2024年5月8日水曜日

追悼 デュアン・エディ。トゥワンギー・ギターとは何か。




デュアン・エディが86歳で亡くなった。ご冥福をお祈りします。

日本ではあまり馴染みがないかもしれないが、R&R史上最も商業的に成功した
インストゥルメンタル・ミュージシャンと言われている。
「Rebel-'Rouser」「Peter Gunn」「Because They're Young」がヒット。
1963年までで1200万枚のレコードを売上げた。
1960年英国NME誌の人気投票ではエルヴィス、シナトラを抜き1位を獲得。


ジョン・フォガティはエディを「最初のR&Rの神様」と呼び、ライ・クーダー、
ジョージ・ハリスン、ポール・マッカートニー、ジェイムス・バートン、リッチ
ー・ブラックモアも彼を敬愛している。
ベンチャーズ、シャンティーズ、ビーチボーイズなどサーフ・ミュージックに
与えた影響も大きい。

1994年にはロックの殿堂入りを果たした。
全世界でのレコード売上げはこれまで6000万枚以上である。

デュアン・エディはトゥワンギー・ギターと呼ばれる独特の奏法を考案し、
音数が少なく分かりやすい曲で聴く人の心を掴んだ。






↓デュアン・エディの「Shazam」が視聴できます。
https://youtu.be/lDIMpQHXBsk?si=Flek4qZ-PWWi8MbO





ところで、トゥワンギーって何?

初めてこの言葉を知ったのは中学の頃だったと記憶している。
ビートルズの「Revolver」東芝音楽工業盤のライナーノーツに「And Your 
Bird Can Sing」の間奏は2台のトゥワンギー・ギターと書いてあった。

トゥワンギー・ギターって何だ?
よく分からない。ああいうビンビン響く音のことかなあ。もやもや・・・

ちなみにこの間奏についてジョージは「覚えてないがジョンかポールと自分が
弾いた」と曖昧で、ポールは「自分とジョージが弾いた」と明言している。




さて、トゥワンギー。ギター弾きじゃない限り、耳慣れない言葉かも。
Twangは英語で「弦楽器が弾かれビーンと鋭く鳴る」音の形容らしい。
鼻声なまりを指す場合もあるようだ。
例:He has a strong Texan twang. (彼には強いテキサスなまりがある)

カントリーやロカビリーにおけるエレクトリックギターの音の形容でもある。
その奏法の先駆者がデュアン・エディなのだ。

プロデューサーのリー・ヘイゼルウッドは「低音弦でメロディーを弾く」と
いうアイディアをエディに提案する。
独自のサウンドが欲しいと考えていたエディは賛成し、4本の低音弦でメロ
ディにそった簡単なメジャースケールのシングルノートを弾く、という独特の
スタイルを完成させた。





デュアン・エディはグレッチ6120(チェット・アトキンスとの共同開発モ
デル、オレンジ色のホロウボディが特徴)を愛用した。

エディはリア・ピックアップだけを使いサウンド作りをしていたようだ。
にもかかわらず、グレッチの箱物ならではの低域の鳴りのおかげで、軽く
痩せた音にならずに、独特な深みのある響きが生まれる。



↓ツインピークスのテーマのギターもそんな感じの音だ。懐かしい・・・
(ギターを弾いてるエディ・ディクソンについてはデータがない)
https://youtu.be/Z30zg9a5M5k?si=gJRmFms6OV_wW3Q_




トワンギー・トーンは、アンプのトレブルをフルにし、ベースを下げながら
必要に応じてミドルを適宜コントロールすることで得られるという。
アンプのリバーブは深めで、トレモロも効かせている。

低音弦をベンドしてからピックを当て下げることで独特のサウンドになる。
同様に右手でビグズビーのアームを抑え、低音弦の音を下げておいてから
ピックで弾き、アームを解放して音を下げるのもデュアン・エディらしさだ。





↓文章では伝わりにくい。こんな感じ(この人、話が長いがデモは上手い)
https://youtu.be/oFXDhLmpO8w?si=3jMk4LxDeeMlnGST




弦は054-011のセットで、3弦は020の巻弦チューニングは半音下げ
これは太めの弦でもベンディングしやすくするためと思われる。
ピックはマンドリン・スタイルの小さなものを好んだという。


↓デュアン・エディの「Rebel Rouser」が視聴できます。
https://youtu.be/AahmYs_Lsps?si=-N_299jUQ9mTjJyz




1960年代にはギルドとエンドースメント契約を結び、デュアン・エディ・
シグネチャーモデルDE500(グレッチに似たホロウボディ)が製造される。
エディはステージでギルド、レコーディングではグレッチと使い分けていた。






デュアン・エディのようなロカビリー、ヒルビリー・ミュージックは1970年
以降に商業的に成功したロックの裏で衰退して行く。

しかし1979年にブライアン・セッツァーがストレイキャッツを率いて登場。
ネオロカビリー・ブームで一世を風靡した。



↓ブライアン・セッツァーの「Summertime Blues」が視聴できます。
https://youtu.be/p_mNc6NllWM?si=FyA6mY-4qzQt64w8






セッツァーはグレッチ6120グレッチ・シルヴァージェットを愛用。
他にシグネチャーモデルの6120SHホットロッドを使用している。

セッツァーのグレッチはフェンダーのBASSMANに繋がれる。
低域の響きが大事なのだろう。
ブライアン・セッツァーはストリングベンダー付テレキャスターも使用した。
(ストリングベンダーはB弦を機械式でC#に上げペダルスチールのような効
を出す。カントリー・ギタリスト御用達。テレキャスターに装着される)





トゥワンギーはテレキャスターの鳴りを表現する際にも使われる


1969年から1977年までエルヴィスのステージのリードギターを勤めたジェー
ムズ・バートンはテレキャスターの名手だ。
1969年製ペイズリーのテレキャスターはエルヴィスの希望でステージで愛用
していたが、スタジオでは1953年製テレキャスターを使用していたという。





↓ジェームズ・バートンのソロ。
https://youtu.be/oM8PesCZCmY?si=_j2H9iMb987WD2DV

↓エルヴィスの「See See Rider」でのジェームズ・バートンのソロ。
本人の動画ではないが、こんなふうに弾くらしい。
https://youtu.be/oHoIjNRQadA?si=-syZLsqMCK5EQAio



カントリー、ブルース、ジャズ、ロカビリーを組み合わせレッドネックジャズ
というスタイルを確立したダニー・ガットンもテレキャス使いだった。
(レッドネックは南部やアパラチア山脈周辺に住む、保守的で無学な貧困白人
層を指す用語でもある)




↓ダニー・ガットンの演奏が見れます。
https://youtu.be/GvP2for9pT4?si=vnmS8fpaWNjbQfCG



カントリー・ギタリストでありシンガー&ソングライターのヴィンス・ギル
カントリー畑の速弾きギタリスト、アルバート・リーもテレキャス名人だ。





↓アルバート・リーのデモ。
https://youtu.be/m2X0n_JX5IE?si=FTrltoXvxoQYie6g




彼らのテレキャスターを使ったカントリー、ロカビリー・サウンドは、しばしば
トゥワンギー・ギターと呼ばれた。

それが転じてテレ独特のサウンド(カラッとして歯切れがいいのに粘り気のある
サウンド)=トゥワンギーという解釈が生まれた。
「トゥワンギーってテレキャスターのリアのパキパキサウンドでしょ」と誤解
してる人も多いと思う。




テレキャスターのトゥワンギーはパキパキよりも、あの粘り気のある野生味の
あるサウンドにあるのではないか。
ハーフトーンではソフトになる。フロントでは太くウォームになる。
カラッとした音に仕上げるには、やはりリア・ピックアップ一択だろう。

近年はフェンダー、セイモア・ダンカン、ディマジオがテレキャスター用のトゥ
ンギー・ピックアップを製造している。





アンプをクランチ気味にしてリバーブを薄くかけ、低音の巻き弦(6〜5弦の)
を単音でやや強めに弾く、あるいは6弦3フレットのGをAまでベンドしてから
5弦のAに繋げる
また3〜1弦のプレーン弦ならダブルベンド(2本の弦を同時に持ち上げる)と
ギューンというトゥワンギー・サウンドになる。

↓こんな感じ。
https://youtu.be/iDtbQjQ7LII?si=BbTAI0ILvZStak4C
https://youtu.be/fypk4pFwovg?si=G-hTD_v-epix_dSU




テレキャスターのトゥワンギー・サウンドは3弦でのベンディングが肝だ。
3弦はワウンド弦ではなく、フラット弦であることが前提となる。
今日ではそれがスタンダードだが、1960年代前半は3弦がフラット弦のライト
ゲージのセットはなかった。

ノーキー・エドワーズの要望に応えてモズライトがアーニーボール社に046-
010のセットを発注したのが、最初のライトゲージらしい。



↑ 1965年に来日したノーキー・エドワーズから成毛茂がもらった弦。
パッケージ名称はLead King Strings。electric spanish guitarの表記。
ベンチャーズのロゴはエンドースメント契約終了後に外された。



アーニーボール社はフェンダーにそのライトゲージを売り込むが却下。
ベンディングを多用するジェームズ・バートンの希望で、やっとフェンダーは
ライトゲージを開発するようになったそうだ。



前述の「And Your Bird Can Sing」の間奏は、2人がそれぞれプレーン弦を
ベンドしてハモらせているのがダブルベンドっぽく、トゥワンギー・ギター
とされたのかもしれない。
ポールはエピフォン・カジノを弾いたのだろう。
ジョージは同じくカジノか、この時期使っていたギブソンSGかES-345か。
2人のギターはコンソールでクランチ+コンプをかけられてたはずだ。




デュアン・エディとトゥワンギー・ギターの話は以上でおしまい。
このブログにしては短めで終了したかな(笑) で、少し余談を。




既出のジェームズ・バートンやダニー・ガットン、アルバート・リー以外に、
あなたが思い出すテレキャスター使いのギタリストって誰ですか?


スティーヴ・クロッパー、ロイ・ブキャナン、アルバート・コリンズ、キース
・リチャーズ、アンディ・サマーズ、エイモス・ギャレット、コーネル・デュ
プリー、ジム・メッシーナ、Zep初期のジミー・ペイジ・・・


ストラトはどんな弾き方してもある程度、鳴ってくれるじゃないですか。
テレキャスターってガッツ(死語)がないと弾きこなせないですよね。






<参考資料:T-OD、note、デュアン・エディ/大人のギタリスト講座20。
エレキギター博士、ギターマガジン、TV JONES、amass、Wikipedia、
YouTube、GettyImages、他>