<エレクトロ・アンビエントの流れ>
ブライアン・イーノのアンビエントと前後して、シンセサイザーを使
ったエレクトロ・ミュージックが数多く台頭した。
映画「炎のランナー」(1981)、「ブレードランナー」(1982)のサウン
ドトラックで有名になったヴァンゲリス(1)が1973年にフランスのTV
番組用に作った「動物の黙示録(L'Apocalypse des Animaux)」
はアンビエントとして聴ける。
↓ヴァンゲリスのCréation du mondeが聴けます。
https://youtu.be/wqs-yNPZuLs
ブライアン・イーノのアンビエントと前後して、シンセサイザーを使
ったエレクトロ・ミュージックが数多く台頭した。
映画「炎のランナー」(1981)、「ブレードランナー」(1982)のサウン
ドトラックで有名になったヴァンゲリス(1)が1973年にフランスのTV
番組用に作った「動物の黙示録(L'Apocalypse des Animaux)」
はアンビエントとして聴ける。
↓ヴァンゲリスのCréation du mondeが聴けます。
https://youtu.be/wqs-yNPZuLs
昔、麻布十番がまだ陸の孤島だった頃、華園という古民家を改築した
洒落た中華料理店があり、ジャン・ミッシェル・ジャール(2)の「The
Concerts In China」がかかっていた。↑ジャン・ミッシェル・ジャール(写真:gettyimages)
1981年に北京と上海で開催した欧米のミュージシャン初の中国コン
サートをライブ録音したものである。
シンセ・サウンドに中国的な音階を取り入れ、さらに中国琴・二胡
奏者との共演、中国語の会話や街の雑踏がサンプリングされている。
東洋風のアンビエント感たっぷりであった。
↓Jonques De Pêcheurs Au Crepusculeが聴けます。
https://youtu.be/HUKJ0NhQoa4
↑40年前の中国はまだ人民服だった!
ヴァンゲリスもジャン・ミッシェル・ジャールもアンビエントにカテ
ゴライズされることはほとんどないだろう。
シンセ・サウンドに中国的な音階を取り入れ、さらに中国琴・二胡
奏者との共演、中国語の会話や街の雑踏がサンプリングされている。
東洋風のアンビエント感たっぷりであった。
↓Jonques De Pêcheurs Au Crepusculeが聴けます。
https://youtu.be/HUKJ0NhQoa4
↑40年前の中国はまだ人民服だった!
ヴァンゲリスもジャン・ミッシェル・ジャールもアンビエントにカテ
ゴライズされることはほとんどないだろう。
そもそもアンビエントという音楽ジャンルが確立してるわけではない。
その人の聴き方や受け止め方でアンビエントになるのではないか。
これはアンビエントとは区別したい、と思う音楽もあるけど。(3)
<アンビエント・テクノ、アンビエント・ハウス>
1980年代末〜1990年代前半にかけ、アンビエントは他のエレクトロ
ニック・ジャンルに吸収されていった。
たとえばアンビエント・テクノ、アンビエント・ハウス。(4)
レイブ(ダンス音楽イベント)ムーブメントやクラブシーンから派生
したチルアウト(ダンスで興奮した体と心をリラックスさせる)が
原点だと言われる。
その人の聴き方や受け止め方でアンビエントになるのではないか。
これはアンビエントとは区別したい、と思う音楽もあるけど。(3)
<アンビエント・テクノ、アンビエント・ハウス>
1980年代末〜1990年代前半にかけ、アンビエントは他のエレクトロ
ニック・ジャンルに吸収されていった。
たとえばアンビエント・テクノ、アンビエント・ハウス。(4)
レイブ(ダンス音楽イベント)ムーブメントやクラブシーンから派生
したチルアウト(ダンスで興奮した体と心をリラックスさせる)が
原点だと言われる。
ラブのトランス状態からのカーム・ダウン(落ち着かせる)を目的
としており、ダウンテンポながらビートはキープしている。
前述のジャン・ミッシェル・ジャールもそうだし、ヴァンゲリスも
そういう曲がある。
これに対しブライアン・イーノのアンビエントは主にパブリック・
スペースや個人の部屋で聴かれることを想定して作られており、
ビートはなく浮遊する音でどちらかというと「静」の世界である。
<The KLF - チルアウトの出現。>
そのアンビエント・ハウスから奇跡の大名盤が突如現れる。
ビル・ドラモンドとジミー・コーティーの2人組ユニット、The KLF
が1990年に発表したアルバム「Chill Out」だ。
ジ・オーブのアレックス・パターソンの影響を受けている。
に行き交い、音のコラージュがトリップ空間を作り上げる。
ペダルスティールギターの音、エルヴィスの「In The Ghetto」、
ペダルスティールギターの音、エルヴィスの「In The Ghetto」、
のサンプリング音(無許可使用)、海猫の声とアッカー・ビルクの
「Stranger On The Shore」(無許可使用)が心地よい。
レイドバック感たっぷりだ。後半ハウス系のサウンドが絡む。
↓The KLF - Chill Out (1990)が聴けます。
https://youtu.be/0t4Z-Qs32WI
イーノのアンビエントが「聴いてることを意識させない家具のような
存在」なら、「Chill Out」は時空を超えた音の旅に身を委ね、その
心地よさにしばし我を忘れて酔う。そんな感じだろうか。
文字通りChill Outできる(ゆっくり時間を過ごす)一枚である。
この実験的なアルバムは奇作だが衝撃的であり、アンビエントの新境
地を開く金字塔となった。
発売当時、銀座HMVに大量展示され試聴したものの、最初はついて
行けず、何年かしてフラッシュバックのように聴きたくなった。
エルヴィスの違法サンプリングのため発売中止になってしまったが、
その頃はまだ入手できた。
これを聴いてビートルズのRevolution No.9も理解できた気がする。
ジャケットの羊はピンクフロイドの「Atom Heart Mother(原子
心母)」へのオマージュである。(分かりますよね?)
環境音のコラージュも初期〜中期ピンクフロイドの影響だと思われる。
ジャン・ミッシェル・ジャールの影響も受けたそうだ。
環境音のコラージュも初期〜中期ピンクフロイドの影響だと思われる。
ジャン・ミッシェル・ジャールの影響も受けたそうだ。
↑ちなみに世界一有名なこの牛はルルベルIII世という名前だそうだ。
この歴史的大名盤はアンビエントにおいて、チルアウトという新しい
ジャンルを確立してしまった。
が、残念なことに、The KLFの後に続くアーティストが現れない。
The KLF自体も以降の作品は毛色の違うハウスが続き、チルアウトに
匹敵するような名作は生まれなかった。
何度も問題を起こすお騒がせグループ(5)となり、2年後には解散した。
アルバム「Chill Out」も廃盤のままで再発されなかった。(6)
(続く)
<脚注>
ジャンルを確立してしまった。
が、残念なことに、The KLFの後に続くアーティストが現れない。
The KLF自体も以降の作品は毛色の違うハウスが続き、チルアウトに
匹敵するような名作は生まれなかった。
何度も問題を起こすお騒がせグループ(5)となり、2年後には解散した。
アルバム「Chill Out」も廃盤のままで再発されなかった。(6)
(続く)
<脚注>