースとも呼ばれた
ピート・タウンゼントのギターはリズム・カッティングやコード演奏に徹して
いて、あまりリフやソロを弾くことはない。
代わりにエントウィッスルのベースがオブリガートやソロを弾く。
ザ・フーはベースとドラムがリード楽器でギターがリズム楽器とも言われた。

ユニークではあったが、そんな偉大なベーシストだろうか?




11位 Stanley Clarke
12位 Les Claypool
13位 Aston “Family Man” Barrett
14位 Cliff Burton
15位 Tina Weymouth
16位 Bernard Edwards
17位 Peter Hook
18位 Verdine White
19位 John Paul Jones
20位 Larry Graham



11位のスタンリー・クラークはジャズ、ファンク、フュージョンを得意と
する超絶テクのベーシスト。
ダブルベースもエレクトリックベースも演奏できる。




1972年にチック・コリアらとリターン・トゥ・フォーエヴァーを結成。
その後ソロ・アルバムを発表。
ヤン・ハマー、ジェフ・ベック、ジョージ・デューク、アル・ディ・メオラ
などと共演する。

アレンビックのエレクトリックベースを使用し、指弾きで速いパッセージ
ストラミング(コード・ストローク)、スラップ奏法とステージでのパフォ
ーマンス力が高く、ロック・ファンにも人気がある。
1978年にジェフ・ベックと来日し日本武道館で公演を行った。



15位のティナ・ウェイマスはトーキング・ヘッズの女性ベーシストであり、
トムトム・クラブでもベースとボーカルを担当した。
ティナはデヴィッド・バーンに出会うまでバンド経験がなく、トーキング・
ヘッズ加入後にベースを練習した。




ドナルド・ダック・ダン、ジェームズ・ジェマーソンの影響を受けたと本人
は言ってる。
ミニマルなアート・パンクのベースラインダンサブルなファンク風のリフ
を組み合わせて、トーキング・ヘッズのサウンドの基盤作りに貢献した。

ティナのベースはボコボコこぢんまり鳴ってるのだが、音価コントロール
正確でメリハリが利いている。躍動感もある
演奏中の体の動きもいい。ガニ股で弾くパフォーマンスなんて最高だ!

シングル・カッタウェイのヘフナー500/2クラブ・ベース、フェンダー・
ムスタング・ベースは彼女のトレードマーク。
視覚的にもインパクトの強いベーシスト(アーティスト)である。


選考基準が演奏スキルだけではなく、影響力、創作力、革新性、ステージ
での存在感とされているが、ティナが選ばれたことに納得である。




16位のバーナード・エドワーズシックのベーシストで、ソングライター
であり、プロデューサーとして多くのアーティストを手がけた。

切れ味のいい16ビートのカッティングを得意とするギタリストのナイル・
ロジャース、黒人でありながら16ビートもヘビーな8ビートの縦ノリも
叩けるドラマーのトニー・トンプソンと共にシックを結成。




シックは全曲バーナード・エドワーズとナイル・ロジャースの共作で、
エドワーズのベースラインとロジャースのカッティングは1970年代末に
ブームとなったディスコ・ミュージックのテンプレートとなる。

https://youtu.be/51r5f5OdIY0?si=kCkCNTLtMMijwmqx
https://youtu.be/RLTDpewIpfw?si=zw-ld3gYadVnDEjR



1978年に発表したLe Freakは全米で400万枚以上の大ヒットを記録。
Good Timesでのエドワーズのベースラインは多くのミュージシャンに
影響を与え、コピーされた(パクられた)。
クイーンのAnother One Bites The Dustでのジョン・ディーコンのベース
はそのいい例である。

愛用していたのはミュージックマン・ステイングレイ・ベース。
アレンビックのベースも使用した。アンプはアンペグ。

2フィンガースタイルで、基本的に低音部がメインのシンプルなフレーズ。
運指が独特で、音符休符の細かさタメとノリは天賦の才能だろうか。
指を置いてる位置はかなりブリッジに近く硬いサウンドを好む
親指と人差し指の爪でストラミング(ストローク)することがあり、これ
がピック弾きベーシストという誤情報を日本に蔓延させる原因となった。




バーナード・エドワーズはプロデュサーとしても頭角を現し、マドンナ、
ダイアナ・ロス、パワー・ステーション、デュラン・デュラン、ABC、
ロバート・パーマー、ジョディ・ワトリー、シスター・スレッジなどを
手がけている。

中でもパワー・ステーションは、デュラン・デュランのメンバーである
ジョン・テイラーとアンディ・テイラー、シックのトニー・トンプソン、
ロバート・パーマーによる強力ユニットで、ファンクとハードロックの
融合をコンセプトにした意欲的な試みだった。
バーナード・エドワーズはトニー・トンプソンの重いドラムにゲートリ
バーブをかけ、大胆なダンス・リミックス・サウンドに仕上げている。




19位ジョン・ポール・ジョーンズはレッド・ツェッペリンのベーシスト。
ツェッペリン加入の4年前からジョンジーはスタジオ・ミュージシャン
として活動していた。
ベース奏者、キーボード奏者、マンドリン奏者、編曲までこなすマルチ・
プレーヤーであり、ストーンズ、ジェフ・ベック、ドノヴァンなど数多
くのアーティストのレコーディングに参加している。
ジミー・ペイジ、ジョン・ボーナムとはセッションワーク時代からの
旧知の仲であった。

1961年製フェンダー・ジャズベース、1951年製プレシジョンベース、
プレシジョンベース・フレットレスを使用していた。
アンプはアコースティック・コントロール社。




基本的にジョンジーのベースはマイルドなクリーンサウンドが多い。
それはペイジやボンゾのラウドなサウンドとは好対照で、地味ながら
その縦横無尽にフレットを走る高度な運指正確な音価、ペイジと
ボンゾの変則ビートにしっかり合わせに行くリズム感はすばらしい。
指弾きとピック弾きを使い分けていた。

The Lemon Song中盤のランニング・ベース、Dazed And Confused
でのヘビーな下降ラインからギター・ソロの間繰り返すベースのリフ、
Black DogやWhole Lotta Loveのギターと同じフレーズのクランチ・ベ
ース、と聴きどころは多い。本当に器用な人である。
ジョンジーはツェッペリンの屋台骨であり隠し味だったと思う。

ツェッペリン解散後はR.E.M.、ブライアン・イーノ、フー・ファイタ
ーズとも共演している。



20位のラリー・グラハムスラップ奏法(日本ではチョッパーと呼ば
れることが多い)を生み出したベーシストである。
スライ&ザ・ファミリーストーン(1960年代末に活躍したファンク、
サイケデリック・ソウルのバンド)の一員であった。

12位、13位、14位、17位、18位は知らない人でした。


<続く>


<脚注>