2015年12月1日火曜日

ビートルズ「+1」がやって来た!<CD全曲レビュー3>

19. Hello, Goodbye
ポールのボーカルとベースがセンター、ドラムとピアノとパーカションは左、
ギターとストリングス、掛け合いのコーラスは右という定位は大きく変わらず。
ただしドラムはセンターでどっしりかまえるようになった。
そのおかげで中間部のWhy why…と後半のHela heba helloでのドッスンバッタン
が迫力が増した。
中間でのポールのWhy why ….do you say goodbyeが右よりから左寄りへ。





20. Lady Madonna
左のピアノとリンゴのドラム(ブラシ)に続いて右にドラムとベース、ギター。
ボーカルとコーラスとサックスはセンターという定位は同じ。
しかし左右が遠くから鳴ってた感じが音圧が上がったせいか近くに聴こえる。

中間部のPa pa pa pa〜はセンターだったのがやや左右に振り分けられた。


21. Hey Jude
ほとんど変化なし。ポールのボーカルなのにピアノは右。
弾きながら歌ってるんだよね?どうも違和感があるなあ。
コーラスもタンバリンもセンター。ドラムはセンター〜やや左寄り。

ベースはセンター。
(プロモ・ビデオではジョージがフェンダーの6弦ベースを弾いているが、
レコーディングではポールがベースを弾いている。たぶんジャズベースだろう)

ジョンのギターが左なのは同じだが今回のミックスではより大きく聴こえる。
プロモ・ビデオではEpiphone Casinoを弾いてるので、この鳴りの悪さは
Casinoをプラグインせずマイクで拾ったのか?(センターブロックがない
完全なホローボディー構造なので生でもけっこう鳴る)と思いがちだ。

しかしトライデント・スタジオでの録音を撮影したフィルムにも写っている
ように、ジョンは塗装を剥がしたGibson J-160E を弾いている。
鳴りが悪いのは、トライデント・スタジオで録音したテープをアビーロードに
持ち帰ったところ機材の違いから音質が劣化した(イコライジング処理で
事なきを得たというが)せいかもしれない。


終盤のブラスがセンターだったのが左寄りになったのが唯一の変化か。
後半のポールのシャウト、I wanna na na na〜Make it Jude(カッコイイ!)
とジョンのPain won't come back, Judeもセンターのまま。

最後のWell, then I na〜のでフェイドアウトが早いのも改善されなかった。
(モノラル盤ではこの後リンゴの表情豊かなドラミングが楽しめるのに)





22. Get Back
これは王道のミックスだから基本的に変える必要なし。
センターでベースを弾きながら歌うポール。
左にジョンのギター、右にジョージのギター。
複数のマイクで拾ったドラムはセンターから左右に広がりステレオ感あり。
ビリー・プレストンのフェンダー・ローズはセンター。

が、音量配分が変わったように思う。
左右のギター、フェンダー・ローズが迫ってくるようになったがリンゴの
ドラムが後退したようで残念だ。

グリン・ジョーンズがミックスしたシングル・ヴァージョンである。
一度演奏が終わる2:30辺りの話し声は今回もしっかり聴こえた。
ちなみにブレイクする前の演奏は1月27日の録音、ブレイク後のOohで始まる
アドリブ部分は1月28日演奏。2つのテイクをつなげているのだ。
曲が固まってくるとテンポもドライブ感も揺らぎないのはさすがである。



23. The Ballad of John & Yoko
変化なし。
この曲はジョンとポールの二人だけで短時間で録音された。
ジョンがボーカル、アコースティックギター、リードギター(2回)、マラカス。
ポールがセカンド・ボーカル、ベース、ピアノ、そしてドラム。

センターにボーカル、アコースティックギター、ベース。
ドラムはセンターから右に定位。マラカスと何かを叩く音が左。
ジョンが弾くオブリが左右で交互になる。ピアノが右。

エンディングのドラムがなぜか右だけで音が小さいのも変わらなかった。
1969年のシングル盤は真ん中でバスドラがドスンと迫力あったのに。
ポールのベースが重く響くのがいい。




24. Something
左にギターとキーボード。右にベース。
センターにボーカル、リード、ストリングスという定位はそのまま。

音の分離がよくなりそれぞれの楽器の輪郭がはっきりした。
ポールのメロディックなベースラインは右チャンネルを独占する価値あり。
左から聴こえるジョージのコード・プレイはフェンダー・テレキャスターの
オールローズをレスリーの回転スピーカーから流した音。

サビの前のオブリの前に小さく別なオブリが聴こえる。
少なくと2回弾いているようだ。
ジェフ・エメリックの話ではジョージの間奏のギターはスライドだそうだ。
1トラックしか空きがなかったためストリングスと一緒に一発で録音した結果
がこの素晴らしいソロである。


25. Come Together
変化なし。
ボーカル、ベースがセンター。ドラムはやや右。
歪みを効かせたジョンのギターは左。オルガンが右。
ジョージのリードギター(ツイン)はセンター。

ジョンの声がおとなしくなったような気がするのは気のせい?







26. Let It Be
グリン・ジョーンズがミックスしたシングル・ヴァージョン。エコーが深い。
これは良くなった。

オリジナルはセンターでピアノを弾きながらポールが歌う。
Oohのハーモニーが左から右に動く。ビリー・プレストンのオルガンは左。
ドラムとベースはセンター。
間奏のギターは右。裏でこもったように鳴ってるギターはセンター。
オブリの歪んだギター(アルバム・ヴァージョンではメイン)は右。

2015年版は最初のLet It Be〜からやや左寄りでオルガンが鳴りだす。
Oohのハーモニーはやや右寄り。
ドラムとベースはセンター。
ハイハット、スネア、トップシンバルの音がシャープになった。
躍動感あるベースはポールが後から重ねたものだろう。
映画ではジョンがフェンダーの6弦ベースを弾いてるがこんなに上手く弾けない。
この曲の録音時には既に「重ねない」コンセプトは反故になっていたはずだ。

間奏のギター(右)の間ずっとビリー・プレストンのオルガンが左から攻めて
くるのが実にいい。
センターでポールが変化を付けてコードを刻んでるのもよく聴こえる。
ジョージのソロはオールローズのテレキャスターをレスリーの回転スピーカーから
鳴らしフランジャー的効果を出してるが、その音色も今回は堪能できる。
裏でこもったように鳴ってるギター(センター)は後退。
エンディング近くのジョージのギター(右)も前はごちゃごちゃで何をやってるか
分からなかったが今回はよく聴こえる。

最後のヴァースのMonther Marry(2:58)でのポールのピアノのミスタッチも
ちゃんとそのまま残された。めでたし、めでたし(笑)


27. The Long and Winding Road
定位は変わっていない。
ポールのボーカルとピアノ、リンゴ、ジョンの6弦ベースがセンター。
ジョージのギターは左。オーケストラは左右。

オーケストラの左右の分離が良くなりきれいに広がるようになった。
ストリングス、ブラス、コーラスそえぞれのメロディーラインがくっきり浮かぶ。
ジョンの6下手くそな弦ベースは引っ込み粗が目立たなくなった。

フィル・スペクターの分厚いオーケストレーションに激怒したポールが脱退を決意
したという曰く付きの曲であるが、このアレンジが多くの人々の記憶に残っている
のもまた事実である。これはこれで美しい。

DVDには映画ヴァージョンの4人とビリー・プレストンのシンプルな演奏も収録され
ているので聴き比べてみるといいだろう。

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