2014年9月28日日曜日

哀しいほど紅く夕陽は熟れてゆく。


今回もユーミンの話。

ユーミンで名盤は?と訊かれたら迷わず「MISSLIM」と答えるだろう。
でも一番好きなアルバムは「紅雀」かな。


松任谷由実名義で最初のこのアルバムは本人も言うように最も地味な作品だ。
これ以降の華美なアレンジとは対照的でしっとりした内省的な曲が多い。

「紅雀」は一言でいうと「南米+日本情緒」だと思う。
アコースティックギターを活かしたボサノヴァやサンバに美しい日本語の歌。


中でも大好きなのがフォルクローレ調の「ハルジョオン・ヒメジョオン」だ。
ユーミンの曲の中で僕的にはたぶん一番か二番なんじゃないかと思う。

ケーナ(アンデスの笛)が奏でるもの哀しげなメロディー。
マンドリン、ガットギターの響き。張り上げない抑えた歌い方。

「夕陽は熟れてゆくの」のメロディーは演歌にも通じるところがある。
歌詞は絵画的であり抒情的。どうしてこんな美しい曲ができるんだろう。







































※今回もproviaさんの素敵な写真を使わせていただきました。感謝です。
(写真をクリックするとアルバムの試聴ページに飛びます)



ハルジョオン・ヒメジョオン 松任谷由実

川向こうの町から宵闇が来る 煙突も家並みも切り絵になって 
哀しいほど紅く夕陽は熟れてゆくの 私だけが変わりみんなそのまま

ヒメジョオンに埋もれて口づけをした 土手と空のあいだを風が渡った
哀しいほど紅く川面はゆれていたの 越して行った日から顔も忘れた

哀しいほど紅く心は燃えているの 思い出すそばから葬るくせに
哀しいほど紅く夕陽は熟れてゆくの 私だけが変わりみんなそのまま

2014年9月23日火曜日

晩夏。


1976年の夏、NHK銀河テレビ小説でユーミンの曲が使われていた。
(ドラマの内容はさっぱり覚えていない)
聴いたことないけどいい曲だ。カセットに録音して聴いていた。





























レコード化されるのかな?と思っていたら、次のアルバム「14番目の月」の
最後に「晩夏(ひとりの季節)」というタイトルで入っていた。

地味だけどユーミンの中ではベスト5に入るかなり好きな曲である。
特にサビの「空色は〜♪」の展開がすばらしい。詞もいい。絵画的だ。

ちなみにベースは僕が二番目に好きなベーシスト、ルーランド・スクラーが
弾いている。


※美しい写真はproviaさんによる撮影。(proviaさん、ありがとうございます)
僕的にはコスモスはこの季節、愛犬エルと見たキバナコスモスの印象が強い。

(写真をクリックするとYouTubeに飛び曲が聴けます)

2014年9月17日水曜日

愛と平和と音楽の三日間。


今年はあのウッドストック・フェスティバルから45年だそうだ。(注1)

ということで久しぶりにDVDを見た。
コンサートの模様を記録した映画で3時間を超える長編である。
公開時(1970年)はビートルズの映画「Let It Be」と同時上映だった。


サンタナ、テンイヤーズアフター、CS&Nの動いている姿は映画で初めて見た。
スライ&ザ・ファミリーストーン、ジョー・コッカーは存在すら知らなかった。

中でもカッコよかったのがワイルドなザ・フー、人が疎らになった明け方の客席
に向かってアメリカ国家を演奏する大トリのジミ・ヘンドリックスだ。(注2)








15才の少年にはものすごいインパクトだった。
そういう意味で僕らの世代にとってウッドストックの意義は大きいと思う。



DVDでは映画版にはなかった貴重なパフォーマンスが収められている。(注3)
一つはジャニス・ジョプリン。嫌いだから見ない(笑)

もう一つはジミ・ヘンドリックス。2曲追加されている。
が、映画としてはアメリカ国家を弾くジミヘンにゴミが残された会場がオーバー
ラップする絵の方が祭りの後の寂しさを感じさせて良かった。

最後のクレジットでマーティンスコセッシが編集に関わっていたのを発見。
この経験が「ラストワルツ」に活かされたわけね。


ところで僕はウッドストックのシンボルマークが好きだ。
ギターのネックに鳩がとまっているやつ。

そんなわけでGAP45周年のウッドストックTシャツを2枚買ってしまった♪(注4)

ラブ&ピース!


2014年9月10日水曜日

ベートーヴェンもぶっとぶかも?

「ベートーヴェンをぶっとばせ」(Roll Over Beethoven)はチャック・ベリー
作の小気味良いロックンロールである。
ビートルズの2枚目のアルバム「With the Beatles」でカバーされ有名になった。

1964年2月ビートルズのアメリカ初上陸で2つの会場でコンサートを行った時は、
ジョージ・ハリソンがボーカルをとるこの曲で始まった。
後にマウンテンもカバーしているがそちらはヘビーなアレンジが施されている。


閑話休題。

今回はベートーヴェンの話。

子供の頃、家にベートーヴェンの「大公トリオ」のレコードがあった。
発想が貧困な僕は、てんぷくトリオとかお笑い三人組を連想してしまい、何で
そんなふざけた題名になったのか不思議に思ったものだ。

正式な作品名は「ピアノ三重奏曲第7番」である。
ルドルフ大公に献呈された作品でピアノ三重奏団によって演奏されたため「大公
トリオ」という名称で親しまれるようになったらしい。


僕の愛聴盤はケンプ(ピアノ)、シェリング(バイオリン)、フルニエ(チェロ)
の三人による演奏で、上質かつ上品そして優雅である。
三人とも主張し過ぎない、お互いを尊重し合うかのように、寄り添うように丁寧
に音を紡いで行く。




それに対して、ルービンシュタイン(ピアノ)、ハイフェッツ(バイオリン)、フォイアマン(チェロ)の百万ドルトリオはまったく正反対と言える。
激しくぶつかり合う丁々発止の演奏はある意味ジャズっぽいかもしれない。

生で聴いていたら思わず「イエーイ!」と声をかけてしまいそうだ。
三人とも「ベートーヴェンをぶっとばせ」の意気込みで演奏していたりして?


2014年9月4日木曜日

君とよくこの店に来たものさ。


で始まるGAROの「学生街の喫茶店」。
ああ、大ヒットしたシングルA面ね、と思ったあなた!

いやいや、実はB面だったんです。




「学生街の喫茶店」は3枚目のシングル「美しすぎて」のB面として発売された。
このシングルは当初あまり売れなかったが、B面の「学生街の喫茶店」がラジオ
や有線放送で人気が出て売れ始め、ミリオンセラーとなる大ヒットになった。


「学生街の喫茶店」は御茶の水の「レモン画翠」のことだという噂があった。
ここは画材を扱う店で当時は喫茶店が併設されていた。
この店の片隅でボブディランを聴いていたのか、と思ったものだ。

明大近くの「丘」がモデルという説もあった。
作詞を手がけた山上路夫は具体的に参考にした店はないと述べている。


「美しすぎて/学生街の喫茶店」は2ndアルバム「GARO2」(1972年)からの
シングルカットだった。

一枚目では妥協を強いられたメンバーたちは、今度こそと意気込んでいた。
しかし売上不振のマッシュルームレコード(日本コロムビア)の売りたい意向で、
歌謡曲の作曲家陣の作品を歌わされることになる。

そのおかげで「学生街の喫茶店」がヒットしGAROは売れっ子になったわけだが、
歌謡曲路線になったGAROから古くからのファンは離れて行った。


さて本来A面だった「美しすぎて」だが、実はシングルとアルバムではヴァージョ
ンが違うということを僕はずっと知らなかった。

僕がリアルタイムで聴いていたのはアルバム・ヴァージョンだった。
イントロにポピ〜ヨ♪と印象的なシンセが入る。




何年か前ベストCDを聴いてシングル・ヴァージョンが存在することを知った。
あのポピ〜ヨ♪が入っていない!
ということは当時ラジオでこの曲を耳にすることがなかったのだろう。