がギターでいいリフができる度に、壁のキース・リチャーズのポスターに向かってニン
マリして「どうよ、キース?」と自慢するシーンがあった。(1)
キースのリフは独特でクールだ。その曲の「つかみ」になる。
イントロが聴こえてきた瞬間、おっ!あれだ、とすぐ曲が分かる。
そのリフはいかにもキースであり、これぞストーンズであり嬉しくなってしまう。
キースのリフはオープンGまたはオープンEチューニングでのワイルドなコード・カッテ
ィングが基本でハンマリングが効果的に多用される。
この奏法は彼の持ち前の「雑さ」と荒馬のようなテレキャスターの音にぴったりだ。
キースのこの演奏法は「レット・イット・ブリード」(1969年)辺りからだろうか。
アルバム製作中にブライアン・ジョーンズが脱退し後任のミック・テイラーが加入。
1968年11月ロンドンのオリンピック・スタジオで始まったレコーディングは何度も中
断し、翌年10月ハリウッドのワーナー・ブラザーズ・スタジオにまで持ち越された。
レコーディングにはイアン・スチュワート、ニッキー・ホプキンス、ライ・クーダー、
レオン・ラッセル、アル・クーパーらが招かれ演奏している。
当時まだ無名だったライ・クーダーは「虚しき愛」のマンドリンでの演奏がクレジット
されているが、実は彼が貢献したのはそれだけではなかった。
このセッションで録音された(アルバムに収録されず先行シングルとなった)「ホンキ
ー・トンク・ウィメン」のあの有名なリフは実はライのものである。
つまりキースはパクったのだ。→やりそうだよね(笑)
ライ・クーダーがスタジオに入った時ストーンズのメンバーたちはリハーサルはおろか、
曲さえできていない状態で騒いでいるだけでいつになっても始まらなかった。
キースはどこかに消えてしまう。ジャム・セッションでライは持てる全てを披露した。
ライのギターはしっかりテープに録音されていた。
後日ライがスタジオに行くと、数日前に彼が弾いたフレーズをキースがそっくりそのまま
弾いていたのだ。
それを聴いたライは怒ってさっさと帰ってしまう。
彼のとっておきのフレーズやアイディアは「レット・イット・ブリード」でいろいろ
使われたようで、「ホンキー・トンク・ウィメン」のリフもその一つだということだ。
なるほど、確かに。これはライ本人が弾いてると言われたら納得しそうなくらい似てる。
じゃあ、キースの奏法はすべてライ・クーダーの真似かというとそれは違う気がする。
ライ参加の前に録音された「無情の世界」でキースはオープンEチューニングですばらし
いアコースティックギターのリフを弾いている。
それ以前の「ジャンピン・ジャック・フラッシュ」「ストリート・ファイティング・
マン」でも、それぞれオープンE、オープンGで「曲の顔」とも言えるくらいクールな
リフをキースは編み出しているのだ。
何がきっかけだったのかは分からないが、キースがオープンチューニングで開花したのは
「ベガーズ・バンケット」(1968年)セッションからだと僕は思う。
「ホンキー・トンク・ウィメン」は明らかにパクリだが、悪びれずにしっかりいただいち
ゃってそれを自分流に昇華させてしまうところがキースらしいじゃないか。
ギターも女ももらえそうなもんは食っちゃえ〜ってか(笑)
(参考文献:「ジャミング・ウィズ・エドワード」(2)ライナーノーツ/寺田正典氏)
(1)2012年4月から6月までフジテレビ系列の日曜21時枠で放送されたテレビドラマ。
平均視聴率の3.9%はプライムタイムで放送された民放キー4局が過去に放送したドラマ
で最低となり(後に「夫のカノジョ」が平均視聴率3.87%で当番組の記録を下回った)
早々に打ち切られた。
一方で視聴者の番組満足度は高く存続を希望する声も多くあり、視聴率に左右される
テレビドラマの在り方についての話題を呼んだ。
(参考文献:Wikipedia)
(2)1969年「レット・イット・ブリード」レコーディング中、ミック・ジャガー、ビル
・ワイマン、チャーリー・ワッツ、ニッキー・ホプキンス、ライ・クーダーの5人で行
われたラフなセッションを収録したもの。
ビートルズの未発表アルバム「ゲット・バック」を任され、後にイーグルスのプロデュ
ーサーとなったグリン・ジョンズによって録音された。
1972年にリリースされた。
キースのフレーズ盗用についてのライ・クーダー懐柔策として、ミック・ジャガーが
この音源の公表に踏み切ったと言われている。
4 件のコメント:
ライ・クーダー、出ましたね。
くもと です。次回、ライ・クーダー期待してます。
>くもとさん
ライ・クーダー、お好きですか。
うーん、どういう切り口がいいですかなあ。
考えてみますね。
ごめんなさい。次回といっても、いずれでいいんですよ。イエロードックさんのペースでかまいません。
>くもとさん
だいじょうぶですよ。
気の向くままにマイペースでゆるゆるやってますから。
でもキース→ライという流れは確かにいいですね。
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