2024年3月3日日曜日

高騰し続ける来日公演チケット代(2)1970〜2000年の推移



↑1971年7月17日グランドファンク・レイルロード(GFR)初来日公演。
伝説となった雨の後楽園球場。3万5000人の観客が熱狂に包まれた。

同年8月6日には初来日したピンクフロイドが箱根アフロディーテの
屋外ライヴに出演。




9月23・24日にはレッド・ツェッペリンが初来日公演を行う。
衝撃のライブ演奏力、滞在中の破天荒な狼藉ぶりも話題となった。




3つのバンドは伝説として語り継がれ、1971年は日本のロック元年
も言われる。

特にツェッペリンの日本滞在は黒船来航のような騒ぎだった。
ビートルズ来日以来の事件だろう。



↑皇居前で撮影中のプラントとペイジ。嬉しそうなボンゾも左にいる。


1971年6月シカゴ来日公演こそ日本のロック元年とする音楽関係者も
いる。(コンサートの模様は全国でTV放送された)
しかし、日本のロック・シーンに与えた影響力、後々まで語り草に
なっているか否かを鑑みると、シカゴは除外していいと思う。




<1970年代の大物アーティスト来日公演・チケット代>

It was 50 years Today. 昔々の大昔、50年も前の1970年代の話。
英米の大物ロックバンドの来日公演が2000〜3000円で観れるという、
嘘みたいな時代があった。



1971年GFR初来日(後楽園)A席 2300円、B席 1700円、C席 1000円





1971年ピンクフロイド初来日 (箱根アフロディーテ)自由席2000円







↓ピンクフロイドの初来日公演「箱根アフロディーテ1971」映像。
https://youtu.be/3jPv_0X6YVg?si=-0O8PaK0-JncWIBy




1971年 レッド・ツェッペリン初来日(武道館)S席 2700円
A席 2300円、B席 2000円、C席 1500円







↓レッド・ツェッペリン1971年9月23日、初日公演が観れます。
https://youtu.be/NSUvCr0U7eY?si=9fySGp82_l_3hhsZ



1972年 レッド・ツェッペリン(武道館)S席 3000円、A席 2500円、
B席 2000円、C席 1500円






1972年 ディープパープル初来日(武道館)S席 2700円、A席 2200円、
B席 1600円




↓ディープパープル初来日公演(大阪厚生年金会館)が観れます。
ライヴ盤として発売され名盤の誉れ高い。
https://youtu.be/7zKAS7XOWaQ?si=QNRUGnGjI1TG0EoF




1973年 ディープパープル(武道館)S席 3000円、A席 2500円、
B席 1900円、C席 1500円



↑アンコールなしの不満から暴動へ。翌日の公演は中止となった。
日本公演後イアン・ギランはリッチーとの不仲により脱退。




1972年 ELP初来日(後楽園球場)A席 2300円、B席 1700円、C席 1000円

1973年 BB&A初来日(武道館)S席 3000円、A席 2500円、B席 2000円、
C席 1500円



↑BB&Aの知名度が低かったせいかジェフ・ベック・グループと記載。
大阪厚生年金会館での公演はライヴ盤になった。



1974年 サンタナ初来日(武道館)S席 3000円、A席 2600円、B席 2100円、
C席 1600円

1975年 クイーン初来日(武道館)QS席 3500円、S席 3000円、A席 2700円、
B席 2300円、C席 1600円



↑東京プリンスホテルの庭園にて。



1976年 ドゥービー・ブラザーズ初来日(武道館)S席 3000円、A席 2500円
B席 2500円、C席 2000円

1976年 イーグルス初来(武道館)S席 2700円、1F自由席 1700円(!)
(Hotel California前。ドゥービーより格下だったのか?)






1978年 ジェフ・ベック&スタンリー・クラーク(武道館)S席 3800円
A席 3000円、B席 2500円、C席 2000円
2人の息の合ったバトル? 圧倒的されるくらい凄い演奏だった。






1979年 ドゥービー・ブラザーズ(武道館)S席 3000円、A席 2800円、
B席 2500円、C席 1800円
バクスター、マクドナルド加入直後の一番おいしい時期。最高だった。





↓1979年 ドゥービー・ブラザーズ公演(武道館)が観れます(画質低)
https://youtu.be/ZycfeQiGtKk?si=zIvAgY900ZD57z3R




1979年 リンダ・ロンシュタット(武道館)S席 3000円、A席 2500円
最前列で見た。まさしくロックの女王!





1979年  イーグルス(武道館)S席 3800円、A席 3000円
Hotel Californiaで開幕。メンバーの不仲でまとまりが悪かった。


この頃からB席とC席がなくなり、S席とA席だけになった




<1980年代の大物アーティスト来日公演・チケット代>





1980年 ウィングス公演(武道館)S席 4500円 ポール逮捕で中止。 
ウィングス4500円は今思えば安い。払い戻しになった(涙




↑ポールの腕を掴んでる右側の刑事の方がよっぽどヤバそう(笑



1982年 サイモン&ガーファンクル再結成(後楽園)S席 5000円
ソニーの冠提供のためこれでもチケット代は少し抑えられている。


1984年 デュラン・デュラン(武道館)S席 3900円
チケットが入手できなかったが、某局のおかげでいい席で観られた。


1987年マドンナ初来日(後楽園球場)S席6500円、A席5000円



↑大阪
球場のチケット。後楽園球場は緑色だった。





↓1987年マドンナ後楽園球場コンサートが観れます。
(マドンナは絶頂期。思ってた以上にいいパフォーマンスだった)
https://youtu.be/XH0ZuGreoZk?si=YcD6tAsnSza-J8VP



1987年マイケル・ジャクソン初来日(後楽園)S席6500円、A席5000円



6500円を付けたのはマドンナ、マイケル・ジャクソンが最初だった。



1988年 ホイットニー・ヒューストン(武道館) S席6500円

ホイットニーは2枚のアルバムが全米1位を獲得していたが、伝説のスーパ
ーボウル国歌斉唱や「ボディーガード」でグラミー賞を獲得する前。
武道館のステージも大したことない。高すぎだったと思う。でも満席。



※この頃からチケットぴあ(1984年開始)の味気ない発券になる。




<1990年代、1万円台になった来日公演・チケット代>

1990年早々、2月にローリングストーンズ、3月にポール・マッカートニー
の初来日と超大物が立て続けに来日した。






ローリングストーンズ(東京ドーム)S席 10000円
ついにチケ代1万円の大台に乗った。
来日が実現しただけで奇跡。バブルの勢いもあって高額とは感じなかった。
ステージも大がかりで価格に見合うコンサートだったと思う。





↓1990年ストーンズ初来日、東京ドーム公演が観れます。
https://youtu.be/i2r_ab4eck4?si=GseHZJ4qh2b4IWKh




翌月のポール・マッカートニー(東京ドーム)S席 7000円 A席 5000円 
実はストーンズよりもだいぶ安い価格設定だったのだ。
アリーナ中央、前から8列目でポールを観れたのは感動ものだった。





チケ代「1万超え」時代の先例をつけたのはストーンズである。
世界的にみても、最前列を超高額設定にしたりオークションでの高額転売
いう悪しき慣習を最初に作ったのはマドンナとストーンズと言われている。
(本人たちの望むところではなかっただろうが)

裏を返せば、当時のマドンナやマイケルがいかにスーパースターだったか
ということがよく分かる。


ストーンズについては「レジェンドを見る」ことが目的で、曲を知らない、
CDも買ったことがない人まで「乗り遅れたくない」と群がった。
女性をくどくためにチケットを押さえる輩まで現れた。これもバブルか。





ヴァージン・レコードのA&Rがストーンズはコンサートは争奪戦になるが、
CDの売り上げに結びつかないと嘆いていた。





<エリック・クラプトンの来日公演・チケット代推移>

違った観点から、一人のアーティストの来日公演のチケット代の推移を
追ってみよう。

50年間で23回も来日しているエリック・クラプトンだ。
ECにとっても、日本武道館は特別な思い入れがあるという。


1974年(武道館)S席 3500円、A席 3000円、B席 2500円、C席 2000円
パティ夫人とともに初来日。泥酔して会場入りしたらしい。
ギターの神様を期待したファンはレイドバックしたECに失望したとか。




↑ブロックごとにチケットが色分けされていた。



1975年(武道館)S席 3000円、A席 2700円、B席 2300円、C席 1800円
少し値下げしたのはなぜだろう?

1977年(武道館)S席 3000円、A席 2800円、B席 2300円、C席 1800円






1979年(武道館)S席 3800円、A席 3000円、B席 2500円、C席 2000円
枯れたストラト・サウンドで観客を魅了。4度目の来日にして最高の出来
ライヴ盤「Just One Night」として発売された。





1981年(武道館)S席 3900円、A席 3000円、B席 2500円

1985年(国立代々木競技場)S席 4500円、A席 3500円



↑ハムバッカー搭載のテレキャスターを弾いてる珍しい写真。
でも当日は黒のストラト(ブラッキー)だった。
10/6は午後3時開演。オリンピックプールは外光が入り客席が明るすぎ。
ステージに対して奥行きがあり、後方席は見えなかったらしい。


1987年(武道館)S席 5000円、A席 4500円 前座はロバート・クレイ

1988年(東京ドーム)S席 7000円、A席 5000円
エルトン・ジョン、マーク・ノップラーと共演。


1990年(武道館)S席 6500円 Journey Man Tour


↑黒のストラトはレースセンサーPUのECシグネチャーモデル。
ストラップはJ.P.ゴルチェ。



1991年(東京ドーム)S席 9000円、A席 8000円、B席 7000円
(横浜アリーナはS席 10000円)ジョージ・ハリソンと一緒に来日
横浜アリーナの方がいい席が取れたし見やすかった。





1993年(武道館)S席 8000円、A席 6500円 前半Unpluggedセッ
↑アリーナ中央5列目で観た!

1995年(武道館)S席 8000円、A席 6500円 Nothing But The Blues Tour
全曲ブルースの渋いセットリスト。ドラムはスティーヴ・ガット。
↑アリーナ中央2列目で観た!プラグインの音や会話まで聴こえる。
ちなみにクラプトンの黒Tシャツはアルマーニの3枚パックらしい。





Unplugged、Tears In Heavenのヒットで女性ファンが増える。
この頃からいい席が確保できなくなった。。。


1997年(武道館)S席 8500円、A席 7500円 Change The World Tour

1999年(武道館)S席 9000円、A席 8000円



2001年(武道館)S席 9000円 A席 8000円




↓2001年12月4日、クラプトンの武道館での演奏が観られます。
https://youtu.be/3FE70D5mRp0?si=MMlTS8556KXLj9NM



2003年(武道館)S席 9000円 A席 8000円

2006年(武道館)S席 9450円 A席 8400円

2009年(武道館)S席 11000円、A席 10000円、 B席 9000円
(さいたまスーパーアリーナはS席17000円、ジェフベックと共演)
クラプトンもついに1万円台に!




2011年(武道館)S席 12000円、 A席 11000円 
スティーヴ・ウィンウッドと共演


2014年(武道館)S席 12000円、A席 11000円 来日40周年

2016年(武道館)S席 13500円、A席 12,000円

2019年(武道館)S席 15000円 A席:14000円





2023年(武道館)S席 20000円、A席(2F後方)19000円、 
ステージサイド(斜め後方)と2F立見席 19000円
武道館でのライヴは通算102回に到達。チケット代は2万円になった。





クラプトンはステージは大袈裟な仕掛けも演出もない。いい演奏だけ。
ウドーの努力もあってチケット代はいままで極力、抑えられてきた

そんなチケット代の優等生ともいえるクラプトン(笑
S席3000〜3500円から始まり半世紀を経て2万円台に。なんか感慨深い。

ワールドツアーをやめた後、78歳になっても日本には来てくれる。
レジェンドを2万円で観れる我々は幸せな国民かもしれない。

(続く)


<参考資料:MUSIC LIFE CLUB、TAP the POP、ウドー音楽事務所、
芽瑠璃堂 犬伏功のAnother Tricky Day、otonano 日本武道館列伝、
ニッポン放送NEWS ONLINE、昭和画報 20年間の来日公演年表1965-1985、
Remy's Cafe♪ ロック黄金期 初来日リスト、報知新聞、時事通信社、他>

2 件のコメント:

縞梟 さんのコメント...

こんにちは。

スマホは便利ですけど、著作権的な意味で色々と厄介な代物になりましたね(苦笑)

物価上昇率を考えると70年代の3,000円は決して安くないと思いますが
チケットが1万円の大台に乗ったのは1990年のストーンズだったんですね。
年度が興味深いですが、1990年はバブル絶頂期だったので、興行側も観客も演者も
金銭的な感覚がマヒしていた時期だったんでしょうね。
当時は確かに生きる伝説という感じでチケット争奪戦も起こり、高額とは感じませんでしたが
私はドームの遥か後ろで豆粒みたいなメンバーの横の大モニターでストーンズを観るという状況で
これならテレビで見ているのと同じじゃんと思い馬鹿らしくなって
デブで禿げたおっさんに変わり果てた懐メロバンドの小遣い稼ぎな
大ホールのライヴはほとんどいかなくなり、演者に近いライヴハウスにシフトしました。
(個人的にはブルーノートの1万円ならどこで見ても満足>あの柱の横はやだけど(笑)

チケットの高騰化問題で印象に残っているのは天井知らずで高騰化する
ストーンズのチケット問題で交渉が決裂し、来日公演の仕切りを
UDOが撤退したことがありました。
最近はやや持ち直したとはいえソフト物販が低迷しているもののライヴ興行は好調で、
低迷するソフト売り上げの穴埋めに猫も杓子もチケット価格が当たり前のように
1990年のストーンズ初来日と同価格に横並びなのはなんともです。
音楽は金持ちも貧乏人も老若男女が平等に楽しめることが良いことだと思っていましたが、
最近のエンタメは裕福な者が優先的に楽しめるような変な流れになっていることを危惧しております。

例えばスウィフトさんのコンサートチケット代は中高生が親に参考書買うと嘘をついて
小遣いの足しにして行ける価格帯ではなくなり、次世代のエンタメを担う
若い世代が生スウィフトを体験できない損失。
(ちなみに私の外タレ初体験は中学の時(1979年)、UFOの中野サンプラザで
2,000円ぐらいでしたがそれでも小遣い+参考書代で工面しました)

クラプトンの2万円の半分が古き良き時代のノスタルジー代だと仮定すると
今の若い人にとっちゃ迷惑料ですね(笑)

先日、メッシ要するマイアミFCのチケットがあまりに高額で国立はガラガラでしたが
外国人コンプレックスの強い日本人をカモにした小遣い稼ぎで安易な気分でやってくる
有名外国人による外貨獲得ツアーが痛い目を合う日も近いかもしれません。

イエロードッグ さんのコメント...

>縞梟さん

縞梟さんのコメントはちょっと面倒です。量も半端ない。
何と返していいものやら。。。毎回、悩みます。

なぜ他人のブログで自分の知識や嗜好を語りたがるのだろう?
不思議に思ってました。

何か返すとまたすぐ食いついて(失礼)来ますよね。
私はコメントの応酬、チャット状態は望んでいません。
というか、正直ゲンナリしています。

誠に心苦しいのですが、今後コメントはご遠慮ください。
勝手ですが、私のブログですので。どうかご理解を。

記事の転載を快く承諾してくださった件は感謝してます。
その節はお世話になりました。

本コメントへのご返答は無用です。ではお元気で。