2015年10月20日火曜日

あなたの心の隣にいる白雪姫(1)

寒くなってくると天地真理の「想い出のセレナーデ」を思い出すことがある。
この曲が流行ってた頃、ガールフレンドと別れた友人が涙ぐみながら口ずさんで
いて、こいつにも純な所があるんだなあと妙に感動したものだ。

「想い出のセレナーデ」は11枚目のシングル(1974年9月発売)だった。
この曲を最後に天地真理はベスト10から消えて行く。







彼女のヒット曲の大半を手がけた森田公一の作曲で、ヴァースの「今もそうよ〜
聞こえてく〜る〜の〜」やコーラス(サビ)の「あなたのもと〜へいそいそと〜
季節の花〜をかかえては 訪ねたの〜あれは〜まるで 遠い〜夢の〜ようね〜」は
いかにもの森田公一節だ。(1)

個人的にはヴァース4小節目・3拍の裏から入る(「二人言った〜さよな〜らが」
の後)エレピのフィル、ファレドシ♭〜が好きだったりする。
この経過音のおかげでDm → B♭のつなぎがとてもきれいに聴こえるのだ。



天地真理はデビュー曲「水色の恋」(1971年10月)が43万枚を超えるヒット。
その後も飛ぶ鳥落とす勢いでヒットを飛ばしオリコン連続1位を達成。
翌1972年には日本歌謡大賞放送音楽賞、日本レコード大賞大衆賞を受賞。
NHK紅白歌合戦には3回連続出場。(出典:Wikipedia)

真理ちゃんスマイル(2)が 人々の心を掴み一躍国民的アイドルになった。

ブロマイド年間売上枚数は女性部門でトップ。
女子高生たちはこぞって真理ちゃんカット(3)を真似したものだ。
テレビで冠番組の「真理ちゃんシリーズ」(4)が放送され、文房具や玩具などキャラ
クターグッズ、さらにブリヂストンからは「ドレミまりちゃん」という自転車まで
発売される一大ブームだったのである。







歌ってる時に「真理ちゃ〜ん」と合の手を入れる親衛隊も彼女が最初だと思う。
アイドルお約束の振り付けも天地真理から始まった。

振り付け師の三浦亨氏によると、「恋する夏の日」は女の子にジュリーの真似を
させる発想で作った振付だが、あまりにも彼女のノリが悪くステップが出来ない
ためディスコで訓練したそうである。(出典:TBS「マツコの知らない世界」)



天地真理のデビュー時のキャチフレーズは「あなたの心の隣にいるソニーの白雪姫」。


かつての白雪姫は現在は川崎市の高齢者向け住宅で暮らしている。
まだ年金が支給されず、月の家賃14万円、食費4万円はファンクラブの人が出してく
れているそうだ。(持つべきものはファンですね)
その他に渡辺音楽出版との契約で3カ月に1回、5万円が振り込まれるらしい。

19歳でデビューしてすぐブレークし月給300万円(5)もらっていたそうで、
その頃からの浪費癖でお金が残らないのだとか。(出典:週刊新潮)


華やかな芸能生活は白雪姫の毒リンゴだったということでしょうか。

(1)森田公一節
同じ音程の8分音符が続いた後のこぶしの効いた抑揚あるメロディーが特徴だ。
「恋する夏の日」のヴァース「あなた〜を待つ〜の〜テニ〜スコート〜木立の中
残〜る白い朝もや〜」やコーラス「今〜年の夏忘れない〜こ〜ころに秘めいつまで
〜も〜二人の夏よ〜消〜えないでねどうかず〜っと〜」も典型的だ。
ついでに挙げると「虹をわたって」のコーラス「あなたのも・と・へ♫」。
「ちいさな恋」の「たまに会えない日〜もあるけれど〜それでも私は待〜っている」。
「ふたりの日曜日」の「ゆれ〜てゆ〜くの〜」と「私の瞳を見れば〜」。
「ひとりじゃないの」の「い〜つまで〜も〜ど〜こまでも」も森田公一っぽい。
僕はこういう独特の節回しって作曲家の個性ですごくいいと思う。


(2)真理ちゃんスマイル
楽屋では不機嫌そうな顔で煙草をふかしている、と週刊誌に叩かれたこともあった。
ずっと笑顔でいなければならないというのもプレッシャーだったと思う。
(渡辺プロダクションは所属女性タレントの喫煙は当時ご法度で、カメラを向けると
あわててもみ消す人も多かったらしい)


(3)真理ちゃんカット
トップからサイドはカールさせたショートで襟足だけ伸ばして大きくカールさせる。
ウルフカット、狼カットと呼ばれることもあり1972〜1973年頃人気があった。
(現在のウルフカットはパーマをかけずトップを盛り上げサイド、バックはシャギー)


(4)「真理ちゃんシリーズ」
TBS系列で毎週木曜日19:00-19:30に放送された天地真理の冠番組。
『真理ちゃんとデイト』(1972年10月5日-1973年3月29日)
『となりの真理ちゃん』(1973年4月5日-9月27日)
『とび出せ!真理ちゃん』(1973年10月4日-1974年3月28日)
『アタック真理ちゃん!』(1974年4月4日-9月26日)
『はばたけ!真理ちゃん』(1974年10月3日-1975年3月27日)の5シリーズ。
内容はおもに人形たちとともに天地が童話等を題材とした小歌劇を演ずるというもの。
当時の低年齢層視聴者の人気を独り占めにした。(出典:Wikipedia)


(5)月給300万円
国鉄の初乗り運賃が30円(現在は140円)、コーヒー代が100〜130円だった時代だ
から今の感覚だと月給1500万円くらいもらってたことになる。
また週刊新潮のインタビューで「渋谷区松濤に6000万円のマンションを買った」と
言ってるが、今の価格だと2億円以上の超高級物件だったようだ。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

真理ちゃん。LP、CD、買いました。楽曲のレベル高いですよね。一曲ごとにドラマになってるんですよね。絶頂期「初めてよ」二人で港に来て、やがて別れがくる。アイドルの寿命は数年と読んだスタッフの思いなんですかね。

くもと です

イエロードッグ さんのコメント...

>くもとさん

おおっ、LPも買ったんですか!(^_^)
僕はテレビで見てるだけだったのでシングルA面しか知らないのですが、
きっとB面やLPに隠れた名曲があったのでしょうね。
僕は「水色の恋」の路線で息の長いフォークシンガーでいて欲しかったです。
次回はその辺のこともエピソードやレア音源と一緒に紹介しますね。