2016年3月4日金曜日

カリフォルニアのDNAをもつ娘たち。

ウィルソン・フィリップスはカーニー・ウィルソン、ウェンディ・ウィルソンの
姉妹とチャイナ・フィリップスによって1990年に結成されたアメリカの女性コー
ラスグループである。

チャイナは1960年代に活躍したママス&パパスのジョン・フィリップスとミシェル
・フィリップスを両親に、カーニーとウェンディはビーチボーイズのブライアン・
ウィルソンを父に持つ。


つまり3人とも西海岸のソフトロックの2世アーティストなのだ。
透き通るように美しく甘いハーモニーは当然かもしれない。


デビューアルバム「Wilson Phillips」は全世界で800万枚のセールスを記録した。

そのジャケットがこちら↓



左手前のショートカットの子がチャイナ、右がウェンディ。
後ろに立ってる太めの子がカーニー。
ママス&パパスの太った女性を思い出す人もいるかもしれないが、あれはキャス
・エリオット。太めの体質はブライアンゆずりではないだろうか。



翌年2枚目のアルバム「Shadow & Lights」を出した後は自然消滅の状態(1)だった
が、2004年には「California」で数年ぶりの復活を遂げた。

そのジャケットがこちら↓


左からウェンディ、カーニー、チャイナ。
カーニーは徹底したダイエットと胃バイパス手術まで受けて、見違えるくらいに
痩せてきれいになった。
チャイナがロングヘアーになったこともあって誰が誰なのか分からなくなる。
メンバーが入れ替わったのか?と思ったほどだ。




「California」では1960年代後期〜1970年代初期に流行ったウエストコースト
ロックのナンバーをカヴァーしている。
彼女たちが幼少期のヒットソングばかりだがどの曲も愛され続けている。
ティーンエイジャーになってからもラジオで聴く機会は多かったはずだ。


この時代の音楽を聴いてた人なら曲目を見ただけで嬉しくなってしまうだろう。

1. You’re No Good(リンダ・ロンシュタット)
2. Old Man(ニール・ヤング)
3. California(ジョニ・ミッチェル)
4. Already Gone(イーグルス)
5. Go Your Own Way(フリートウッドマック)
6. Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season)(バーズ)
7. Monday Monday(ママス&パパス)
8. Get Together(ヤングブラッズ)
9. Doctor My Eyes(ジャクソン・ブラウン)
10. Dance Dance Dance(ビーチボーイズ)
11. In My Room(ビーチボーイズ)
12. Already Gone (Acoustic Demo)(イーグルス)



プロデューサーは前回紹介した元ピーター&ゴードンのピーター・アッシャー。
ピーターはジェイムス・テイラーとリンダ・ロンシュタットにもバディー・ホリー
やモータウン系などのオールディーズをカヴァーさせて成功している。

その方式を取り入れたわけだが「California」ではリンダがカヴァーした時代から
10年後、そしてカリフォルニアにフォーカスされている。


どの曲も清涼感のある美しい3声のハーモニーが広がり、アコースティックギター、
キレのいいトゥワンギーなエレクトリックギター、ほどよくアレンジされたオーケ
ストラが溶け合った心地よいソフトロックに仕上がっている。









3人の娘たちとピーター・アッシャーはどの曲にも最大の敬意を払っている。
オリジナルの清々しさ、時代の空気を損なうことなく現代的な切れ味も加えられた。

チャイナの父ジョン・フィリップス作、マス&パパスの「Monday Monday」では
バングルズ風のバップを取り入れている。
カーニーとウェンディの父であるブライアン・ウィルソンが書いたビーチボーイズ
の「Dance Dance Dance」も今っぽくテンポアップされ楽しくなった。



アルバムはピアノと3声だけによるビーチボーイズの「In My Room」で終わる。
ピアノとサビの歌声はブライアン・ウィルソンだ。

かつてあんなに美しい声で「In My Room」を歌っていたブライアンが低いダミ声
になっているのは複雑だが、歌い終えて「That sounds great! I love you,son(2)
(すごくいいい!みんな大好きだよ)」と言っているのを聴いて嬉しくなった。






↓こちらはビーチボーイズ版「In My Room」



ウィルソン・フィリップスは最近では2012年に「Dedicated」をリリース。
タイトル通りビーチボーイズとママス&パパスのヒット曲の数々をカヴァーした
トリビュート・アルバムになっている。

激やせしたカーニーはリバウンドでまた太った(笑)

<参考資料:Amazon.co.uk、Wikipedia>


(1)カーニー&ウェンディ
カーニーとウェンディは、ビーチボーイズのブライアン・ウィルソンとザ・ハニーズ
のマリリン・ローヴェルの間に出来た娘たち。 
ウェンディはブライアン作曲のビーチボーイズの「Wendy」から命名されたとか。

ウィルソン・フィリップスが自然消滅後、二人はカーニー&ウェンディ・ウィルソン
としてクリスマス・ミニアルバムを(1993年)、1997年にはウィルソンズ名義で
アルバム(父親のブライアンも参加)を1枚出している。

カーニーはソロで2006年に愛娘に捧げる子守唄のアルバムを、2007年にはクリスマ
ス・アルバムを出した。
カーニーはクリスマス・アルバムの制作をチャイナに打診していたのだがボツにな
ったようだ。
しかし2010年にはウィルソン・フィリップスの3人で「Christmas in Harmony」の
発売を実現させている。


(2) I love you,son 
sonは 仲の良い人への呼びかけで自分の子供に対して言っているわけではない。
スラングで「Watz up son」(元気かよ?)みたいな感じで使われる。

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