来る・・・きっと来る・・・そう思ってた。
「Rubber Soul」のリミックス盤発売。なんなら「Help」も一緒に。
あれ?でもこのティーザー、「Anthology」みたい。1、2、3...4?
<停滞するビートルズ作品のリミックス作業>
ビートルズのアルバムのリミックスは2017年「Sgt. Pepper's」で始まった。
1967年にリリースされたこの革新的なアルバムが起点となるらしい。
オリジナルが発売されて50周年記念という売り方だった。
2017年 Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band (1967)
2018年 The Beatles(White Album)(1968)
2019年 Abbey Road(1969)
が、2020年に出るはずのアルバムが翌年に繰り越された。コロナのせい?
Disney+の配信ドキュメンタリー「Get Back」編集のためだろう。
2021年 Let It Be (1970)
2022年 Revolver (1966)
そう来たか。1963〜1965年の6枚のアルバムのリミックスはどうなる?
そしてYellow Submarine、 Magical Mystery Tourは?
という期待は裏切られた。
集金マシンと化したアップルとユニヴァーサルはベスト盤を選んだ。
2023年 The Beatles 1962-1966 1967-1970(青盤・赤盤)(1973)
2024年はリミックス盤発売はなし。
Disney+の配信ドキュメンタリー「Beatles'64」を優先したらしい。
そして2025年。
「Rubber Soul」発売60周年記念ですよ。
ビートルズの転換期、Revolverへの布石ともなる名曲ぞろいの名盤。
にもかかわらずオリジナル盤は左右泣き別れの残念なミックス。
これはリミックスして欲しい。いや、やるでしょ。
今年は「Rubber Soul」。ファンの多くがそう期待してたはず。
できれば「Help!」も一緒にリミックスしてくれ〜。
と思いつつ、もう8月下旬。2025年もあと4ヶ月。
本当に出るんだろうか・・・・
<「Anthology 2025」の発表>
はい。また裏切られました。
今年はAnthology 2025リミックス。
考えてみたらAnthologyも1995-1996年の発表。
もう30年も経っているのだ。その間リマスターもされていない。
(配信の音源はリマスターされているらしい)
21日(英国時間)、「Anthology 2025」のプロモ映像が公開された。
1995-1996年のAnthologyプロジェクトの最新リメイク版であり、音源・映像
・本など一連の商品が発売される。
The Beatles – Anthology 2025 (The music, the book, the series)
<1995年に発売された「Anthology」とは>
スタジオのアウトテイクや別ヴァージョン、未発表曲、ライヴなどを年代順に収録
した2枚組CD×3巻のビートルズのレア音源集。(1995年〜1996年発売)
ビートルズのプロデューサーだったジョージ・マーティンがEMIに保管されていた
録音テープや外部の音源をすべて聴き、選りすぐりの音源を丁寧に編集している。
海賊盤でも聴けなかった驚くようなアウトテイクが満載で、ビートルズがいろいろ
なアレンジを試して曲を完成していく様子が楽しめた。
またジョン・レノンが自宅でカセットテープに録音したデモ音源を元に、ポール、
ジョージ、リンゴが新たに歌と演奏を加え完成させた新曲「Free As A Bird」
と「Real Love」も収録された。
(「Free As A Bird」は全米トップ10入りし、グラミー賞部門賞を受賞した)
ドキュメンタリー・シリーズもTV放送され、10時間に及ぶDVDも発売された。
「Free As A Bird」「Real Love」のメイキング映像も含まれている。
<「Anthology 2025」の”売り”と新しい技術>
1)音源のデジタルリマスター
(アナログ音源をデジタル化し、ノイズ除去、音のバランス調整、音圧の最適化
を行い、よりクリアで迫力ある音に蘇らせる)
2)AIを駆使した音源のリミックス
(AIに特定の声、演奏を学習させ、従来はできなかった混濁した音源テープから、
鮮明な音の分離を行う。
ドキュメンタリー映画「Get Back」の撮影用音声テープ(ナグラ)から4人の
声や楽器を独立して取り出すことに成功。
Revolver 2022リミックス、青盤・赤盤2023リミックスで応用された)
3)新たに未発表音源集「Anthology 4」が追加。
(1995-1996年のAnthologyで発表されなかったアウトテイクやレア音源)
2枚組CD×4巻(3枚組LP×4巻)ボックス入りで11月21日に発売される。
4) AIリミックスで2024年に完成させたジョンの遺作「Now And Then」収録。
「Free As A Bird」「Real Love」もAIでよりクリアな音になった。
5)映像のレストア(修復)とデジタルリマスター
(アナログ素材をスキャンし、ノイズ除去や色調補正、高画質化を行う)
6)AIを駆使した映像作品の音源のリミックス
(配信ドキュメンタリー映画「Get Back」「Beatles'64」で使用された)
7)「Get Back」「Beatles'64」に倣いドキュメンタリー映像がディズニー
+で11月26日から配信される。
(8章構成だったドキュメンタリーシリーズに新たな”エピソード9″を追加。
ポール、ジョージ、リンゴの3人がビートルズ時代を振り返る舞台裏映像との
ことだが、これはDVD化された際のボーナストラックと同じ内容では?)
<「Anthology 2025」は買いか?(1)Free As A Bird 2025>
個人的にはFree As A Birdは好きだけど、Real LoveとNow And Then
は好きではない。
AIリミックスが施されたFree As A Bird 2025は聴く価値ありか?
Free As A Bird 2025の先行配信が21日(英国時間)に始まった。
YouTubeのイイネは凄まじい勢いで増えていく。
Free As A Bird (2025 Mix)
劇的に印象が変わった!
ジョンの声の「加工された感」がなくなって生々しい。
ポールとジョージの声も同様。
加工したジョンの声に馴染ませるため濁らせる必要がなくなったのだ。
AIリミックス恐るべし!
ポールとジョージのアコギの音もクリア。
左右それぞれから聴こえるストラミングのクセもよく分かる。
スネアやギターのフランジャーなど、ジェフ・リン臭さが無くなった。
ドラムス、5弦ベースの低音が後退して迫力不足なのは残念。
一方、ジョージが歌う2回目のブリッジ(サビ)〜間奏のスライドギターへの
流れは、オリジナルの方がきれい。
その間奏の間、ポールとジョージのAh....のコーラスが入るのだが、オリジ
ナルでAh⤵︎と下降ラインが入ってたのが、2025Mixでは聴こえなくなった。
これも残念。
それとジェフ・リン臭がよかったのに、という人もいるだろう。
全体としてのリアル感は2025版に軍配が上がる。
しかし最初のオリジナルが不完全ヴァージョンというわけではない。
1995年の時点では、あの音がリアルタイムで聴いたビートルズだったのだ。
30年前の発売日の朝、待ちきれなくて開店した銀座の山野楽器に行ったが、
まだ入荷していないとのこと。
青山で1件、仕事を済ませて渋谷のHMVに行くと・・・入荷していた。
購入したばかりのAnthology1をCDウォークマンで聴いた。
あの時、Free As A Birdを聴いて胸が熱くなった感激は忘れられない。
ビートルズが解散して25年後に「新曲」を聴けるなんて(涙
Free As A Bird 1995オリジナル(映像は4Kレストア版)
↑実に手の込んだプロモ・ビデオだ。
ビートルズの曲ゆかりのエピソードを全編にコラージュしている。
インド象はリンゴのリクエストだったという。
ジョージは最後のウクレレ奏者としての出演を申し出たが「現在のビートルズ
は出したくない」とディレクターは断ったらしい。
「ウクレレがジョージ本人の演奏だと知らなかった。(ジョージが他界した)
今となっては悔やまれる」と彼は言っていた。
<「Anthology 2025」は買いか?(1)Anthology 4>
Anthology 2025 1〜3は1995年のジョージ・マーティン編集そのままで
手を加えず、デジタルリマスターで音質を向上させてるだけ。
当時はレア音源に驚き喜んだけど、マーティン卿の創作が加わっている点、
ライヴなどのパフォーマンスが細切れな点が残念だった。
そこを改善して欲しかったが、マーティン卿の意図を尊重し、1〜3は手を加え
ずそのまま、ということだろう。
では、新しく追加されるAnthology 4はどんな内容なのか?
★は初登場音源。
Disc 7 Anthology 4
1.I Saw Her Standing There(Take 2)★
2.Money(That's What I Want)(RM7 undubbed)★
3.This Boy(Takes 12 and 13)
4.Tell Me Why(Takes 4 and 5)★
5.If I Fell(Take 11)★
6.Matchbox(Take 1)★
7.Every Little Thing(Takes 6 and 7)★
8.I Need You(Take 1)★
9.I've Just Seen A Face(Take 3)★
10.In My Life(Take 1)★
11.Nowhere Man(First version - Take 2)★
12.Got To Get You Into My Life(2nd.ver.-unnumbered mix)
13.Love You To(Take 7)
14.Strawberry Fields Forever(Take 26)
15.She's Leaving Home(Take 1-instrumental)
16.Baby, You're A Rich Man(Takes 11 and 12)★
17.All You Need Is Love(Rehearsal for BBC broadcast)★
18.The Fool On The Hill(Take 5 - Instrumental)★
19.I Am The Walrus(Take19-strings,brass,overdub)★
1.は海賊盤でも聴ける荒削りな初期テイク。
I Saw Her Standing There (Take 2) [Anthology 4]
2.RM7って何だろう?
3.はFree As A Birdのシングル(1995)に収録されていた。
1.〜11.は初登場音源。
12〜15.はRevolver、Sgt.Peppersのリミックスに収録済み。
16〜19.は初登場音源だがオケだけとか、聴いても面白くなさそう。
Disc 8 Anthology 4
1.Hey Bulldog(Take 4 - instrumental)
2.Good Night(Take10 w/a guitar from Take 5)
3.While My Guitar Gently Weeps(3rd.Version-Take 27)
4.(You're So Square)Baby I Don't Care(Studio jam)
5.Helter Skelter(Second version - Take 17)2018
6.I Will(Take 29)2018
7.Can You Take Me Back?(Take 1)
8.Julia(Two rehearsals)
9.Get Back(Take 8)
10.Octopus's Garden(Rehearsal)
11.Don't Let Me Down(First rooftop performance)
12.You Never Give Me Your Money(Take 36)
13.Here Comes The Sun(Take 9)
14.Something(Take 39 - instrumental-strings only)
15.Free As A Bird(2025 mix)★
16.Real Love(2025 mix)★
17.Now And Then (2024 mix)
1〜14.はWhite Album、Abbey Roadのリミックスに収録済み。
15〜17.は新しいAIリミックス。
結論)目新しいのはDisc 7の11曲目までくらいだろう。
その11曲も今後、1963〜1964年のアルバムがリミックスされれば、
それらのデラックス、あるいはスーパーデラックス盤に収録されるはず。
Free As A Bird(2025 mix)のためだけに買うのね、という感じ。
(ちなみにFree As A BirdとReal LoveはシングルCDも発売される)
ということで、僕は見送るつもりです。ディズニー+も見ません。
「Rubber Soul」その他のリミックス、心待ちです。