2016年1月8日金曜日

また一人ぼっち。やっぱりね。

「アリー my Love」(1)のシーズン1、22話「また独りぼっち(Alone 
Again)」は、結婚式の当日に教会で待ってたのに花婿が現れず深く傷
ついたという女性のエピソードだった。
その晩アリーが働く法律事務所の下にある行きつけのレストラン・バーで
はヴォンダ・シェパード(2)がこの曲を歌っていた。





Alone Again (Naturally)

 (Words and music: Gilbert O'Sullivan 対訳:イエロードッグ)


In a little while from now If I'm not feeling any less sour 
And climbing to the top Will throw myself off
In an effort to make it clear to whoever  
What it's like when you're shattered(3) 
あと少ししてこの辛い気持ちが消えなかっら どうするか決めたんだ
近くのビルの屋上まで上って身を投げてやるって
粉々になっちゃうってどんなことかみんなに分からせるためにね

Left standing in the lurch at a church Where people are saying, 
My God, that's tough She stood him up 
No point in us remaining We may as well go home
As I did on my own Alone again, naturally 
教会に置き去りにされて みんながこう言う
「ああ、大変」「花嫁にすっぽかされた」「残ってても意味ないな」 
「帰った方がよさそうだね」
まるで僕のせいみたい また一人ぼっち やっぱりね


To think that only yesterday I was cheerful, bright and gay 
Looking forward to who wouldn't do The role I was about to play
But as if to knock me down Reality came around 
And without so much as a mere touch Cut me into little pieces
思えばほんの昨日まで 僕は元気で明るく陽気にやってた
僕が演じようとしてる役割が奪い取られるなんて思いもしなかったよ
でもまるで僕を叩きのめすように 現実がやってきて
何の前触れもなく 僕をズタズタに切り裂いたのさ

Leaving me to doubt Talk about, God in His mercy
Oh, if he really does exist 
Why did he desert me In my hour of need
I truly am indeed Alone again, naturally
神とその慈悲について語る意味があるのか考えさせられるよ
ああ、神が本当にいるなら なぜ必要なときに僕を見捨てたの?
僕は本当に本当に また一人ぼっち やっぱりね


It seems to me that there are more hearts broken in the world 
that can't be mended Left unattended
What do we do What do we do
Alone again, naturally 
世界中にはもっと傷ついている人たちがいるんだろうね
癒されることもなく お置いてけぼりにされたまま
僕たちはどうしたらいいのかな どうしたらいいんだろう
また一人ぼっち やっぱりね



「Alone Again (Naturally) 」はアイルランド出身のシンガー・ソング
ライター、ギルバート・オサリバンの曲である。
1972年にリリースされアメリカ、英国、そして日本でもヒットした。
当時ラジオから流れる淡く切ないメロディーに心打たれた方も多いだろう。






実は歌詞の内容は、結婚式の当日に花嫁に逃げられてしまう青年が生まれ
つきの孤独を嘆き投身自殺を心に決める、という悲劇的な展開である。
歌詞の後半では孤独に苛まれて生きてきた青年の過去がが語られるが、
自伝的なストーリーではないとオサリバンは言っている。

「naturally」は「当然のことだ」と訳されてることが多い。
しかしこの「naturally」は「生まれた時から」という意味、つまり「どう
幸せになんてなれっこないんだ」というフィッツジェラルド的な人生への
悲観が込められているように思える。
なので「やっぱりね」と訳した。


何年か前に某生保会社のCMでこの曲が使われていた。
「当社は自殺にも対応します」というブラックジョークなのか?まさか!

こういうふうに歌詞の意味も知ろうとせずに耳当たりのいい曲を使いたがる
CMディレクター、タイアップでタダで曲をかけてもらうことしか考えてない
レコード会社のAOR(宣伝担当)がほとんどである。
また1986年に映画化された「めぞん一刻」の主題歌にもなっているが、
これも「何で?」と思ってしまう。


僕は考えすぎるのかな? また一人ぼっち やっぱりね。

(1)「アリー my Love」
アメリカ・ボストン市にある法律事務所で働く女性弁護士・アリー・マク
ビール(演:キャリスタ・フロックハート)を取り巻く恋愛模様や、法廷
での活躍を描いたドラマ。脚本/番組制作:デビッド・E・ケリー。
アメリカではFOXで1997年〜2002年5シーズンにわたって放送された。
エミー賞やゴールデングローブ賞を受賞している。
日本では1998年よりNHK総合テレビで放送された。


(2)ヴォンダ・シェパード
アメリカのロックシンガー。ジャズ、R&B、ソウルまで守備範囲が広い。
主にピアノを弾きながら歌うスタイルで、ギターやベースも弾く。
テレビ番組「アリー my Love」で劇中の人物たちが立ち寄るバーの専属
シンガーとして登場していた。
歌われたのは主にオールディーズのカバーで、歌詞は番組のエピソードで
アリーが出くわした出来事や彼女の心情にシンクロしている。


(3)What it's like when you're shattered 
歌詞にはタブルミーニングととれる箇所がいくつかある。
throw myself offは「身を投げる」と「今までの自分と決別する」の意味。
shatteredは「体がバラバラになる」と「心が粉々になる」の意味。
Left standing in the lurch at a churchは「教会で窮地に立たされた」で
あるが「教会で一人取り残されたまま立ったていた」ことも表している。
She's stood him upは「彼を立たせた」と「すっぽかした」の両方の意味。
そして前述の「naturally」は「当然」と「生まれつき」の意味を併せている。

4 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

この歌は、街の中でどこからかとも流れてくるのを意味も知らないまま
リズムの軽快さからなんとなく鼻歌で口ずさんだことがありました。
もちろん、ギルバート・オサリバンの方です。
歌詞が言えたのは、Alone again, naturally だけでしたが。
イエロードッグさんの対訳は、自然と心に入ってきて素晴らしいと思います。
ヴォンダ・シェパードのアレンジの優しいギターの音色もいいですね。

イエロードッグ さんのコメント...

>Mary Ppmさん

この曲はよくラジオでも流れてましたね。
日本では哀愁を帯びたやさしいメロディが受けたようですが、英国と
米国では歌詞の内容も共感を呼んだようです。
高校生の頃はそんなこと知らずに聴いてましたけどね。
とても悲しい詩です。英語ならではの表現もあります。
直訳でぎこちなくならないように気をつけました。

実は選曲の中でヴォンダ・シェパードのヴァージョンを聴いて、
この曲もいいのでは?と思ったんですよ。
でも日本人には歌いにくそうですね。
僕はAlone again, naturallyしか歌えない。やっぱりね(笑)

Unknown さんのコメント...

ヴォンダ・シェパードのヴァージョン、やっぱりね(笑)
たぶん、候補曲の1つを上げてくださっているんだと思いました。
知っている曲は、入りやすくていいですよね。
特に若いころ頭に記憶された曲は、自然と取り組めるような気がします。
この英語の歌いまわしに慣れるまでは、時間が必要でしょうが好きな曲です。
候補としては、バッチリです!

イエロードッグ さんのコメント...

>Mary Ppmさん

一応ストライクゾーンってことですね。よかった♫
20曲くらいリアスとアップした中の1つです。
でももう少し歌いやすく料理しやすい曲の方がいいでしょう。
次の投稿では一押し?の曲を取り上げるつもりです。
乞うご期待!