僕は近所に住むイギリス人からこの曲の弾き方を教わった。
彼がうちに遊びに来た時に弾いてたので褒めたら、「君ならすぐできるよ」と
ゆっくり弾いてくれ僕もその場で覚えた。ずいぶん昔のことだ。
だから僕の「アリスのレストラン」は彼流でアーロの完コピではない。
そろそろアーロの演奏をちゃんとコピーしてみよう。
。。。。と思ってTAB譜を探したがどれも違ってる(アーロの演奏と違う)。
YouTubeでチュートリアルも探したがあまりいいのが見つからない。
アーロ本人の当時のライブやTV出演の映像は少ないようだ。
これが一番いいかな?
↓写真をクリックするとアーロ本人の「アリスのレストラン」が視聴できます。
アーロが弾いてるのは珍しいフェンダーのアコスティックギター。(1)
日本ではほとんど見かけなかった。いい音してます。
さっそくアーロの演奏をコピーしてみた。
ギャロッピング奏法(2)のラグタイム・ギターである。
さほど難しくはない。
が、この力強いノリを出せるかどうか?がポイントではないかと思う。
そうとう慣れて自分のモノにしないと歌いながらは無理だろう。
You can get anything you want at Alice's Restaurant
You can get anything you want at Alice's Restaurant
Walk right in it's around the back, just a half a mile from the railroad track
An' you can get anything you want at Alice's Restaurant
お望みのものは何でもある アリスのレストラン
行ってごらんよ 裏の方にあるんだ 線路からほんの半マイルさ
そう、お望みのものは何でもある アリスのレストラン
(Arlo Guthrie 対訳:イエロードッグ)
歌になっているのはこの短いヴァースだけである。
ローカル・ラジオのCM、街頭CM、宣伝カーのCMみたいなイメージだろうか。
それ以外は彼がゴミの不法投棄でムショにぶち込まれた話、徴兵検査でその前科
のために不適格と判断され自由の身になった話がおもしろおかしく語られる。
いわゆるトーキング・ブルース(3)のスタイルだ。
父のウディ・ガスリー、ディランを始め幾世代もの歌手によって継承されて来た
スタイルで、息子のアーロが1960年代の反ベトナム期に歌っているわけだ。
「アリスのレストラン」の原題は「Alice’s Restaurant Massacre」(アリスの
レストランの大虐殺)」である。
大虐殺といってもレストランでそんな事件が起きたわけではなく、上述の逮捕〜
徴兵検査の顛末を誇張しているだけである。
↓全部訳してみようという根気と暇のある方はトライしてみてください。
http://www.lyricsmode.com/lyrics/a/arlo_guthrie/alices_restaurant.html
1967年に発売されたこのデビュー曲に目をつけたのが映画「俺たちに明日はない」
でニューシネマの寵児となった監督のアーサー・ペン。
アーロ自身を主役にキャスティングして曲中のエピソードを元に半分フィクション
の映画「アリスのレストラン(Alice’s Restaurant)」(1969年)を公開した。
社会のシステムからドロップアウトしたヒッピーたちの生活や苦悩を描く物語に
仕上げ、地味ながら味わいのある作品になっている。
物語はアーロが田舎の大学に入るところから始まるが、彼が好む音楽は学校に理解
してもらえず、保守的な人々から長髪が反感を買い食事もまともにできない。
(映画「イージー・ライダー」では、南部の保守的な人々は長髪のヒッピーを異端
児とスポイルし最後はライフルで鉛の弾をぶち込んだ。
自由の国アメリカの裏の顔を知り、やるせない気持ちになったのを憶えている)
アーロは退学し放浪するが、やがて田舎町の教会を改築した広い家にたどり着く。
そこは行き場のない若者が大勢寝泊まりしている場所だった。
家の主のアリスはレストラン開業のためのCMソングをアーロに依頼する。
感謝祭には大勢の人が集まるが、そのゴミをアーロが不法投棄したことが静かな
田舎町にとって50年に一度の大事件となり、裁判沙汰の末アーロは投獄される。
実際にアーロを逮捕した警察官オビーも実名で出演している。
映画の見どころの一つでアーロが病床の父親ウディを見舞いに行くシーンがある。
ウディは2年前に他界していて俳優が演じているのだが、病室でバンジョーを抱えて
歌を披露するピート・シーガーは本人である。
ギターとハーモニカを手にアーロが加わる。
息子の成長した姿を父ウディ(役者)が嬉しそうに眺めている、という図だ。
日本だとお涙頂戴になりそうだけどそうならないのがいいよね。
(1)フェンダーのアコースティックギター
アーロが弾いてるのはWildwood というモデルだ。
Wildwoodは1966〜1971年に製造されていた。
チャーリー・プライドも使用していた。
またこのモデルの原型 King はボブ・ディラン、エルヴィス・プレスリーが愛用し
ていたこともある。
片側にすべてのペグが並んでいるフェンダー特有のクローシャンヘッドをアコース
ティックギターにも踏襲しているところがユニークだ。
日本では布施明がテレビで弾いているのを見たことがあるが、このモデルではなか
ったような気がする。
フェンダーは短期間でアコースティックギターから撤退してしまった。
尚、現在フェンダーが販売しているエレアコは中国製の安物である。
(2)ギャロッピング奏法
カントリー、ロカビリーで使われるピッキング法。
フラットピックは使わず、フィンガーピッキングでベースラインとメロディライン、
コードを同時に弾く高度な奏法。
親指(サムピックを使用することが多い)で低音弦をミュートしながらベース音を
規則正しく刻み(2拍・4拍目を強調してノリを出す)、全く別々のリズム、タイミ
ングで高音弦を弾くのでかなり複雑だ。
弾いている指の動きが馬の駆け足(ギャロッピング)ように見えるためギャロッピ
ング奏法と呼ばれるようになった。
チェット・アトキンス、カール・パーキンスが名手として知られている。
(3)トーキング・ブルース
フォーク、カントリーの長い歴史の中で脈々と歌い継がれている芸で、おしゃべり
に近い感じのギター弾き語りによる白人ブルースといえるだろう。
1920年代後半クリス・ブシロンというヒルビリー歌手が編み出した。
一旦すたれるがまた他の歌い手に模倣され歌い継がれてきた。
1940年代にはウディ・ガスリーがこの手法で録音を残している。
1960年代のフォーク・リヴァイヴァルでトーキング・ブルースは再び脚光を浴びる。
ランブリング・ジャック・エリオットや若き日のボブ・ディランがウディの録音を
お手本としながらこの手法を取り入れた。
日本では、なぎら健壱がこのスタイルを得意としていた。
<参考:レコードコレクターズ、Wikipedia、TAP the SCENE、他>
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