2023年2月22日水曜日

ブライアンが聴いたラバーソウルはUK盤?US盤?どっち?



ブライアン・ウィルソンはビートルズの「ラバーソウル」を聴いて感銘を受け、
負けないような完成度の高い傑作アルバムを作ろうと決意。
ビーチボーイズのツアーに参加せず、スタジオワークに専念する。(1)
半年後に「ペットサウンズ」を完成させた。






ビーチボーイズ名義ではあるが、他のメンバーはボーカルとコーラス、一部の
作詞だけ(2)という、実質ブライアンのソロに近い作品である。

他のメンバーがツアーで飛び回ってる間(3)ブライアンは作曲からアレンジまで
一人でこなし、レッキングクルー(腕利きのスタジオ・ミュージシャン集団)(4)
を集め、敬愛するフィル・スペクター方式(5)でオケ(伴奏)をレコーディング。




ツアーから戻ったメンバーたちはオケとブライアンのガイドボーカルを聴く。(6)
デニス、カール、ブルース・ジョンストンは好意的だったが、マイク・ラヴと
アル・ジャーディンは批判的だった。(7)

海も太陽もサーフィンも女の子もホットロッド(車)も描かれていない。 
ビーチボーイズの世界観とかけ離れていた。キャピトルも難色を示す。




ファンたちも戸惑った。セールスは50万枚で全米チャート10位に留まった。(8)
しかしイギリスでは評価が高く絶賛され、全英チャートで2位を獲得。(9)

ポール・マッカートニーは衝撃を受け、他のビートルズ3人にも聴かせた。
God Only Knowsはポールにとって特別な曲だそうで、 この曲に触発され
Here There And Everywhereを書いたと言っている。

またポールは「ペットサウンズ」を超える作品をと意欲を燃やし「サージェ
ント・ペパーズ」の制作に入った。(10)





ブライアンが「ラバーソウル」を聴かなければ、「ペットサウンズ」も「サー
ジェント・ペパーズ」も生まれなかったもしれない



ブライアンは「ラバーソウル」について「アルバムとして統一感があり、
すべての曲が美しく仕上がっていて心奪われた」と言っている。
後に自伝でも「史上最高のアルバム」と大絶賛。

特にYou Won't See Me、I'm Looking Through You、Girl の3曲に打ち
のめされたそうだ。



(写真:gettyimages)



さて、もしあなたがビートルズ・ファンかつビーチボーイズ・ファンなら、
一つの疑問が生じるのではないだろうか。



ブライアンが聴いたラバーソウルはUK盤?それともUS盤だったのか?



https://b-side-medley.blogspot.com/2015/06/blog-post_11.html



ふつーの人にとっては何が違うのか分からない。どうでもいいことだ。
でも違う。極端に言うなら、似て非なるモノである。

英国パーラフォン・レーベルから発売されたオリジナルのラバーソウルと
アメリカで発売されたキャピトル「編集盤」では収録曲が違うのだ。

では、比較してみよう。



↓まず、UK盤のジャケット。右下に赤でパーラフォン・ロゴが入ってます。




↓次にUS盤のジャケット。
ラバーソウルのロゴが赤ではなくゴールド。これはこれでいい感じ。
キャピトルのロゴは右上。




↓本来の歪みのない状態。撮影されたのはジョンの家の庭。
(この頃4人はスエードやコーデュロイに凝ってたらしい)
撮影したロバート・フリーマンがボール紙へ写したところ歪んで見え、4人
はそれを面白がりそのまま採用。ビートルズは偶然の産物を好んだ。




↓UK盤のジャケット裏面。下にパーラフォンとEMIのロゴ。




↓US盤のジャケット裏面。UK盤のレイアウトを踏襲している。
キャピトルのロゴと注意書き、ビートルズ(違う書体)で大きく上に出し
たことで重くなってしまった。UK盤の方がすっきりして美しい。




↓UK盤の収録曲。14曲、縦に配してる。ホワイトスペースの取り方が絶妙。




↓US盤の収録曲。何かおかしい。気づきましたか?12曲なんです。
1曲目のDrive My Car、名曲Nowhere Man、リンゴのWhat Goes On、
ジョージのIf I Needed Someoneの4曲がごっそりカット
代わりに前作ヘルプ!収録曲のI've Just Seen A Face、It's Only Love
がそれぞれA面とB面の1曲目に置き換わっている。(印)




I've Just Seen A Faceで始まるラバーソウル?違和感がありませんか?
Drive My Carで始まりガツーンとやられるのがラバーソウルでしょ!
It's Only Loveは好きだけど、B面は陽気なリンゴのWhat Goes Onの次
だからこそ、ジョンのGirlが切ないんじゃないかな。



なぜヘルプ!のI've Just Seen A Face、It's Only Loveが入ってるのか?(11)



↓US盤のヘルプ!。映画のサントラ盤と記載。ジャケットはカッコいい。




ビートルズの曲は劇中で歌った7曲(UK盤のA面)だけ収録。
残りは映画内で使われたインストゥルメンタルが散りばめてある。
UK盤B面の7曲はここでは使わず、別な編集盤に流用するセコさ。

本来ヘルプ!に収録されるべきI've Just Seen A Face、It's Only Loveは
ラバーソウルに入れ、浮いた4曲を(アメリカではLPは12曲が標準だった)
別のLPをでっちあげてそっちに回してるのだ。

ラバーソウルから抜かれた4曲は、イエスタデイ&トゥデイという米国独自
編集盤に収録された。




↑有名なブッチャー・カバー。
発売直前にレコード会社や販売店からの苦情により、トランクと4人が写っ
ている写真に変更された。
(最初のロットのブッチャー・カバーは回収後、トランクの写真を上から
貼って再出荷された)

ブッチャー・カバーは希少ということでコレクターズ・アイテムになる。




↓ジョージの右腕にへばり付いた赤ん坊の手が何気に怖い。
写真家ロバート・ウィテカーとビートルズによるブラックユーモアだった。
ビートルズの意図を無視した編集で売るキャピトルへの反抗と取られたが、
4人はベトナム戦争への反対声明だと主張している。


(写真:gettyimages)





↓イエスタデイ&トゥデイの代替の「トランクと4人」のジャケット。




↓室内で撮った写真から4人を切り抜き白バックに合成したことが分かる。
カラーポジを裏焼きしたためジャケットでは左右が逆になっている。
よほど慌てて作業したのだろう(笑)




↓イエスタデイ&トゥデイの裏ジャケット。
Drive My Car、Nowhere Man、What Goes On、If I Needed Someone
の4曲はラバーソウルから外されてここに放り込まれていた。



さらに次アルバム、リボルバーに入るI'm  Only Sleeping、Dr. Robert、
And Your Bird Can Singの3曲もここに入れてある。
(つまりリボルバーはこの3曲を抜いた11曲ということ)

本来ヘルプ!収録のYesterdayとAct Naturallyもやっと日の目を見た。
We Can Work It Out、Day Tripperはシングル盤のA/B面

統一感もコンセプトもあったもんじゃない。タイトルもやっつけ。
名曲Yesterdayが目玉だから”Yesterday”...and Todayは苦肉の策?



・・・という事情が分かったところでもう一度問いたい。



ブライアンが聴いたラバーソウルはUK盤?それともUS盤だったのか?






ずいぶん前の話だが、レコードコレクターズのQ&Aにこの質問が寄せられ
、編集部が来日中のブライアンに取材したそうだ。
ブライアンの答えは「おおっ、それはいい質問だ。でも実は憶えていない
んだ。自分のではなく友人に借りて聴いたから」だった。

当時アメリカ国内ではあまりUK盤が流通していなかったことを鑑みると、
ブライアンが聴いた「ラバーソウル」はUS盤の可能性が大きい、と編集
部は結論付けていた。

ブライアンだけではない。
アメリカ人のほとんどが A面は I've Just Seen A Face で始まり、B面は 
It's Only Love で始まる「ラバーソウル」を聴いていたのだ。




      ↑UK盤の試聴テスト〜ディスクをジャケットに入れる作業ライン。



ブライアンは「美しい粒揃いの曲が並び、全体を通して統一感がある」
と評していた


キャピトル編集盤はDrive My Carを外し、A面B面をアコースティック色
の強いI've Just Seen A Face、It's Only Loveから始めることでフォーク
ロックのアルバムと位置付けたかった?
という(かなり強引だが)好意的な解釈もできる。

であれば、ディランの影響が伺えるジョンのNowhere Manを外すか?
当時アメリカで流行ったバーズのMr.Tumbling Manのサウンドを取り入れ
ビートルズ流にアレンジしたIf I Needed Someoneを外したのも解せない。


結局のところ、キャピトルはフォークロック云々とか、アルバムの統一性
とかコンセプトとか、深いところまで考えてはいなかった
彼らはティーンエイジャーから金を巻き上げられればそれでいいのだから。






さて、そんな中、表題の件で有力な情報が飛び込んできた。


ビートルズ研究家/ライターの野良さんがツイートしてるのだが。

デレク・テイラー(ビートルズの広報担当)が1965年の感謝祭の後にラバー
・ソウルのUK盤(キャピトル盤ではなくオリジナルのパーロフォン盤)の
アセテートをブライアン・ウィルスンに渡し、ブライアンがそれを聴いて
大いに感銘を受け・・・という話が、マーク・ルイスンの「ビートルズ史」
第2巻で明かされるらしい。(12)





事実ならブライアンが聴いたラバーソウルはUK盤だったことになる。
ビートルズ・ファンかつビーチボーイズ・ファンにとっては大ニュースだ!



世の中の大多数の人にとっては、どーでもいいことなのだろう。
でも、些細なことが後々、大きな意味を持つこともある。
バタフライ効果というと大袈裟だけど。

ブライアンが聴いたラバーソウルがキャピトル編集盤だったら、彼の心の
琴線に触れることもなく、ペットサウンズは生まれなかったかもしれない。
サージェント・ペパーズも。ロックの歴史は違ったものになっただろう。





<脚注>

(1)ブライアンがツアー参加をやめた理由

1964年末のツアーに向かう飛行機の中で、ブライアンは感情の抑制がきかなく
なりライブを欠席する。
コンサート活動への参加を止め、スタジオでの音楽作りに専念することを宣言。
作曲・アレンジ・プロデュース力を付けたブライアンは、全米を席巻していた
ビートルズに対抗するため、腰を据えてスタジオでアルバム制作に専念したい、
という思いが強かった。
ツアーではブライアンの代役をグレン・キャンベルが務めた。
その後ブルース・ジョンストンが参加し、6人目のビーチボーイとなった。



(写真:gettyimages)


(2)「ペットサウンズ」の作詞
ブライアンはプロの作詞家、トニー・アッシャーを作詞に起用。
曲のイメージを伝え、詞に起こす作業を任せた。
アル・ジャーディンとマイク・ラヴから「歌詞の内容が理解出来ない」と批判
される。
Wouldn't It Be Nice、I Know There's an Answer、I'm Waiting for the Day、
I Know There's an Answerの4曲はマイク・ラヴが加筆した。
I Know There's an AnswerはHang On To Your Egoという歌詞とタイトル
だったが、キャピトルがEgoという表現を問題視し変更させた。
God Only Knowsはロックで初めてGodという言葉を使うことにキャピトルは
慎重だったが、クレームなどの問題は起きなかった。


(3)「ペットサウンズ」制作期間とビーチボーイズのツアー
「ペットサウンズ」レコーディング時期は1965年11月1日〜1966年4月13日。
1966年1月7日〜16日には初来日公演を果たしている。前座はスパイダーズ。
日本滞在中に侍の衣装を着てかつらをかぶっている写真が「ペットサウンズ」
の裏ジャケットに載っている。
ブライアンは来日に同行せず、スタジオで仕事をしていた。



(4)レッキングクルー
フィル・スペクターがレコーディング時に集めたミュージシャンたちだが、
高度な演奏技術が評価され、色々なレコーディングで起用されるようになる。
ドラムスのハル・ブレイン率いるL.A.の腕利きスタジオ・ミュージシャン集団
で、レッキングクルーと呼ばれた。
一つのバンドではなく、必要な時に必要なミュージシャンをスタジオに派遣する
流動的なセッションマンのユニットである。
女性ベーシストのキャロル・ケイはブライアンが好んで起用し、ルート外しの
ベースラインを演奏させた。
ブライアンの代わりにビーチボーイズのツアーに参加したグレン・キャンベル
もレッキングクルーの一員である。


彼らは1960年代〜1970年代のアメリカのヒット・チャートを支えた。
ロネッツ、フランク・シナトラ、ナンシー・シナトラ、ビーチボーイズ、バーズ、
モンキーズ、カーペンターズ、サイモン&ガーファンクル、フィフス・ディメン
ション、バーブラ・ストライサンド、ママス&パパスのヒット曲で貢献している。


(5)フィル・スペクター方式のレコーディング
ウォール・オブ・サウンドと呼ばれる分厚い音作りが特徴。
エコー・チェンバーに秘密があると言われるが、ウォール・オブ・サウンドの
本質はそこではないらしい。
狭いスタジオでピアノ、ギター、ドラム、ベース、ホーンなどそれぞれ複数の
奏者に同時に同じ音、あるいはコードを弾かせる。
マイクは本来入ってはいけない隣の音まで拾ってしまうが、そのアンビエント
(空気感)で音を厚くする、というのがスペクター・サウンドの秘密。
オーヴァーダヴやパートごとに録音するのではなく、全員で一気に通しで演奏
し、納得がいくまで何度も繰り返す、という方式が取られた。
ブライアンもそれに倣って、総勢50人のミュージシャンに一気に演奏させた。
ティンパニー、テルミン、バスハーモニカ、犬笛、自転車のベル、クラクション、
ラテン・パーカッションなど、ロックでは珍しい多彩な楽器も使用された。




(6)ブライアンのガイドボーカル
和声を理解していたブライアンは全員のハーモニーのパートも指示できた。


(7)批判的だったマイク・ラヴ
「こんなの誰が聴く?犬にでも聴かせるのか?」とマイク・ラブ が揶揄した
ことからアルバムのタイトルは「ペットサウンズ」になった。
このアルバムから長くマイク・ラヴとブライアンの確執が続くことになる。



(8)「ペットサウンズ」の全米でのセールス
50万枚で全米チャート10位は充分な結果だと思うが、それまでの記録と比べ
低迷してるのは否めなかった。
売れ行きが芳しくないと判断したキャピトルはベスト・アルバムを予定より
早く発売。100万枚のセールスを達成。
このこともブライアンを傷つけた。
ブライアン渾身の一作「ペットサウンズ」の反響の低さ。
次作「スマイル」の制作が頓挫したことで、既に不安定になっていた彼の精神
状態は更に悪化していくことになる。


↑「スマイル」制作中のブラインとヴァン・ダイク・パークス。




(9)「ペットサウンズ」のイギリスででの評価
全英アルバムチャートで26週連続トップ10入りする大ヒットを記録。
この年のNME(ニュー・ミュージカル・エクスプレス)の人気投票では、
ビーチボーイズがビートルズを抜いて1位となった。


(10)「ペットサウンズ」に影響され生まれた「サージェント・ペパーズ」
ジョージ・マーティンは「サージェント・ペパーズはペット・サウンズに
追いつこうとする試みだった」と回想している。
ティンパニー、バスハーモニカ、犬笛を使うアイディアも「ペットサウンズ」
から着想を得たとポールは証言している。


「スマイル」を制作中のブライアンをポールは訪問し、野菜を食べる効果音
を手伝ってくれた、とブライアンは回想している。
この時ポールは「新譜を出すなら急いだ方がいい。もうすぐ僕らが凄いのを
出すから」とブライアンにアドバイスをしている。
その「凄いの」とは「サージェント・ペパーズ」のことだった。
「サージェント・ペパーズ」を聴いたブライアンは「どうせ敵うわけない」と
「スマイル」の制作を諦め、精神的に病んでしまう。
一日の大半をドラッグとアルコールに依存するようになったブライアンは、
奇行が見られるようになる。
マイク・ラヴを始めとする他メンバーとの音楽性についての対立も深まった。


(11)なぜ「ヘルプ!」収録曲が「ラバーソウル」に入ってるのか?
Waitは「ヘルプ!」セッションで録音されボツになった曲。
「ラバーソウル」は時間がなく、さすがのレノン=マッカートニーも曲が
りず、一度お蔵入りにしたWaitを引っ張り出した。
「ラバーソウル」に入れて違和感がないようオーヴァーダブを加え体裁を整
えている。
これは本人たちの意思によるものだからいいと思う。
I've Just Seen A Face、It's Only Loveの2曲はそうではない。


(12)デレク・テイラーが配布したビートルズのアセテート盤
「リボルヴァー」のアセテート盤は、ブライアン・エプスタインがデレク・
テイラーに、次の人たちに渡すよう'66年7月25日付の手紙で依頼している。
バーズ4枚、ローリングストーンズ(ブライアン・ジョーンズ)1枚 、ラヴィン
・スプーンフル4枚、ママス&パパ5枚。
なぜかブライアン・ウィルソンには配布されなかったようだ。 
だからブライアンは、「リボルヴァー」を聴いていない、または曲が少ない
キャピトル盤リヴォルヴァーを聴いてしまい、ラバーソウルの時のような
感動体験がなかった?のかもしれない


<参考資料:ビーチボーイズ - ペットサウンズ・ストーリー、Wikipedia、
Twitter(ビートルズ研究家/ライターの野良さん@nora_fabs)、OKMUSIC、
レコードコレクターズ、ワタナベスグルドットコム、52歳これっておとな買い、
ブライアン・ウィルソン自伝、エルエミュージック・セオリー、gettyimages、
ジョージ・マーティン「耳こそはすべて」、他>

2 件のコメント:

縞梟 さんのコメント...

こんにちは。

イエローさんの記事を読んでこの作品に興味が湧き、久々に聴いている最中なのですが
一つ疑問なのはブライアンさんが「ラバー・ソウル」の影響を受けたとコメント
しているわりには「サージェント」がこのアルバムの影響を受けていると具体的に感じるように
このアルバムが「ラバー・ソウル」の直接的な音楽的影響を感じないのは何故なんでしょうね?

中山康樹さんの「ペット・サウンズ」読本を読んでみるとブライアンさんの残された
少ないコメントからの推測ではブライアンさんが聴いたのは「アメリカ盤」だったと
記しているのですが、判然としないながらこのようにまとめています。

「おそらく米盤or英国盤のどちらかを聴いたのか?ということよりも
「ラバー・ソウル」が一つのトーン、あるいは色彩を持っていることに気づき
マリファナの力を借りてそのトータル的な響きにトリップ感という高揚感を
覚えたことがブライアンにとって重大事だったわけで、ブライアンは
「ラバー・ソウル」を聴いて「ラバー・ソウル」を超えるアルバムを
作ろうとしたのではなく「ビートルズ」そのものを超える音楽を作ろうとしたのである」

最後の1文は商業文筆家の嫌らしさを感じますけど、昔の音楽はこういう
どうでもよい小事をネタに延々と語ったんですよね(笑)

イエロードッグ さんのコメント...

>「ラバー・ソウル」が一つのトーン、あるいは色彩を持っていることに気づき

これはいい表現ですねー。
そう思います。同時にそれがビーチボーイズに欠けてることにも気づいた。
「ラバーソウル」のこの部分というディテールを参考にしたわけではない。
それと詞と曲の世界観にも感銘を受けたんだと思います。
「ペットサウンズ」ではプロの作詞家に依頼してます。
もう夏だ、海だ、ホットロッドだ、カリフォルニアの姉ちゃんはかわいい、
じゃないよな、ということですね(笑)

一方ポールは「ペットサウンズ」の世界観や曲の美しさだけではなく、
ハーモニーの構築の仕方(ブライアンの和声への見識)、サウンド、
ベースのルート外し、珍しい楽器など、ディテールにまで興味を持った。
これを参考にして越えてやろう、と意欲を燃やした。
ジョージ・マーティンもそうだと思います。
晩年のインタビューで「生存する最高の音楽家は?」の問いにマーティン
は「ブライアン・ウィルソン」と答えてます。
ふーん、ポールじゃないんだ、とちょっと意外。冷静に判断してますね。