2014年8月20日水曜日

もしも。





ピンクフロイドのアルバム「原子心母(Atom Heart Mother)」(1970)
中学一年の時にヤマハの輸入盤セールで買った。

A面は24分にわたる壮大な組曲。
それと対照的なのがB面1曲目の「If」という素朴で牧歌的なこの曲である。
歌詞は悲しいくらい内省的だ。

A面の張りつめた空気が一転して和む。とても心地よい。
僕は夜A面を聴いて、翌朝B面を聴いていた。


タイトルもアーティスト名も表記されていない大胆なジャケットは英国の
デザイン・グループ、ヒプノシス(注1)が手がけている。

ちなみに写真の牛は「ルルベ3世」という名前らしい。
世界一有名な牛と言われている。




↓対訳も載せましたのでよろしければ併せてご覧ください。


If I were a swan, I'd be gone.   If I were a train, I'd be late.
And if I were a good man,  I'd talk with you more often than I do. 

If I were asleep, I could dream.   If I were afraid, I could hide. 
If I go insane,   Please, don't put your wires in my brain. 

If I were the moon, I'd be cool.   If I were the rule, I would bend.
If I were a good man,  I'd understand the spaces between friends.

If I were alone, I would cry.   
And if I were with you, I'd be home and dry. 
And if I go insane,  Will you still let me join in with the game?

If I were a swan, I'd be gone.   If I were a train, I'd be late again.
If I were a good man,  I'd talk with you more often than I do.


もし僕が白鳥だったら、飛び去ってしまうだろう。
もし僕が列車だったら、遅れてくるだろうな。
もし僕がいい人だったら、もっと君と話ができるのにね。

もし僕が眠ったら、夢を見られるだろう。
もし僕が恐がっていたら 隠れることもできるだろう。
もし僕の気がふれても、どうか僕のことをいじめないでくれ。(注2)

もし僕が月だったら、クールでいられるさ。
もし僕が規則だったら、そんなの曲げちゃうよ。
もし僕がいい人だったら、友だちとの距離を理解できたのにね。

もし僕が一人ぼっちなら、泣いちゃうよ。
もし僕が君と一緒にいられるなら、すべてオッケーさ。(注3)
もし僕の気がふれても、君はまだ一緒に遊んでくれるかな。 

もし僕が白鳥だったら、飛び去ってしまうだろう。
もし僕が列車だったら、遅れてくるだろうな。
もし僕がいい人だったら、もっと君と話ができるのにね。

Words and music by Roger Waters 対訳:イエロードッグ


(注1)ピンク・フロイド、ジェネシス、レッド・ツェッペリン、10CC、
松任谷由実、ウィングスなど、多くのアーティストのアルバム・ジャケット
のデザインを手がけている。
現実と非現実、矛盾や対比などイマジネーションに富む創造的な作風が特徴。


(注2)don't  put your wires in my brainは「僕の脳をワイヤーでしめつけ
ないで」というシュールな表現だが、put the wire on(を中傷する、そしる
)をかけているようにも思えるので「僕のことをいじめないで」と訳した。


(注3)home and dryは (苦戦のあと)目的を達成して、 無事成功しての意味。
雨で大変だったけど家に帰って安心、というニュアンスか。
君がいればもう安心、万々歳みたいな感じ?で「すべてオッケー」にした。

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

A面のAtom Heart Motherと比べると、なんと素朴で心和む歌なんでしょう。メロディーもでしょうが、このハスキーボイスのもつ温かさに魅力があるのだと思います。最初、イエロードッグさんが歌っているのかと思うほど、声質、発声が似ているのに驚きました。

イエロードッグ さんのコメント...

>Mary Ppmさん

A面の張りつめた高揚感がB面では一気に緩んでなんだかホッとします。
レコード時代のA面とB面はこういう違い、聴き分けが楽しめましたね。

ロジャーウォーターズはエキセントリックにシャウトするかと思えば、
こんなふうにささやくようなやさしい歌い方もするんですよ。
もう一人のキーマン、デヴィッドギルモアもワイルドな歌い方もでき、
ソフトなハスキーヴォイスも聴かせてくれます。

provia さんのコメント...

こんにちは。

やはりロックはこの時代のものがいちばん好きです。

フロイドはプログレッシブという言い方を良くされましたが、
私はポップで親しみやすいメロディーが好きです。

あと、何て言ったら良いか難しいのですが、自分の心臓の鼓動に
同期するというか、なにかそんな安心感を得られる希有なバンドなんです。

だから今も聞き続けているんだと思います。

イエロードッグ さんのコメント...

>proviaさん

最初はサイケデリックロックと言われてましたよね。
このアルバム辺りからプログレという言葉が出て来たのかな。

同じ頃「ピンクフロイドの道」というベスト盤もよく聴きました。
いろいろなタイプの曲ができるバンドなんですよね。
See Emily Play、Biding My Time、Cirrus Minor、The Nile Song
は今でも大好きです。
LPはニックメイスンのイラストだったのに、CDはなぜか模型の
写真に変わってて残念です。

この4人が生み出すどっしりしたグルーブ感っていいですよね。